【2026年版】感染症専門医の取得に何年かかる?更新・維持の条件も解説

本記事では、医学部に在籍する筆者が、感染症を専門にしようと考えている専攻医と研修医のために、感染症専門医の取得に必要な年数と、取得後の更新・維持の条件について、日本専門医機構と厚生労働省の一次資料を読み解き、整理しています。

以下の数値は、断りのない限り、日本専門医機構がまとめた「日本専門医制度概報 令和7年度版」によります。感染症専門医の申請には基本領域学会の専門医または認定医の資格が必要で、基本領域学会の研修年限を含めて感染症学の研修を6年以上行います。そのうち3年間は、日本感染症学会の会員として同学会が指定した研修施設で研修することが原則です。ただし、6年をどの時点から数え始めるかはこの資料に載っていないため、初期研修を終えてから申請までの年数は確定できません。

感染症専門医で押さえておくべき点は、次の3つです。

  • 年数条件:基本領域学会の研修年限を含めて、感染症学の研修を6年以上行います。そのうち3年間は、日本感染症学会の会員として同学会が指定した研修施設で研修することが原則です。この6年をどの時点から数え始めるのかは、資料に書かれていません
  • 研修で積む実績:研修期間に診療に携わった感染症患者30症例の一覧表と、うち15症例の病歴要約を作成して提出します。筆頭者としての論文発表1篇と学会発表2篇は、臨床関係事項の欄ではなく申請資格の欄に置かれた条件です
  • 制度の状態:厚生労働省の一覧(2025年12月19日現在)では、この領域の整備基準の審査結果が承認保留と書かれています

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執筆者プロフィール

太田 旭

株式会社eggside 代表取締役。医学生。自由診療のための医師向けメディア「doctorside」を運営しつつ、LP制作、Google広告運用、SNS運用代行など、クリニック・歯科医院を中心としたマーケティング支援に従事しています。

感染症専門医の申請資格と必要な年数

資料が挙げる申請資格は3項目です。

  • 基本領域学会専門医(認定医)に認定されている者
  • 感染症の臨床修練を積んでいること。資料がその中身として並べているのは次の2つです。基本領域学会の研修年限を含めて感染症学の研修を6年以上行っている者であること。上記6年の内、3年間は日本感染症学会の会員として同学会が指定した研修施設で、別に定めるカリキュラムに基づいて研修を行っていることを原則とし、ただし研修終了後申請までは継続して会員であること
  • 感染症の臨床に関して、筆頭者としての論文発表1篇、学会発表2篇、計3篇あること

最初の項目は資料の表記をそのまま示しています。専門医と認定医が何を指し、どちらで申請できるのかも、どの基本領域の資格が使えるのかも、資料に書かれていません。2番目の項目にある臨床修練という語も資料の表記で、意味の説明はありません。

年数の条件は、2番目の項目にある6年以上で、この6年には基本領域学会の研修年限が含まれます。何をもって感染症学の研修とするのか、基本領域の研修年限のうちどの期間が数えられるのかは書かれていません。

6年をどの時点から数え始めるのかも書かれていません。医師免許を取った時点なのか、初期研修を終えた時点なのか、基本領域の専門研修を始めた時点なのかが決まらないため、初期研修を終えてから何年かかるのかも資料からは出せません。試験日や認定日も載っていません。

3年間の施設研修については「原則とする」と書かれていますが、どんな場合が例外にあたるのかは書かれていません。基本領域学会の研修年限を6年に算入するという記述が、基本領域の研修と感染症の研修を並行して進めてよいという意味なのかどうかも書かれていません。

出典:日本専門医機構「日本専門医制度概報 令和7年度版」

研修で求められる症例と病歴要約

資料の臨床関係事項の欄には、研修歴として、日本感染症学会が指定した研修施設において感染症研修カリキュラムに沿って3年間の研修を行う、と書かれています。求められる実績は次の2つです。

  • 研修期間に診療に携わった感染症患者30症例の一覧表を作成して提出する
  • そのうち15症例の病歴要約を作成して提出する

ここでいう研修期間が、3年間の施設研修を指すのか、6年以上のほうを指すのかは、資料の書き方からは決まりません。1年あたり何症例を集めればよいかは、この点しだいで変わります。

病歴要約とは、担当した症例の経過をまとめた文書です。どんな書式と分量が求められるかは、資料に載っていません。

研修で身につける内容は感染症研修カリキュラムに定められています。資料の到達目標の欄は「感染症研修カリキュラムに到達目標を規定」、医療倫理・安全管理の欄は「感染症研修カリキュラムに規定」とだけ書かれていて、中身も、カリキュラムをどこで読めるのかも載っていません。

出典:日本専門医機構「日本専門医制度概報 令和7年度版」

認定試験は書類審査と60題の筆記試験

資料が試験内容の欄に挙げているのは2つです。

  • 書類審査
  • 筆記試験:MCQ方式で、出題数は60題。MCQ方式とは、示された選択肢から答えを選ぶ多肢選択式のことです

合格基準は内規に定めると資料に書かれていて、具体的な数値は載っていません。内規とは団体が内部向けに定める規則のことで、どの団体の内規かも書かれていません。書類審査の項目、試験の実施回数、受験料、再受験の扱いも資料にはありません。

資料は、感染症の専門医担当委員会として感染症専門医制度審議委員会を挙げています。研修施設と指導医の認定はこの委員会が審査しますが、試験も担当するかどうかは書かれていません。

出典:日本専門医機構「日本専門医制度概報 令和7年度版」

認定試験の合格率は3年とも70%台

資料が載せているのは3年度分です。

  • 令和4年度(2022年度):受験者124人、合格者96人、資料の掲載値77.4%
  • 令和5年度(2023年度):受験者92人、合格者69人、資料の掲載値75.0%
  • 令和6年度(2024年度):受験者100人、合格者79人、資料の掲載値79.0%

合格率は3年とも70%台です。3年度の合計は受験者316人、合格者244人、不合格72人で、合格率は77.2%です。

出典:日本専門医機構「日本専門医制度概報 令和7年度版」

感染症専門医の更新・維持の条件

資料が更新関係事項に挙げているのは、次の3点です。

  • 5年毎の更新制であること
  • 更新取得単位:50単位
  • 更新審査料:11,000円(消費税込み)

何をすると何単位になるかという内訳は、資料に載っていません。50単位が5年分を指すのかも書かれていません。更新時に症例や診療実績の提出を求める記載も、感染症のページにはありません。更新のときに基本領域の資格が要るかどうかも、更新できなかった場合の扱いも書かれていません。

出典:日本専門医機構「日本専門医制度概報 令和7年度版」

専門医数と、研修先・指導医の要件

感染症専門医は令和7年8月(2025年8月)現在で1,859人です。資料の一覧表で、この数は学会認定専門医数の列に入っています。機構認定専門医数の列は「――」で、人数が入っていません。この列に人数が入っていないことと、整備基準の状態が関係しているかどうかは、どちらの資料にも書かれていません。学会員数は資料の中で2つの数が並んでいます。感染症のページは医師8,260人、医師以外2,065人、計10,325人、学会ごとの一覧表は10,073名で、252人の差があります。どちらにも集計の時点が書かれていません。

研修を指導する立場にあるのが指導医です。資料は、次の2項目を満たす者を感染症専門医制度審議委員会が審査して認定すると記しています。

  • 感染症専門医を取得後5年を経た者
  • 日本感染症学会の研修カリキュラムに基づく研修を指導できる者

指導医の認定期間は5年です。過ぎたあとどう扱われるのか、指導医が何人いるのかは書かれていません。

研修施設は336です。資料は、次の3項目を満たす施設を同じ委員会が審査して認定すると記しています。

  • 医育機関附属病院、総合病院、またはこれに準ずる病院であること。医育機関とは、医師を養成する大学を指します
  • 日本感染症学会指導医(または専門医)が1名以上常勤していること。指導医がいなくても専門医が1名いればよいのかどうかは、この書き方からは読み取れません
  • 日本感染症学会の研修カリキュラムに基づく研修が可能であること

施設の認定期間も5年で、都道府県別の分布は資料に載っていません。研修施設の欄が示しているのは上の1種類の基準だけですが、学会の広報体制の欄には「認定研修施設・連携研修施設リスト」が挙げられています。連携研修施設の基準は資料になく、そこで研修した期間が3年間に数えられるのかも、336がどちらを数えた数かも書かれていません。

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出典:日本専門医機構「日本専門医制度概報 令和7年度版」

整備基準の審査結果は承認保留

厚生労働省のサブスペシャルティ認定領域一覧には、領域として認定された日を書く欄と、整備基準の審査結果を書く欄が別にあります。感染症は、認定日の欄が2016年9月7日で、審査結果の欄が承認保留です。資料は感染症を日本専門医機構が認めた29領域の1つとして載せており、この2つの記載がどう対応するのかは、どちらの資料にも書かれていません。

この「承認保留」が審査の途中を指すのか、審査を終えたうえでの結論を指すのかも、承認保留になっている理由と承認までの見通しも書かれていません。いつから承認保留なのかも一覧にないため、令和4年度から令和6年度の試験が承認保留の期間に行われたものかどうかは決まりません。整備基準が承認されたときに条件が変わるのか、すでに認定された専門医の扱いがどうなるのかも書かれていません。

出典:日本専門医機構「日本専門医制度概報 令和7年度版」、厚生労働省 医道審議会 医師分科会 医師専門研修部会「サブスペシャルティ認定領域一覧」2025年12月19日現在

一次資料に載っていないこと

進路を決める段階で効くのに、資料にも厚生労働省の一覧にも書かれていない項目です。学会への問い合わせに使ってください。

  • 6年をどの時点から数え始めるのか。基本領域の研修年限のうち、どの期間が6年に数えられるのか
  • どの基本領域の資格で申請できるのか。専門医と認定医が何を指し、どちらで申請できるのか
  • 30症例を集める研修期間が、3年間と6年以上のどちらを指すのか
  • 研修施設336が認定研修施設と連携研修施設のどちらを数えたものか。連携研修施設の基準
  • 50単位の内訳と、50単位を数える期間

出典:日本専門医機構「日本専門医制度概報 令和7年度版」

まとめ|感染症専門医を目指すなら先に確かめること

  • 申請資格と年数:申請の1項目目は、資料の表記で「基本領域学会専門医(認定医)に認定されている者」です。専門医と認定医が何を指し、どちらで申請できるのかは資料にありません。年数は「基本領域学会の研修年限を含めて感染症学の研修を6年以上」で、うち3年間は学会員として学会指定の研修施設で研修することが原則です。6年の起点は資料にないので、学会に確認してください
  • 研修で求められる症例:30症例の一覧表と、うち15症例の病歴要約を作成して提出します。筆頭者としての論文発表1篇と学会発表2篇は、申請資格の側に置かれた条件です
  • 試験:書類審査と、MCQ方式60題の筆記試験です。合格基準は内規に定めるとされ、数値は資料に載っていません
  • 合格率:掲載値は77.4%、75.0%、79.0%で、3年とも70%台です。3年度を合計した合格率は77.2%です
  • 更新:5年毎の更新制で、更新取得単位は50単位、更新審査料は11,000円(消費税込み)です。50単位が5年分を指すのかどうかは資料に書かれていません
  • 人数と研修先:学会認定専門医数は令和7年8月現在で1,859人、機構認定専門医数の列は「――」です。研修施設は336で、人員の条件は資料の表記で「日本感染症学会指導医(または専門医)が1名以上常勤していること」ですが、指導医がいなくても専門医1名で足りるのかは読み取れません
  • 制度の状態:厚生労働省の一覧(2025年12月19日現在)では、整備基準の審査結果が承認保留です。いつからなのかも、理由も、承認後に条件が変わるかどうかも、資料にありません

次の一手は、自分が進む基本領域の資格で申請できるかどうかと、6年の起点を学会に確認することです。そのうえで、3年間の施設研修をどこで積むかを決めます。

出典:日本専門医機構「日本専門医制度概報 令和7年度版」

参考文献

  • 日本専門医機構「日本専門医制度概報 令和7年度版」. https://jmsb.or.jp/wp-content/uploads/2026/03/gaiho_2025.pdf
  • 厚生労働省 医道審議会 医師分科会 医師専門研修部会「サブスペシャルティ認定領域一覧」2025年12月19日現在. https://www.mhlw.go.jp/content/10803000/001675411.pdf
  • 日本感染症学会. https://www.kansensho.or.jp/
この記事の監修者

太田 旭

株式会社eggside 代表取締役。医学生。
自由診療のための医師向けメディア「doctorside」を運営したり、クリニック集患支援を行っている。