【2027年度版】京都府の専攻医シーリング解説|対象となる10科は?2026年度からの変更は?

本記事では、医学部に在籍する筆者が、2027年度に関西圏で専攻医研修を目指す研修医・医学生のために、京都府の専攻医シーリングの状況を中心に、希望診療科を関西圏内で確保するための情報を整理しています。

京都府は2027年度の専攻医募集で10診療科がシーリング対象となっています。シーリング対象が10診療科は関西圏で最多で、大阪が7、兵庫が5、奈良が3、和歌山が1、滋賀が0となっています。

京都府のシーリング対象科は以下の通りです。

京都府内科、小児科、皮膚科、精神科、整形外科、眼科、耳鼻咽喉科、泌尿器科、放射線科、麻酔科

本記事では、京都府と関西圏全体のシーリング状況、京都府の各診療科の枠の構造と関西圏での代替選択肢、連携プログラム、指導医派遣加算、応募スケジュール、想定される質問への回答を順に整理します。

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執筆者プロフィール

太田 旭

株式会社eggside 代表取締役。医学生。自由診療のための医師向けメディア「doctorside」を運営しつつ、LP制作、Google広告運用、SNS運用代行など、クリニック・歯科医院を中心としたマーケティング支援に従事しています。

京都府の専攻医シーリングと関西圏での位置づけ

専攻医のシーリングは、診療科ごと・都道府県ごとに採用上限を設けて特定地域への医師集中を抑える仕組みで、医師数が必要医師数を上回る都道府県の診療科に採用枠の上限が課されます。日本専門医機構が2018年度に導入し、2020年度に全国へ拡大されました。

シーリング制度の基本
特定地域への医師集中を抑える仕組みの概要

2027年度 京都府のシーリング対象10診療科

2027年度に京都府でシーリング対象となっている診療科は、内科、小児科、皮膚科、精神科、整形外科、眼科、耳鼻咽喉科、泌尿器科、放射線科、麻酔科の10領域です。

京都府でシーリング対象外となるのは、脳神経外科・形成外科・リハビリテーション科(全国ではシーリング対象だが京都府では非対象)、および全国共通でシーリング対象外の外科・産婦人科・救急・病理・臨床検査・総合診療科の計9診療科です。

京都府の対象10診療科
2027年度に京都府でシーリング対象となる10領域

関西圏全体のシーリング状況(2027年度)

希望診療科を関西圏で確保することを考える際は、京都府の状況だけでなく、隣接する大阪府・兵庫県・奈良県・滋賀県・和歌山県の状況もあわせて把握しておくと、選択肢の幅が見えます。

府県シーリング対象診療科(2027年度)
京都府内科、小児科、皮膚科、精神科、整形外科、眼科、耳鼻咽喉科、泌尿器科、放射線科、麻酔科(10診療科)
大阪府眼科、耳鼻咽喉科、泌尿器科、放射線科、麻酔科、形成外科、リハビリテーション科(7診療科)
兵庫県小児科、皮膚科、眼科、耳鼻咽喉科、麻酔科(5診療科)
奈良県小児科、整形外科、放射線科(3診療科)
和歌山県内科(1診療科)
滋賀県対象なし
出典:厚生労働省|令和7年第5回 医道審議会医師分科会医師専門研修部会 資料1-1「令和9(2027)年度専攻医募集について」(令和8年3月18日)

内科は京都府・和歌山県のみがシーリング対象で、大阪・兵庫・奈良・滋賀の各府県は採用上限の制約を受けません。精神科は関西圏では京都府のみが対象で、他5府県は全てシーリング外。一方、眼科・耳鼻咽喉科・麻酔科は京都府・大阪府・兵庫県の3府県で対象となっています。

シーリング数の算定式

2027年度のシーリング数の算定式は、2026年度の仕組みを基本的に継続しており、構造は次のようになっています。

関西6府県の対象数比較
関西圏での京都府のシーリング負荷の重さが一目で分かる
  • 通常プログラム基本数:当該診療科の過去3年間(令和5〜7年度)の全国専攻医採用数の平均 ×(都道府県の人口 / 全国の総人口)
  • 通常プログラム加算数:基本数の15%までの範囲で、指導医派遣実績に応じて加算
  • 連携・特別地域連携プログラム:通常プログラム合計が過去3年平均に満たない場合の差分範囲で設置
  • 留意分・常勤派遣分:それぞれ全国採用数の1.7%基準、医師少数区域への常勤派遣実績に応じた追加
シーリング数の算定式
2027年度シーリング数を構成する5つの算定要素

応募者の出願検討では、通常プログラム(基本数+加算数)と連携系プログラムの2区分を診療科ごとに確認することが基本です。次章では、京都府の10診療科それぞれの枠の規模と、関西圏での代替選択肢を整理します。

京都府の各診療科のシーリング枠と関西圏での代替選択肢

2027年度 京都府のシーリング数(10診療科)

診療科基本数加算数連携特別地域連携合計常勤派遣分
内科5996679 ※+3
小児科10000100
皮膚科610411+1
精神科11211150
整形外科1521118 ※0
眼科7145170
耳鼻咽喉科51017+1
泌尿器科712212+1
放射線科7124140
麻酔科10200120
出典:厚生労働省|令和7年第5回 医道審議会医師分科会医師専門研修部会 資料1-2「令和9年度プログラム募集シーリング数(案)」(令和8年3月18日)
※内科と整形外科は連携枠端数-1の調整あり(連携と特別地域連携のいずれかから1枠減らして合計を出す)

10診療科合計で195枠です。最大は内科の79枠で、次いで整形外科18・眼科17・精神科15・放射線科14と続きます。最小は耳鼻咽喉科の7枠で、京都府全体としてもプログラム単位では数枠ずつの構造です。

なお、精神科は2027年度から京都府が新規シーリング対象となりました。2026年度の精神科シーリング対象は東京・石川・岡山・福岡・佐賀・熊本・沖縄の7都府県で京都府は含まれていませんでしたが、2027年度から京都府・広島県・香川県が新規追加されています。

京都府10科の枠規模TOP
10診療科合計195枠の内訳と規模感

関西圏での京都以外の代替選択肢

希望診療科が京都府でシーリング対象でも、関西圏の他府県では対象外となる場合があります。診療科ごとに関西圏内のシーリング対象状況を整理すると次の通りです。

診療科京都大阪兵庫奈良滋賀和歌山
内科◯79◯26
小児科◯10◯32◯6
皮膚科◯11◯14
精神科◯15
整形外科◯18◯9
眼科◯17◯26◯14
耳鼻咽喉科◯7◯16◯10
泌尿器科◯12◯24
放射線科◯14◯24◯6
麻酔科◯12◯34◯32
(◯:シーリング対象、–:シーリング対象外)

この表から、関西圏で希望診療科を確保する観点で読み取れるポイントは次の通りです。

  • 精神科:関西圏でシーリング対象は京都府のみ
  • 内科:京都府と和歌山県が対象。大阪府が2027年度から内科シーリング対象外になった。京都府の通常枠は59
  • 眼科・耳鼻咽喉科・麻酔科:関西圏のシーリング対象は京都・大阪・兵庫の3府県
  • 皮膚科:京都府・兵庫県のみ対象。大阪府・奈良県・滋賀県・和歌山県はシーリング対象外
  • その他:泌尿器科は京都・大阪、放射線科は京都・大阪・奈良、整形外科は京都・奈良、小児科は京都・兵庫・奈良が対象

連携プログラムと特別地域連携プログラムの状況

2027年度から、連携系プログラムは「連携プログラム」と「特別地域連携プログラム」の2種類に集約されました。2026年度までの3種類のうち、「連携プログラム(都道府県限定分)」と「特別地域連携プログラム」が統合されています。

2種類の連携プログラム
2027年度から再編された連携系プログラムの違い
区分連携先連携先での研修期間
連携プログラムシーリング対象外の都道府県に所在する施設1年6か月以上
特別地域連携プログラム足下充足率0.8以下(小児科は0.9以下)の都道府県のうち、当該都道府県が候補とした施設1年以上

特別地域連携プログラムは、足下充足率の基準が0.7以下から0.8以下に緩和され、連携先施設の指定が「医師少数区域にある施設」から「都道府県が候補とした施設」に変更されました。

連携系2プログラムの違い
連携プログラムと特別地域連携プログラムの要件比較

京都府の連携系プログラム枠の内訳

診療科連携プログラム特別地域連携プログラム連携系合計
内科6611 ※
小児科000
皮膚科044
精神科112
整形外科111 ※
眼科459
耳鼻咽喉科011
泌尿器科224
放射線科246
麻酔科000
出典:厚生労働省|令和7年第5回 医道審議会医師分科会医師専門研修部会 資料1-2「令和9年度プログラム募集シーリング数(案)」(令和8年3月18日)
※内科と整形外科は連携枠端数-1の調整あり

連携系枠の規模が大きいのは内科11、眼科9、放射線科6、皮膚科4、泌尿器科4の5科で、一方、小児科と麻酔科は連携系枠ゼロでした。

連携プログラム経由のルートを検討する場合、判断材料になる点は次の通りです。

  • 連携先での研修期間:連携プログラムは1年6か月以上、特別地域連携プログラムは1年以上。研修3年間のうちかなりの期間を連携先で過ごす設計になっています。
  • 連携先施設のリスト:各基幹病院がどの都道府県・どの施設を連携先として設定しているかは、プログラム冊子や基幹病院の公式情報で確認可能です。
  • 診療科のサブスペシャルティ志向との整合性:連携先で経験できる症例構成・指導体制が、希望するサブスペシャルティの方向性と一致するかを事前に確認する必要があります。

指導医派遣加算の状況

2026年度から、基幹病院の指導医派遣実績に応じて通常枠を上乗せできる加算制度が導入され、2027年度も継続されています。通常プログラム基本数の最大15%を上限に、シーリング対象外の都道府県や医師少数区域への派遣実績に基づいて配分されます。2027年度の加算数は、原則として2026年度のシーリング算出に用いた指導医派遣実績が継続使用され、京都府で新規シーリング対象となった精神科については、新たに収集した派遣実績に基づき算出されています。

京都府10診療科の加算数(2027年度)

診療科通常枠基本数加算上限実際の加算数備考
内科5999上限まで
小児科100通常基本数が過去3年平均超
皮膚科611上限まで
精神科1122上限まで
整形外科1522上限まで
眼科711上限まで
耳鼻咽喉科511上限まで
泌尿器科711上限まで
放射線科711上限まで
麻酔科1022上限まで

小児科以外の9診療科は、加算が上限まで充足しています。京都府の場合、ほとんどの診療科で加算分の枠拡大余地が構造的に飽和している状態です。

医師少数区域への常勤指導医派遣による追加分

加算とは別に、2026年度から「医師少数区域への常勤指導医派遣による追加分」が新設されました。シーリング対象外都道府県の医師少数区域への週5日相当の常勤派遣実績に応じて、シーリング数を追加する仕組みです(次年度以降のシーリング数算出における採用実績には計上されません)。

診療科常勤派遣分
内科+3
皮膚科+1
耳鼻咽喉科+1
泌尿器科+1
小児科・精神科・整形外科・眼科・放射線科・麻酔科0

内科の+3が最も大きく、続いて皮膚科・耳鼻咽喉科・泌尿器科が各+1です。京都府全体の常勤派遣分は10診療科で合計+6枠となっています。

応募スケジュールと出願方針

2026年5月現在、日本専門医機構から2027年度専攻医募集スケジュールは公表されておりませんが、例年通りのスケジュールですと下表の流れになります。最新の情報は日本専門医機構の公式サイトから確認することを推奨します。

時期内容
2026年春~夏頃機構がシーリング数案を決定、研修プログラム申請・審査
2026年秋頃機構が研修プログラムを承認、募集開始
2026年11月頃1次募集
2026年12月頃2次募集
2027年1月~2月頃最終調整機関
2027年4月専門研修開始

応募する研修プログラムは1次・2次募集ともに1人につき1プログラムに限られ、複数プログラムへの同時応募はできません。1次募集で不採用となった場合に、2次募集で別のプログラム(または同じプログラム)に応募できる仕組みです。

採用は各プログラム統括責任者が個別に採否を決める仕組みのため、初期研修のマッチング制度とは異なります。各プログラムの過去の採用倍率は日本専門医機構から公表されていないため、志望病院への直接の問い合わせや病院見学での情報収集が現実的です。

関西圏での応募候補を検討する流れ

研修2年目から2027年度募集に向けて整理しておくと進めやすい流れは以下の通りです。

  • 春〜初夏(2026年4〜7月):希望診療科について、京都府のシーリング数と関西圏内の他府県のシーリング状況を確認。京都府の通常枠・連携枠の規模、シーリング外府県(大阪・兵庫・奈良・滋賀・和歌山)の基幹病院プログラムの存在を併せて把握
  • 夏(2026年7〜9月):日本専門医機構の研修プログラム検索システムで各基幹病院プログラムが公開された段階で、志望候補先の通常枠・連携枠の内訳、連携先施設、サブスペシャルティ連動研修の対応状況を確認
  • 秋(2026年10月):研修プログラムが機構により承認され、最終的なシーリング数と募集要項が確定。第一志望と、不採用時に応募できる候補(同じプログラムへの再応募、別プログラム、関西圏内のシーリング対象外府県のプログラム)を整理

最終的な定員と募集要項は2026年秋の機構承認を経て確定するため、応募締切の直前まで最新情報を確認することが推奨されます。

想定される質問と回答

Q1:地域枠出身者の扱いは?

地域枠出身者は、①都道府県と卒業後一定期間の就業契約を締結している、または②自治医科大学を卒業している、のいずれかに該当する医師のうち、専攻医期間に医師少数区域または医師少数スポットで専門研修を行う予定の場合に、シーリングの対象外として扱われます。「地域枠出身であればシーリングの影響を受けない」という解釈は誤りで、医師少数区域での研修予定要件が必須です。

京都府の地域枠の場合、京都府内の医師少数区域での研修予定が要件を満たすことになります。京都府内の医師少数区域指定や地域枠の義務年限の運用は所属大学・都道府県によって異なるため、出願前に都道府県の地域医療対策協議会等で確認することが推奨されます。

Q2:京都府の小児科・麻酔科は連携枠がゼロだが、迂回ルートはないのか?

京都府の小児科と麻酔科は、通常プログラム基本数(+加算数)が過去3年間の平均採用数を上回るため、連携プログラム・特別地域連携プログラムの設置余地が制度上生じない構造になっています。京都府内の基幹病院プログラムを通じた研修ルートは、通常プログラムのみです。

ただし、関西圏内の他府県も視野に入れると選択肢があります。小児科は兵庫県・奈良県もシーリング対象であり、大阪・滋賀・和歌山はシーリング外。麻酔科は大阪府・兵庫県もシーリング対象、奈良・滋賀・和歌山はシーリング外です。京都府にこだわらず関西圏で希望診療科を確保することを優先するなら、これらの府県の基幹病院プログラムを応募候補に含める形になります。

Q3:関西圏でシーリング対象外の府県を選ぶ場合の注意点は?

シーリング対象外の都道府県では「都道府県全体としての採用上限」はありませんが、各基幹病院プログラムには独自の定員が設定されており、その定員を超えての採用は行われません。

例えば2027年度から内科シーリング対象外になる大阪府の場合、府内の各基幹病院は引き続き独自の定員設計に基づいて採用を行います。「シーリング外=枠に余裕がある」という認識は、人気プログラムには当てはまらないことがあります。

関西圏内でシーリング対象外の府県を応募候補に含める場合、その府県の主要基幹病院(大阪府なら大阪大学・関西医科大学・大阪医科薬科大学・大阪公立大学等、兵庫県なら神戸大学・兵庫医科大学等、奈良県なら奈良県立医科大学、滋賀県なら滋賀医科大学)の各プログラムの定員と募集要項を、シーリング対象府県と同等の解像度で確認することが推奨されます。

まとめ|2027年度京都府で専攻医を目指す際の整理ポイント

2027年度の京都府は10診療科がシーリング対象となっており、診療科の選択が応募候補の規模を直接左右する構造です。関西圏で希望診療科を確保する観点から、整理しておきたいポイントは次の通りです。

  • 京都府のシーリング対象は10診療科、合計195枠:内科79・整形外科18・眼科17・精神科15・放射線科14・麻酔科12・泌尿器科12・皮膚科11・小児科10・耳鼻咽喉科7
  • 精神科は2027年度から京都府が新規シーリング対象:関西圏で精神科シーリングが課されるのは京都府のみで、他5府県は全てシーリング対象外
  • 小児科と麻酔科は京都府で連携枠ゼロ:通常プログラム基本数が過去3年平均を上回るため、連携系プログラムが構造的に設置されない
  • 大阪府が2027年度から内科シーリング対象外に:関西圏で内科を目指す場合、京都府の通常枠59と並んで大阪府が採用上限の制約なしの選択肢として浮上
  • 希望診療科ごとに関西圏内の代替選択肢が異なる:眼科・耳鼻咽喉科・麻酔科は京都・大阪・兵庫の3府県、放射線科は京都・大阪・奈良、整形外科は京都・奈良、と組み合わせが診療科ごとに変わる

最終的な定員と募集要項は2026年秋の日本専門医機構による研修プログラム承認を経て確定するため、応募締切の直前まで最新情報を確認することが推奨されます。本記事が関西圏で専攻医を目指す方の参考になれば幸いです。

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参考資料・出典

一次資料

公式サイト

この記事の監修者

太田 旭

株式会社eggside 代表取締役。医学生。
自由診療のための医師向けメディア「doctorside」を運営したり、クリニック集患支援を行っている。