【2026年版】消化器内視鏡専門医の取得に何年かかる?更新・維持の条件も解説

本記事では、医学部に在籍する筆者が、消化器内視鏡を専門にしようと考えている専攻医と研修医のために、消化器内視鏡専門医の取得に必要な期間、申請条件、試験、更新条件を整理します。

以下の数値は、断りのない限り、日本専門医機構がまとめた「日本専門医制度概報 令和7年度版」によります。2016年以降に医師免許を取得した人の研修期間は、専攻医カリキュラム登録システムへの登録後の4月1日から3年以上です。研修カリキュラムの達成率が100%になると受験資格が発生しますが、卒後から取得までの通算年数は資料に載っていません。

消化器内視鏡専門医で押さえておくべき点は、次の3つです。

  • 研修期間:2016年以降に医師免許を取得した人は、登録後の4月1日から3年以上です。卒後から取得までの通算年数は資料に載っていません
  • 診療実績:上部消化管1,000件と下部消化管300件で数える方法と、上部消化管の診断を1回1点、下部消化管の診断を1回5点として合計1,000点以上とする方法から選びます。どちらでも治療内視鏡20例の症例詳記が要ります
  • 更新:5年ごとに、過去5年間の業績が30点以上必要です。そのうち20点以上は日本消化器内視鏡学会の分でなければなりません。学会出席や講演発表、論文発表がそれぞれ何点になるかは資料に載っていません

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執筆者プロフィール

太田 旭

株式会社eggside 代表取締役。医学生。自由診療のための医師向けメディア「doctorside」を運営しつつ、LP制作、Google広告運用、SNS運用代行など、クリニック・歯科医院を中心としたマーケティング支援に従事しています。

取得までに必要な研修期間

2016年以降に医師免許を取得した人は、登録後の4月1日から3年以上研修する必要があります。

  • 登録:資料は研修の開始時期を基本領域研修2年目以降と定めていて、基本領域の研修1年目を修了する3月中に「専攻医カリキュラム登録システム」へ登録する
  • 開始:登録後の4月1日から研修を始める
  • 受験資格の発生:3年以上の研修を修了し、達成率が100%になる

達成率とは、研修カリキュラムをどこまで満たしたかを示す割合です。資料が示すのは、100%になった時点で受験資格が発生するということだけで、達成率を構成する項目は載っていません。卒後から取得までの通算年数も資料にないため、資料から答えられるのは研修期間の下限である「登録後の4月1日から3年以上」だけで、取得までに何年かかるかはこの下限からは決まりません。

2015年以前に医師免許を取得した人は、登録後の4月1日から研修を始め、達成率が100%になった時点で申請できます。資料はこの区分に3年以上という条件を付けておらず、区分の理由も載っていません。

出典:日本専門医機構「日本専門医制度概報 令和7年度版」

内視鏡診療実績は2つの方法から選ぶ

診療実績を積む場所は指導施設と指導連携施設で、数えられるのは登録後の4月1日以降の分だけです。実績の積み方は次のとおりで、医師免許を取得した年にかかわらず共通です。

  • 件数で数える方法:上部消化管1,000件、下部消化管300件
  • 点数で数える方法:上部消化管の診断を1回1点、下部消化管の診断を1回5点として、合計1,000点以上

件数方式の基準は、点数方式の配点では2,500点に相当し、点数方式の基準1,000点とは一致しません。両方式の対応関係は、資料に説明がありません。

どちらの方法でも、治療内視鏡20例を選び、1例ごとに症例詳記を添付します。症例詳記は、症例ごとに内容を詳しく書いた記録を指しますが、記載項目や様式は資料に載っていません。20例には、資料が番号を付けた3つの手技区分、すなわち切除術(ポリペクトミー、EMR、ESD)、止血術、狭窄拡張術・ステント挿入を含めます。資料は略称のままで正式名称を書いていないため、本記事ではEMRを内視鏡的粘膜切除術、ESDを内視鏡的粘膜下層剥離術と読んでいます。切除術の3手技すべてが必要なのか、いずれかでよいのかは書かれていません。3区分それぞれに何例必要かも書かれていません。部位は上部と下部のどちらでもかまいません。

出典:日本専門医機構「日本専門医制度概報 令和7年度版」

受験資格と認定試験

申請時には基本領域の資格も必要です。認定内科医と総合内科専門医は、資料の内科のページで、内科専門医より前の制度に属する資格として扱われています。ただし、消化器内視鏡専門医の欄は「総合内科専門医(内科専門医)」と並べており、この2つの関係を説明していません。認定登録医は、専門医とは別に学会が定める資格の呼び名です。

  • 会員資格:日本の医師免許を持ち、日本消化器内視鏡学会の会員である。資料は「会員歴は問わない」と明記している
  • 基本領域の資格:申請時に、総合内科専門医(内科専門医)または認定内科医、外科専門医または外科認定登録医、放射線科専門医、小児科専門医、救急科専門医、臨床検査専門医のいずれかを持っている。資料が挙げるのはこの範囲だけで、ほかの基本領域から申請できるかどうかは載っていない
  • 学術集会への出席:申請年度の直近5年間に、日本消化器内視鏡学会の総会と支部例会へ合計5回以上出席している。そのうち総会が1回以上、支部例会が2回以上である
  • 発表または論文:申請年度の直近5年以内に、日本消化器内視鏡学会の総会・支部例会での発表、または同学会誌への論文掲載が筆頭者として1回以上ある
  • 支部セミナー:所属する支部のセミナーへ、申請年度の直近5年以内に1回以上出席している
  • 研修:専攻医カリキュラム登録システムへ登録し、所定の研修を修了している

書類審査は支部審査会が行い、これを通過した人が、資料が学術試験と記す認定試験へ進みます。試験はマークシート方式のMCQで、全100問です。MCQは、示された選択肢から答えを選ぶ形式を指します。合格基準は、試験判定委員会が問題内容、正答率、識別指数、標準偏差などを分析したうえで決めるため、必ずしも一定ではありません。試験の実施回数、受験料、不合格だった場合の再受験の扱いも載っていません。

出典:日本専門医機構「日本専門医制度概報 令和7年度版」

認定試験の合格率と受験者数

直近3年度の受験者数、合格者数、合格率です。

  • 令和4年度(2022年度):受験者1,190人、合格者1,071人、合格率90.0%
  • 令和5年度(2023年度):受験者940人、合格者880人、合格率93.6%
  • 令和6年度(2024年度):受験者897人、合格者861人、合格率95.9%

3年度を合わせると受験者は3,027人、合格者は2,812人で、合格率は92.9%です。不合格だった人は3年度で215人です。

出典:日本専門医機構「日本専門医制度概報 令和7年度版」

更新は5年ごとで、業績30点以上が必要

更新は5年ごとで、条件は次の6つです。

  • 会員の継続:専門医認定日から継続して日本消化器内視鏡学会の会員である
  • 診療の継続:引き続き消化器内視鏡の診療に従事している
  • 業績:過去5年間の学会出席、講演発表、論文発表などが30点以上あり、そのうち日本消化器内視鏡学会分が20点以上ある
  • セミナー(専門医):資料の表記で「学会セミナーまたは支部セミナーをいずれか1回5点以上受講すること」
  • セミナー(指導医):学会セミナーと重点卒後教育セミナーを、それぞれ1回以上受講している
  • 基本領域の資格:更新時に、認定内科医、総合内科専門医(内科専門医)、外科専門医、外科認定登録医、放射線科専門医、小児科専門医、救急科専門医、臨床検査専門医のいずれかを持っている

資料は4番目に「(専門医)」、5番目に「(指導医)」と書き分けています。指導医の資格を持つ人が両方を満たす必要があるのかどうかは、資料に書かれていません。点は、学会が業績ごとに与える数値で、更新のときに合計します。資料が点数を示しているのは専門医のセミナー受講の「1回5点以上」だけで、学会出席、講演発表、論文発表がそれぞれ何点になるかは載っていません。

審査は審議会による書類審査で、更新のための試験はありません。資料には、申請時の書類審査をする支部審査会、試験の合格基準を決める試験判定委員会、更新を審査する審議会という3つの組織が出てきますが、互いの関係は説明されていません。更新にかかる費用と、更新できなかった場合の扱いは資料に載っていません。

出典:日本専門医機構「日本専門医制度概報 令和7年度版」

研修施設の基準と指導医の要件

資料の施設数欄には、基幹研修施設1,156施設、連携施設363施設、合計1,519施設とあります。一方、認定基準の見出しは「指導施設」「指導連携施設」で、これらの名称の対応関係は資料に説明がありません。施設数の基準時点と、都道府県ごとの数も載っていません。

指導施設の認定基準は次の8つです。

  • 30平方メートル以上の独立した内視鏡室がある
  • 専門医の教育に必要な各種内視鏡機器を備えている
  • 年間検査件数が上部1,000件以上、下部250件以上である
  • 指導医1人以上と専門医2人以上の合計3人以上が常勤している
  • 十分な指導体制がとられている
  • 内視鏡検査室専属のメディカルスタッフがいる
  • 独立した病理部門があるか、病理診断を依頼できる病理専門施設が定まっている
  • 研修カリキュラムに基づく研修が可能である

施設に求められる年間検査件数の上部1,000件以上・下部250件以上と、個人が件数方式で積む上部1,000件・下部300件との関係は、資料に書かれていません。

指導連携施設の基準は、人員のところだけが異なります。資料の表記は「非常勤指導医1名以上かつ常勤専門医1名以上の2名以上が勤務すること」で、ほかの7項目は指導施設と同じです。指導施設が指導医の常勤を求めるのに対し指導連携施設の指導医は非常勤と書かれていますが、常勤の指導医がいる場合にどう扱われるかは資料にありません。

資料でいう指導医は、専門医の資格を取得した後3年以上、指導施設またはこれに準ずる診療施設で消化器内視鏡診療に従事し、豊富な学識と経験を持ち、指導能力を有するものとして消化器内視鏡に関する診療および研究活動を行っている医師です。「これに準ずる診療施設」がどの範囲を指すのか、豊富な学識と経験をどう判定するのかは資料に書かれていません。指導医が全国に何人いるかも資料にありません。

出典:日本専門医機構「日本専門医制度概報 令和7年度版」

専門医数と学会員数

2025年2月末時点の日本消化器内視鏡学会の会員数は34,622人で、内訳は医師34,599人、医師以外23人です。

同じ時点の専門医数は20,612人で、この人数は資料の一覧表の「学会認定専門医数」の列に掲載され、「機構認定専門医数」の列は「――」になっています。資料は、個人資格を今後どのように機構認定へ移すかを説明しておらず、サブスペシャルティ領域専門医制度の構築を「未完成」としています。

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出典:日本専門医機構「日本専門医制度概報 令和7年度版」

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出典:日本専門医機構「日本専門医制度概報 令和7年度版」

まとめ|資料で確認できる取得・更新条件

  • 取得までの期間:2016年以降に医師免許を取得した人で、登録後の4月1日から3年以上です。基本領域の研修1年目を修了する3月中に登録します。卒後から取得までの通算年数は資料に載っていません
  • 診療実績:上部消化管1,000件・下部消化管300件で数える方法と、上部消化管の診断を1回1点、下部消化管の診断を1回5点として合計1,000点以上とする方法から選びます。どちらでも治療内視鏡20例の症例詳記が必要です
  • 受験資格と試験:資料に列挙された基本領域の資格、学会活動、研修修了が要ります。試験は書類審査後のマークシート100問で、合格基準は一定ではありません
  • 合格率:令和4年度から令和6年度は90.0%、93.6%、95.9%です。3年度を合わせた合格率は92.9%です
  • 更新:5年ごとで、会員と診療の継続、業績30点以上(うち学会分20点以上)、セミナー受講、基本領域の資格が条件です。セミナーは資料が(専門医)向けと(指導医)向けを別に立てていて、両方を満たす必要があるのかは書かれていません。審査は書類審査で、更新試験はありません
  • 研修施設と指導医:指導施設は指導医1人以上と専門医2人以上の常勤です。指導連携施設は資料の表記で非常勤指導医1名以上と常勤専門医1名以上で、常勤の指導医がいる場合にどう扱われるかは書かれていません。施設数欄にあるのは基幹研修施設1,156と連携施設363の合計1,519施設で、認定基準の見出しの指導施設・指導連携施設との対応関係は資料にありません。指導医は専門医取得後3年以上の従事が要件です
  • 専門医数と学会員数:学会認定専門医は20,612人、学会員は34,622人です。機構認定専門医数の列は「――」で、学会認定と機構認定の違いも、個人の資格を機構認定へどう移すかも資料にありません

研修先が指導施設または指導連携施設に当たるかどうかは、資料の施設数欄が基幹研修施設・連携施設という別の名称を使っているため、資料だけでは分かりません。登録時期は基本領域の研修1年目を修了する3月中で、診療実績に数えられるのは登録後の4月1日以降の分だけです。

出典:日本専門医機構「日本専門医制度概報 令和7年度版」

参考文献

  • 日本専門医機構「日本専門医制度概報 令和7年度版」. https://jmsb.or.jp/wp-content/uploads/2026/03/gaiho_2025.pdf
この記事の監修者

太田 旭

株式会社eggside 代表取締役。医学生。
自由診療のための医師向けメディア「doctorside」を運営したり、クリニック集患支援を行っている。