【2027年度版】皮膚科シーリング解説|都市部で皮膚科の専攻医を目指す研修医のために

本記事では、医学部に在籍する筆者が、2027年度に皮膚科の専攻医を東京などの都市部で目指す研修医・医学生のために、シーリング制度の最新動向と応募判断に必要な情報を整理しています。

皮膚科は基本領域の中でも採用枠が小さく、都市部の主要都府県では専攻医の採用上限(シーリング)が課されています。2027年度採用では、厚生労働省 医道審議会の医師専門研修部会が示した制度見直しによって、対象都府県と連携プログラム構造の両方に変化が生じています。

2027年度に押さえておくべき点は、次の3つです。

  • シーリング対象都府県の入れ替え:神奈川県と福岡県が対象外となり、石川県・愛知県・岡山県が新規追加。継続対象は東京都・京都府・兵庫県の3都府県
  • 連携プログラムの構造簡素化:3種類から「連携プログラム」と「特別地域連携プログラム」の2種類に統合。特別地域連携プログラムの足下充足率基準も0.7以下から0.8以下に緩和
  • 皮膚科は内科より枠の絶対数が小さい:合計シーリング数は東京都66・京都府11・兵庫県14・愛知県25など、内科(東京都531等)と比較して大幅に小さい

本記事では、皮膚科シーリングの全体像、対象6都府県の枠の実態、連携プログラムの仕組み、指導医派遣加算、応募スケジュール、想定される質問への回答を順に整理します。研修医の先生方の準備の助けになれば幸いです。

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執筆者プロフィール

太田 旭

株式会社eggside 代表取締役。医学生。自由診療のための医師向けメディア「doctorside」を運営しつつ、LP制作、Google広告運用、SNS運用代行など、クリニック・歯科医院を中心としたマーケティング支援に従事しています。

皮膚科シーリングとは|2027年度の対象6都府県と算定方法

専攻医のシーリングは、診療科ごと・都道府県ごとに採用上限を設けて特定地域への医師集中を抑える仕組みで、日本専門医機構が2018年度に導入、2020年度に全国へ拡大しました。皮膚科を含む13診療科が対象で、医師数が必要医師数を上回る都道府県の診療科に採用枠の上限が課されます。シーリング数 = 通常プログラム数 + 連携等プログラム数という構造です。

2027年度 皮膚科シーリング対象6都府県

2027年度の対象は、2025年算出の最新データ(2022年時点の医師数)で判定され、東京都・石川県・愛知県・京都府・兵庫県・岡山県の6都府県となりました。

2027年度 対象6都府県の変動
2026→2027年度のシーリング対象都府県の入れ替えを整理
変動都道府県
2026年度→2027年度で除外神奈川県、福岡県
2026年度→2027年度で新規追加石川県、愛知県、岡山県
2026・2027年度とも対象東京都、京都府、兵庫県

神奈川県と福岡県は最新の判定基準で要件を満たさなくなり対象外に、愛知県・石川県・岡山県は新たに要件を満たし対象に加わっています。都市部志望者の視点では、関東圏で神奈川県、九州で福岡県が外れ、中部圏で愛知県が加わったという地理的な再配置になります。

シーリング数の算定式

  • 通常プログラム基本数:当該診療科の過去3年間(令和5〜7年度)の全国専攻医採用数の平均 ×(都道府県の人口 / 全国の総人口)
  • 通常プログラム加算数:基本数の15%までの範囲で、指導医派遣実績に応じて加算
  • 連携・特別地域連携プログラム:通常プログラム合計が過去3年平均に満たない場合の差分範囲で設置
  • 留意分:シーリング数が全国採用数の1.7%に満たない場合の追加
  • 常勤派遣分:医師少数区域への常勤指導医派遣実績に応じた追加

応募者が出願先選びで把握しておくべきは、通常プログラム(基本数+加算数)と連携系プログラムの2区分です。

皮膚科シーリング対象の6都府県の実態

2027年度 皮膚科シーリング数(案)

都道府県通常枠基本数通常枠加算数連携プログラム特別地域連携プログラム合計
東京都36561966
石川県30126
愛知県1931225
京都府610411
兵庫県1400014
岡山県51006

枠の規模は東京都が最大(66)、次いで愛知県(25)、兵庫県(14)、京都府(11)、石川県・岡山県(各6)の順です。同じ東京都でも内科は531枠あるのに対し皮膚科は66枠で、対象都府県全体としても枠の絶対数が限定的です。

各都府県の構造をまとめると次のようになります。

6都府県のシーリング合計枠
2027年度 皮膚科シーリング数の都府県別合計
  • 東京都:連携系プログラムが合計25枠と他都府県より多く、特別地域連携プログラムが19と中心
  • 愛知県:2027年度から新規対象だが、加算が上限まで充足(3枠)
  • 兵庫県:通常枠14のみ、連携枠は0。通常基本数が過去3年平均を上回るため連携余地なし
  • 京都府:連携プログラム0、特別地域連携プログラム4で連携系は特別地域連携中心
  • 石川県:通常3+連携系3。加算上限が1未満のため加算は0
  • 岡山県:通常枠6のみ、連携枠は0。兵庫県と同様、過去3年平均超で連携余地なし

東京都・愛知県は連携系枠を含めて選択肢が比較的多く、京都府・石川県は特別地域連携中心、兵庫県・岡山県は通常枠のみ、と構造が分かれています。応募先の検討では、合計シーリング数だけでなく通常枠と連携系枠の内訳まで踏まえることが、研修期間の過ごし方を含めた判断材料になります。


皮膚科シーリングの連携プログラムと特別地域連携プログラム

2027年度から、連携系プログラムは「連携プログラム」と「特別地域連携プログラム」の2種類に集約されました。2026年度までの3種類のうち、「連携プログラム(都道府県限定分)」と「特別地域連携プログラム」が統合されています。

区分連携先連携先での研修期間
連携プログラムシーリング対象外の都道府県に所在する施設1年6か月以上
特別地域連携プログラム足下充足率0.8以下(小児科は0.9以下)の都道府県のうち、当該都道府県が候補とした施設1年以上

特別地域連携プログラムは、足下充足率の基準が0.7以下から0.8以下に緩和され、連携先施設の指定が「医師少数区域にある施設」から「都道府県が候補とした施設」に変更されました。

連携系2プログラムの違い
2027年度から3種類→2種類に統合された連携系プログラム

設置比率は診療科ごとに標準値が定められており、皮膚科は連携プログラム:特別地域連携プログラム=1:2です。内科の標準比率(3:2)と比較すると、皮膚科は特別地域連携プログラム側に重心を置いた構成になっています。

6都府県の連携系プログラム枠の内訳

都道府県連携プログラム特別地域連携プログラム連携系合計
東京都61925
石川県123
愛知県123
京都府044
兵庫県000
岡山県000

東京都の特別地域連携プログラム枠が19と他都府県を大きく上回り、京都府は連携プログラムが0、兵庫県と岡山県は連携系枠が0という構造です。連携プログラム経由のルートを検討する場合は、連携先での研修期間(連携プログラム1年6か月以上、特別地域連携プログラム1年以上)、連携先施設のリスト、皮膚科サブスペシャルティ志向との整合性をプログラム冊子で確認することが望まれます。

特別地域連携プログラムの2027年度の全国受入可能数は45、採用上限数は27(皮膚科、令和8年3月13日時点)と日本専門医機構が公表しています。


皮膚科シーリングにおける指導医派遣加算

2026年度から、基幹病院の指導医派遣実績に応じて通常枠を上乗せできる加算制度が導入され、2027年度も継続されます。通常プログラム基本数の最大15%を上限に、シーリング対象外都道府県や医師少数区域への派遣実績に基づいて配分されます。2027年度の加算数は、原則として2026年度の派遣実績がそのまま継続使用され、新規対象(皮膚科では愛知県・岡山県)は新たに収集した実績に基づき算出されています。

6都府県の加算数(2027年度)

都道府県通常枠基本数加算上限実際の加算数備考
東京都3655上限まで
石川県30加算上限が1未満
愛知県1933上限まで
京都府611上限まで
兵庫県140通常基本数が過去3年平均超
岡山県511上限まで

加算とは別に、2026年度から新設された「医師少数区域への常勤指導医派遣による追加分」があります。シーリング対象外都道府県の医師少数区域への週5日相当の常勤派遣実績に応じてシーリング数を追加する仕組みです。

加算+常勤派遣の上乗せ分
指導医派遣加算と常勤派遣分による通常枠の上乗せ

医師少数区域への常勤指導医派遣による追加分

都道府県常勤派遣分
東京都+1
石川県0
愛知県+2
京都府+1
兵庫県0
岡山県+1

加算と常勤派遣分を合わせた上乗せ分は、東京都+6・愛知県+5・京都府+2・岡山県+2・石川県0・兵庫県0です。


皮膚科シーリングの応募スケジュール

時期内容
2026年春頃機構がシーリング数案を決定、研修プログラム申請・審査
2026年秋頃機構が研修プログラムを承認、募集開始
2026年11月頃1次募集
2026年12月〜2027年1月頃2次募集
2027年4月専門研修開始

応募する研修プログラムは1次・2次募集ともに1人につき1プログラムに限られ、複数プログラムへの同時応募はできません。1次募集で不採用となった場合に、2次募集で別のプログラム(または同じプログラム)に応募できる仕組みです。

2027年度 応募スケジュール
皮膚科専攻医応募の主要スケジュール

採用は各プログラム統括責任者が個別に採否を決める仕組みのため、初期研修のマッチング制度とは異なります。各プログラムの過去の採用倍率は日本専門医機構から公表されていないため、志望病院への直接の問い合わせや病院見学での情報収集が現実的です。

研修2年目から2027年度募集に向けて整理しておくと進めやすい流れは、春〜初夏(2026年4〜7月)に対象都府県とシーリング数を確認、夏(2026年7〜9月)に各基幹病院プログラムの通常枠・連携枠の内訳と連携先施設を確認、秋(2026年10月)に第一志望と第二志望以下の整理、というものです。最終的な定員と募集要項は2026年秋の機構承認を経て確定するため、応募締切の直前まで最新情報を確認することが推奨されます。


想定される質問と回答

Q1:地域枠出身者の扱いは?

地域枠出身者は、①都道府県と卒業後一定期間の就業契約を締結している、または②自治医科大学を卒業している、のいずれかに該当する医師のうち、専攻医期間に医師少数区域または医師少数スポットで専門研修を行う予定の場合に、シーリング対象外として扱われます。「地域枠出身であればシーリングの影響を受けない」という解釈は誤りで、医師少数区域での研修予定要件が必須です。このルールは2026年度・2027年度ともに変更ありません。

Q2:シーリング対象外の都道府県では「採用上限なし」だが、本当に自由に応募できるのか?

シーリング対象外の都道府県では「都道府県全体としての採用上限」はありませんが、各基幹病院プログラムには独自の定員が設定されており、その定員を超えての採用は行われません。2027年度から皮膚科シーリング対象外になる神奈川県・福岡県の場合も、県内の各基幹病院は引き続き独自の定員設計に基づいて採用を行います。「シーリング外=枠に余裕がある」という認識は人気プログラムには当てはまらないことがあるため、各プログラムの定員と応募集中度合いを個別に評価する視点が必要です。

Q3:連携プログラムを選んだ場合、研修中の所属はどこになるのか?

連携プログラムを選んだ場合、研修の所属は連携元の基幹病院(シーリング対象都府県)となり、研修期間の一部を連携先施設で過ごします。例えば東京都の基幹病院の連携プログラムを選んだ場合、応募者は東京都の基幹病院に採用され、3年間の専門研修のうち1年6か月以上を連携先で過ごす設計です。研修期間の半分以上は連携先の地域で過ごすため、連携先施設での研修内容や皮膚科サブスペシャルティ領域への接続を、応募前にプログラム冊子で確認することが望ましいです。


まとめ|2027年度の応募判断のポイント

2027年度の皮膚科シーリングは、対象都府県の入れ替えと連携プログラム構造の簡素化を含んでいます。応募判断にあたっての整理は次の3点です。

  • 対象都府県の入れ替え:神奈川県・福岡県が外れ、石川県・愛知県・岡山県が新規追加。継続対象は東京都・京都府・兵庫県
  • 6都府県の枠の構造を把握する:東京都は連携系枠が大きく、愛知県は新規対象ながら加算上限充足、京都府は特別地域連携中心、兵庫県・岡山県は通常枠のみ、石川県は通常枠+少額の連携枠
  • 連携プログラムは2種類に簡素化:「連携プログラム」と「特別地域連携プログラム」に統合、特別地域連携プログラムの足下充足率基準は0.8以下に緩和

各プログラムの最終的なシーリング数と募集要項は2026年秋頃に確定するため、応募締切の直前まで最新情報を確認することが推奨されます。

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参考資料・出典

一次資料

公式サイト


この記事の監修者

太田 旭

株式会社eggside 代表取締役。医学生。
自由診療のための医師向けメディア「doctorside」を運営したり、クリニック集患支援を行っている。