【2026年版】肝臓専門医の取得に何年かかる?更新・維持の条件も解説

本記事では、医学部に在籍する筆者が、肝臓を専門にしようと考えている専攻医と研修医のために、肝臓専門医の取得までの年数と、取得後の更新・維持の条件について、日本専門医機構の一次資料を読み解き、整理しています。

以下の数値は、断りのない限り、日本専門医機構がまとめた「日本専門医制度概報 令和7年度版」によります。肝臓専門医の申請資格と年数は、医籍登録日によって分かれます。医籍登録日とは、医師免許を取ったときに国の医籍へ登録された日です。2023年以前に登録された人は、初期研修2年のあとに5年以上の肝臓病学の臨床研修が必要で、卒業後7年以上かかります。2024年以降に登録された人は、消化器内科領域の専門研修を始めてから少なくとも5年以上ですが、その研修をいつ始められるかは資料に載っていないため、卒業から申請までの年数は確定できません。

肝臓専門医で押さえておくべき点は、次の3つです。

  • 入口が2つに分かれる:医籍登録日が2023年以前の人は、資料が申請資格の欄に挙げる10件の資格のいずれかが入口になります。2024年以降の人は内科専門医に限られ、外科専門医、小児科専門医、放射線科専門医を認めるかどうかは機構との協議に委ねられています
  • 年数:2023年以前の人は初期研修2年のあと5年以上で、卒業後7年以上かかります。2024年以降の人は消化器内科領域の専門研修を始めてからの年数で数えます
  • 更新:5年ごとに50単位を取り、学会主催の総会、大会、部会、国際会議のいずれかへの出席と、教育講演会の受講が要ります。内科、外科、小児科、放射線科を基盤とする者には、10件の資格に関する条件も付きます

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執筆者プロフィール

太田 旭

株式会社eggside 代表取締役。医学生。自由診療のための医師向けメディア「doctorside」を運営しつつ、LP制作、Google広告運用、SNS運用代行など、クリニック・歯科医院を中心としたマーケティング支援に従事しています。

取得までの年数と申請資格

資料は肝臓専門医の申請資格を、医籍登録日が2023年以前か2024年以降かで分けて書いています。前者を資料は現行制度と呼び、受験できる時期を2025年から2030年としています。

2023年以前の区分では、2年間の初期研修を修了したあと、5年以上の肝臓病学の臨床研修が必要です。卒業後の年数は7年以上になります。申請資格として資料が挙げるのは6項目で、うち4項目は次のとおりです。残る2項目は、医師免許と人格・識見に関する項目と、年会費の完納です。

  • 申請時において日本肝臓学会の会員である者
  • 資料が挙げる10件の資格のいずれかを有する者
  • 2年間の初期研修を修了後、日本肝臓学会または日本消化器病学会が認める施設で、日本肝臓学会が別に定める専門医研修カリキュラムに従って、5年以上の肝臓病学の臨床研修を修了した者。ただし、このうち少なくとも1年は日本肝臓学会の認定施設、関連施設、特別連携施設において研修を行うことを原則とする
  • 日本肝臓学会主催の教育講演会を1回以上受講した者

入口となる10件の資格は、日本内科学会の認定内科医、総合内科専門医、内科専門医、日本外科学会の外科専門医、外科認定医、外科認定登録医、日本小児科学会の小児科専門医、日本医学放射線学会の放射線科専門医、放射線診断専門医、放射線治療専門医です。認定内科医と総合内科専門医は、資料の内科のページで内科専門医が始まる前の制度に属する資格として扱われています。外科認定医と外科認定登録医は、日本外科学会が別に定める資格です。この10件を取る研修と5年以上の臨床研修を重ねられるかどうかは資料にないため、卒業後7年以上は年数条件から算出した下限です。

研修の中身については、資料の臨床関係事項の欄に「上記専門医申請資格、下記更新条件に記されているとおり」とあるだけで、研修のあいだに経験する症例数や、担当した症例をまとめた病歴要約の数は分かりません。

医籍登録日が2024年以降の区分は、年数の数え方が異なります。資料は、サブスペシャルティ領域である消化器内科領域の専門研修を始めて3年目以降に肝臓専門医専攻医登録を行い、その後3年間以上の肝臓病学の専門研修を修了することを求めています。肝臓専門医専攻医登録とは、肝臓専門医を目指す専攻医として日本肝臓学会に登録する手続きです。消化器内科領域の専門研修を始めてから少なくとも5年以上かかります。ただし、その専門研修をいつ始められるのかは資料の肝臓のページに書かれていないため、卒業後何年目にあたるかは計算できません。申請資格はこちらも6項目で、うち4項目は次のとおりです。残る2項目は2023年以前と同じです。

  • 継続4年以上、日本肝臓学会の会員である者
  • 日本内科学会の内科専門医の資格を有する者
  • サブスペシャルティ領域である消化器内科領域の専門研修開始後3年目以降に肝臓専門医専攻医登録を行い、その後、日本肝臓学会の認定施設、関連施設、特別連携施設において、日本肝臓学会が別に定める専攻研修カリキュラムに沿って、3年間以上の肝臓病学の専門研修を修了していること
  • 肝臓専門医専攻医登録を行ってから認定申請までに、日本肝臓学会主催の学術集会へ1回以上参加し、教育講演会を1回以上受講していること

2023年以前との違いは5点です。入口になる資格が内科専門医だけになること、会員歴が申請時の会員から継続4年以上になること、研修先が日本肝臓学会の3種類の施設に限られること、学会主催の学術集会への参加が加わること、そして「2年間の初期研修を修了後」という書き出しが出てこないことです。外科専門医、小児科専門医、放射線科専門医のいずれかを持つ者が申請資格を有することができるかどうかは、日本専門医機構との今後の協議にゆだねられている、と資料は書いています。

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出典:日本専門医機構「日本専門医制度概報 令和7年度版」

研修先になる施設と指導医の要件、専門医数

資料は日本肝臓学会側の施設を認定施設、関連施設、特別連携施設に分けています。認定基準はそれぞれ6項目、5項目、3項目です。2025年11月4日現在の施設数と、認定施設および関連施設の主な条件、特別連携施設の3条件は次のとおりです。

  • 認定施設(518施設。暫定認定施設を含む):肝臓病病床として10床以上、常勤の専門医が3名以上勤務し、そのうち1名以上が指導医(暫定指導医を含む)であること、指導医の責任のもとで十分な教育指導医体制がとられていること
  • 関連施設(211施設):肝臓病病床を5床以上、指導医が1名以上と専門医が1名以上勤務し十分な教育指導体制がとられていること(指導医は常勤、非常勤を問わず、専門医は常勤であること)、認定施設と協力して専門研修が可能であること
  • 特別連携施設(218施設):肝臓専門医あるいは消化器病専門医が勤務していること、専門研修が可能であること、認定施設の指導医による十分な指導体制が担保されていること
  • 総数:947施設

研修施設の総数は947施設です。肝臓病病床の数え方、暫定指導医の意味、518施設のうちの暫定認定施設の数は資料に書かれていません。

この3種類の施設で研修する期間は、2023年以前の区分が5年以上のうち少なくとも1年を原則とし、2024年以降の区分が3年間以上で、どの種類で何年という内訳の指定はありません。

指導医についても、資料が認定基準を挙げています。8項目のうち、主なものは次のとおりです。

  • 肝臓専門医の資格取得後、資格の更新を1回以上行っている者
  • 申請までの5年以内に、日本肝臓学会主催の教育講演会を2回以上、指導医講習会を1回以上受講していること。ただし、指導医講習会が実施されるまでの移行期間においては、教育講演会を1回以上受講していること
  • 肝疾患の診療あるいは研究活動に10年以上従事していること。そのうち通算3年以上は、日本肝臓学会の認定施設または関連施設での診療に従事していること
  • 肝臓学、肝臓病学に関する研究論文を2編以上有していること。そのうち1編はFirst authorあるいはCorresponding authorであること

10年以上という条件は、肝疾患の診療あるいは研究活動に従事した年数で、専門医を取ってからの年数ではありません。First authorは筆頭著者、Corresponding authorは責任著者です。

肝臓専門医の数は、令和7年11月現在で8,282人です。資料の一覧表はこの数を学会が認定した専門医の数として載せ、機構が認定した専門医の数の列は「――」で人数が入っていません。日本肝臓学会の会員数は12,513人で、内訳は医師が12,355人、医師以外が158人です。資料は、日本肝臓学会がホームページで専門医一覧などを公開していると記しています。

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出典:日本専門医機構「日本専門医制度概報 令和7年度版」

認定試験の形式と合格率

2023年以前の区分では、研修カリキュラム等による指導医の評価が行われたうえで受験資格が与えられます。2024年以降の区分では、肝臓専門医専門研修の修了判定後です。誰が何を基準に判定するのかは資料に書かれていません。

試験そのものについて、資料は現在CBT方式であると記し、その中身をMCQ、五者一択もしくは二択、全80問と書いています。CBTはコンピュータを使って行う試験の呼び方で、MCQは示された選択肢から答えを選ぶ多肢選択式を指します。80問の出題区分と各形式の問題数、合格ラインの点数、出題の範囲、年間の実施回数、受験料、不合格だった場合の再受験の扱いは、いずれも資料に載っていません。

合格率について資料が載せているのは3年度分です。

  • 令和4年度(2022年度):受験者399人、合格者371人、資料の掲載値92.9%
  • 令和5年度(2023年度):受験者345人、合格者326人、資料の掲載値94.5%
  • 令和6年度(2024年度):受験者301人、合格者280人、資料の掲載値93.0%

資料の掲載値は年度によって丸め方がそろっておらず、算出方法は書かれていません。3年度の合計は受験者1,045人、合格者977人で、合格率は93.5%です。

出典:日本専門医機構「日本専門医制度概報 令和7年度版」

肝臓専門医の更新・維持の条件

資料は更新関係事項の欄に、5年毎の更新制であり、更新には下記の条件をすべて満たすことが必要である、と記しています。その条件が次の5つです。

  • 認定日から申請年度の部会までに、別表単位表の中から50単位を取得すること
  • 同じ期間に、日本肝臓学会主催の総会、大会、部会および国際会議のいずれかに1回以上出席していること
  • 同じ期間に、日本肝臓学会主催の教育講演会(eラーニングを含む)を1回以上受講していること
  • 内科、外科、小児科、放射線科を基盤とする者は、資料が挙げる10件の資格のいずれかであること
  • 申請時において、当該年度までの会費を完納していること

何をすると何単位になるのかを示した別表単位表の中身は、資料に載っていません。認定日が何の日を指すのか、期間の区切りになっている部会が何月に開かれるのか、50単位に届かなかった場合の扱いと更新料も書かれていません。

「基盤とする者」は、基本領域として内科、外科、小児科、放射線科のいずれかを持つ者を指す言い方です。挙げられている10件の資格は申請資格の欄の10件とほぼ同じですが、申請資格の欄が日本医学放射線学会放射線科専門医、更新の欄が日本医学放射線学会放射線専門医で、1件だけ表記が違います。医籍登録日が2024年以降に医師免許を取得した人については、内科以外の基本領域に関する規定が、日本専門医機構との今後の協議により変更される可能性があると資料は記しています。

出典:日本専門医機構「日本専門医制度概報 令和7年度版」

まとめ|肝臓専門医を目指すなら先に確かめること

  • 年数と申請資格:どちらの区分も6項目です。2023年以前は初期研修2年のあと5年以上の肝臓病学の臨床研修が必要で、卒業後7年以上かかります。入口は資料が申請資格の欄に挙げる10件の資格のいずれかで、この区分で受験できる時期は2025年から2030年とされています。2024年以降は消化器内科領域の専門研修を始めてから5年以上、入口は内科専門医だけ、会員歴は継続4年以上です。2024年以降は卒業後何年目にあたるかを資料から計算できません
  • 研修先と指導医、専門医数:認定施設は肝臓病病床10床以上と常勤の専門医3名以上(うち1名以上が指導医。暫定指導医を含む)、関連施設は肝臓病病床5床以上と指導医1名以上(常勤、非常勤を問わない)および常勤の専門医1名以上です。数は認定施設518(暫定認定施設を含む)、関連施設211、特別連携施設218の合計947施設です。指導医の認定基準は8項目で、更新を1回以上、診療あるいは研究活動に10年以上、論文2編以上などです。専門医は令和7年11月現在で8,282人です
  • 試験と合格率:2023年以前は指導医の評価、2024年以降は修了判定を経て受験資格が与えられます。試験はCBT方式のMCQで全80問です。掲載値は令和4年度92.9%、令和5年度94.5%、令和6年度93.0%で、3年度を合計した合格率は93.5%です
  • 更新:5年ごとの更新制で、認定日から申請年度の部会までに50単位を取り、総会、大会、部会、国際会議のいずれかへの1回以上の出席、教育講演会の1回以上の受講、会費の完納が要ります。内科、外科、小児科、放射線科を基盤とする者には、資料が更新の欄に挙げる10件の資格に関する条件も加わります

学会の資料で確認が必要なのは、2024年以降の区分で消化器内科領域の専門研修をいつ始められるのか、外科専門医、小児科専門医、放射線科専門医を2024年以降の入口として認めるかどうか、研修のあいだに経験する症例数と病歴要約の数です。専門研修の開始時期が決まらないと、卒業後何年目に申請できるかは確定できません。

出典:日本専門医機構「日本専門医制度概報 令和7年度版」

参考文献

  • 日本専門医機構「日本専門医制度概報 令和7年度版」. https://jmsb.or.jp/wp-content/uploads/2026/03/gaiho_2025.pdf
  • 日本肝臓学会. http://www.jsh.or.jp
この記事の監修者

太田 旭

株式会社eggside 代表取締役。医学生。
自由診療のための医師向けメディア「doctorside」を運営したり、クリニック集患支援を行っている。