本記事では、医学部に在籍する筆者が、2027年度に整形外科の専攻医研修を目指す研修医・医学生のために、整形外科シーリング制度の状況と、対象3府県(京都・奈良・福岡)のシーリング枠の構造を一次資料から読み解き、整理しています。
整形外科は2027年度の専攻医募集において、シーリング対象都府県が3府県のみと、内科(10都道府県)や皮膚科(6都府県)と比べて対象範囲が大幅に絞られている診療科です。2026年度まで対象だった東京都が2027年度から対象外となり、代わりに奈良県が新規対象として加わりました。
2027年度の整形外科シーリングについて押さえておくべき点は、次の3つです。
- シーリング対象は3府県のみ:対象は京都府・奈良県・福岡県の3府県。東京や大阪の大都市圏は採用上限の制約を受けない
- 東京都が2027年度から対象外に:2026年度まで整形外科シーリング対象だった東京都が、2027年度では対象外に。整形外科を東京で目指す場合は、都道府県全体としての採用上限の制約を受けない
- 奈良県が新規対象:2027年度から奈良県が新規シーリング対象として追加。通常枠8・連携1の合計9枠と、かなり絞った枠数に。
本記事では、整形外科シーリングの仕組み、2027年度の対象3府県とシーリング数、連携プログラム、指導医派遣加算、応募スケジュール、想定される質問への回答を順に整理します。
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整形外科シーリング制度の概要
専攻医のシーリングは、診療科ごと・都道府県ごとに採用上限を設けて特定地域への医師集中を抑える仕組みです。日本専門医機構が2018年度に導入し、2020年度に全国へ拡大されました。医師数が必要医師数を上回る都道府県の診療科に採用枠の上限が課されます。

整形外科シーリング 2027年度の主な変更点
2027年度から、シーリング制度には次の制度変更が反映されています。
- 連携プログラムが3種類から2種類に:従来の「連携プログラム(都道府県限定分)」が「特別地域連携プログラム」に統合され、「連携プログラム」と「特別地域連携プログラム」の2種類に
- 特別地域連携プログラムの足下充足率基準が緩和:0.7以下から0.8以下に
- 連携先要件の変更:「医師少数区域にある施設」から「都道府県が候補とした施設」に
- 指導医派遣加算は2026年度の派遣実績を継続使用:2026年度から導入された加算制度が継続。原則として2027年度も2026年度の派遣実績がそのまま使われる
これらの制度変更は、整形外科シーリングにもそのまま適用されます。

整形外科シーリング数の算定式
整形外科シーリング数は、診療科ごと・都道府県ごとに、次の構造で計算されます。
- 通常プログラム基本数:過去3年間(令和5〜7年度)の整形外科の全国専攻医採用数の平均 ×(都道府県の人口 / 全国の総人口)
- 通常プログラム加算数:基本数の15%までの範囲で、指導医派遣実績に応じて加算
- 連携・特別地域連携プログラム:通常プログラム合計が過去3年平均に満たない場合の差分範囲で設置
- 常勤派遣分:医師少数区域への週5日相当の常勤指導医派遣実績に応じた追加
応募者の出願検討では、通常プログラム(基本数+加算数)と連携系プログラムの2区分を都府県ごとに確認することが基本になります。
2027年度の対象3府県とシーリング数
2027年度 整形外科シーリング対象3府県
2027年度に整形外科シーリング対象となるのは京都府・奈良県・福岡県の3府県です。
| 府県 | 基本数 | 加算数 | 連携 | 特別地域連携 | 合計 | 常勤派遣分 |
|---|---|---|---|---|---|---|
| 京都府 | 15 | 2 | 1 | 1 | 18 ※ | 0 |
| 奈良県 | 7 | 1 | 1 | 0 | 9 | +1 |
| 福岡県 | 29 | 4 | 6 | 3 | 42 | +1 |
※京都府は連携枠端数-1あり(連携と特別地域連携のいずれかから1枠減らして合計を出す)
3府県合計で69枠です。最大は福岡県の42枠(通常枠33・連携系9)で、京都府は通常枠17・連携系1で18枠、奈良県は通常枠8・連携系1で9枠です。福岡県と京都府・奈良県の間には4〜5倍の枠規模の差があります。

2026年度からの変更点
整形外科シーリング対象都府県は、2026年度から2027年度にかけて次のように変わりました。
| 都府県 | 2026年度 | 2027年度 |
|---|---|---|
| 東京都 | 対象 | 対象外 |
| 京都府 | 対象 | 対象(継続) |
| 奈良県 | — | 対象に追加 |
| 福岡県 | 対象 | 対象(継続) |
東京都は2026年度まで整形外科シーリング対象(通常枠80・加算12等の規模)でしたが、2027年度では対象外となりました。一方、奈良県が新規対象として追加されています。
東京都が対象外になったことで、整形外科を東京都で目指す場合は都道府県全体としての採用上限の制約を受けません。ただし、シーリング外であっても各基幹病院プログラムには独自の定員が設定されているため、応募候補先の定員と募集要項は個別に確認する必要があります。
連携プログラムと特別地域連携プログラム
2027年度から、連携系プログラムは「連携プログラム」と「特別地域連携プログラム」の2種類に集約されました。
| 区分 | 連携先 | 連携先での研修期間 |
|---|---|---|
| 連携プログラム | シーリング対象外の都道府県に所在する施設 | 1年6か月以上 |
| 特別地域連携プログラム | 足下充足率0.8以下の都道府県のうち、当該都道府県が候補とした施設 | 1年以上 |
特別地域連携プログラムは、足下充足率の基準が0.7以下から0.8以下に緩和され、連携先施設の指定が「医師少数区域にある施設」から「都道府県が候補とした施設」に変更されました。

整形外科3府県の連携系プログラム枠の内訳
| 府県 | 連携プログラム | 特別地域連携プログラム | 連携系合計 |
|---|---|---|---|
| 京都府 | 1 | 1 | 1 ※ |
| 奈良県 | 1 | 0 | 1 |
| 福岡県 | 6 | 3 | 9 |
連携系枠の規模が大きいのは福岡県の9枠で、京都府・奈良県は各1枠になります。連携プログラム経由のルートを選択肢に含められる程度は、3府県の中で福岡県が最も大きい構造です。
連携等プログラムを経由することで、通常枠とは別の選考プールに載ることができるため、シーリング対象の3府県で専攻医を目指す研修医にとっては応募候補の1つと言えます。ただし、研修期間の多くを連携先で過ごすなどの制約もあるため、ご自身の生活やキャリア設計と照らし合わせて選択するか決める必要があります。連携プログラム経由のルートを検討する際は、次の3点を確認することを推奨します。
- 連携先での研修期間:連携プログラムは1年6か月以上、特別地域連携プログラムは1年以上。研修3年間のうちかなりの期間を連携先で過ごす設計になっています。
- 連携先施設のリスト:各基幹病院がどの都道府県・どの施設を連携先として設定しているかは、プログラム冊子や基幹病院の公式情報で確認可能です。
- 整形外科のサブスペシャルティ志向との整合性:連携先で経験できる症例構成と希望するサブスペシャルティの方向性の整合性を事前に確認する必要があります。
指導医派遣加算
2026年度から、基幹病院の指導医派遣実績に応じて通常枠を上乗せできる加算制度が導入され、2027年度も継続されています。通常プログラム基本数の最大15%を上限に、シーリング対象外の都道府県や医師少数区域への派遣実績に基づいて配分されます。
2027年度の加算数は、原則として2026年度のシーリング算出に用いた指導医派遣実績が継続使用されます。新規シーリング対象となった奈良県については、新たに収集した派遣実績に基づいて算出されています。
整形外科3府県の加算数(2027年度)
| 府県 | 通常枠基本数 | 加算上限 | 実際の加算数 |
|---|---|---|---|
| 京都府 | 15 | 2 | 2 |
| 奈良県 | 7 | 1 | 1 |
| 福岡県 | 29 | 4 | 4 |
3府県とも加算は上限まで充足しています。基幹病院の指導医派遣実績が、加算による枠拡大の余地を埋める形で機能している状況です。
医師少数区域への常勤指導医派遣による追加分
加算とは別に、2026年度から「医師少数区域への常勤指導医派遣による追加分」が新設されました。シーリング対象外の都道府県の医師少数区域への週5日相当の常勤派遣実績に応じて、シーリング数を追加する仕組みです(次年度以降のシーリング数算出における採用実績には計上されません)。
| 府県 | 常勤派遣分 |
|---|---|
| 京都府 | 0 |
| 奈良県 | +1 |
| 福岡県 | +1 |
奈良県と福岡県に各+1の常勤派遣分が加算され、3府県合計で+2枠となっています。京都府は0です。
応募スケジュール
2026年5月末現在、日本専門医機構から2027年度専攻医募集スケジュールは公表されておりませんが、例年通りのスケジュールですと下表の流れになります。最新の情報は日本専門医機構の公式サイトから確認することを推奨します。
| 時期 | 内容 |
|---|---|
| 2026年春~夏頃 | 機構がシーリング数案を決定、研修プログラム申請・審査 |
| 2026年秋頃 | 機構が研修プログラムを承認、募集開始 |
| 2026年11月頃 | 1次募集 |
| 2026年12月頃 | 2次募集 |
| 2027年1月~2月頃 | 最終調整機関 |
| 2027年4月 | 専門研修開始 |
応募する研修プログラムは1次・2次募集ともに1人につき1プログラムに限られ、複数プログラムへの同時応募はできません。1次募集で不採用となった場合に、2次募集で別のプログラム(または同じプログラム)に応募できる仕組みです。
採用は各プログラム統括責任者が個別に採否を決める仕組みのため、初期研修のマッチング制度とは異なります。各プログラムの過去の採用倍率は日本専門医機構から公表されていないため、志望病院への直接の問い合わせや病院見学での情報収集が現実的です。

研修2年目から2027年度募集に向けて整理しておくと進めやすい流れは以下の通りです。
- 春〜初夏(2026年4〜7月):希望の整形外科プログラムについて、シーリング対象3府県(京都・奈良・福岡)の枠の規模、シーリング外の都府県の基幹病院プログラムの選択肢を整理
- 夏(2026年7〜9月):日本専門医機構の研修プログラム検索システムで各基幹病院プログラムが公開された段階で、志望候補先の通常枠・連携枠の内訳、連携先施設、サブスペシャルティ連動研修の対応状況を確認
- 秋(2026年10月):研修プログラムが機構により承認され、最終的なシーリング数と募集要項が確定。第一志望と、不採用時に応募できる候補(同じプログラムへの再応募、別プログラム、シーリング対象外都府県のプログラム)を整理
最終的な定員と募集要項は2026年夏~秋頃の承認を経て確定するため、応募締切の直前まで最新情報を確認することが推奨されます。
想定される質問と回答
Q1:地域枠出身者の扱いは?
地域枠出身者は、①都道府県と卒業後一定期間の就業契約を締結している、または②自治医科大学を卒業している、のいずれかに該当する医師のうち、専攻医期間に医師少数区域または医師少数スポットで専門研修を行う予定の場合に、シーリングの対象外として扱われます。「地域枠出身であればシーリングの影響を受けない」という解釈は誤りで、医師少数区域での研修予定要件が必須です。
整形外科シーリング対象3府県の地域枠の場合、各府県内の医師少数区域での研修予定が要件を満たすことになります。医師少数区域指定や地域枠の義務年限の運用は所属大学・都道府県によって異なるため、出願前に都道府県の地域医療対策協議会等で確認することが推奨されます。
Q2:東京都が対象外になったが、東京で整形外科を目指す場合の注意点は?
東京都は2027年度から整形外科シーリング対象外になり、都道府県全体としての採用上限の制約はなくなりました。ただし、シーリング対象外であっても、各基幹病院プログラムには独自の定員が設定されており、その定員を超えての採用は行われません。
東京都内の整形外科プログラムを擁する主要基幹病院(東京大学、慶應義塾大学、東京医科歯科大学、日本医科大学、順天堂大学、東京慈恵会医科大学、東京医科大学、昭和大学等)の各プログラムの定員と募集要項は、引き続きそれぞれが独自に設計しています。「シーリング外=枠に余裕がある」という認識は、人気プログラムには当てはまらないことがあります。
応募候補としては、各基幹病院プログラムの直近の採用人数や指導体制、サブスペシャルティ研修の対応範囲を、シーリング対象3府県と同等の解像度で確認することが推奨されます。
Q3:京都府の整形外科は連携枠端数-1の調整があるが、どういう意味か?
京都府の整形外科シーリング数は、通常枠17(基本15+加算2)と連携系合計1で合計18枠と設定されています。一方、連携プログラムの内訳は「連携1・特別地域連携1」と記載されており、計算上の合計は2となります。この差を調整するために「連携枠端数-1あり」という注記が入っており、実際の枠設定時には連携と特別地域連携のいずれかから1枠を減らして合計を1にすることが指示されています。
この端数は、各連携プログラムの枠数を2025年度の各連携プログラムの枠数の割合に応じて算出し四捨五入する過程で生じるもので、本来設定可能な連携等プログラム数(1)と算出した各連携プログラムの枠数の合計(2)との差分(-1)を示しています。応募者の側から見た場合、京都府の連携系プログラム枠は実質1枠と理解しておけば十分です。
まとめ|2027年度整形外科で専攻医を目指す際の整理ポイント
2027年度の整形外科シーリング対象は3府県(京都・奈良・福岡)に絞られており、内科・皮膚科と比べて対象都府県が大幅に少ない構造です。整理しておきたいポイントは次の通りです。
- シーリング対象は京都・奈良・福岡の3府県、合計69枠:京都府18・奈良県9・福岡県42。福岡県の42枠が3府県の中で最大規模
- 東京都が2027年度から対象外:2026年度まで対象だった東京都が、2027年度から外れた。東京での整形外科専攻医希望者にとっては都道府県全体の採用上限の制約がなくなる
- 奈良県が新規対象:2027年度から奈良県が新規シーリング対象に加わった。通常枠8・連携1の合計9枠の規模
- 連携系枠は福岡県が最大規模:連携9枠と、整形外科シーリング対象府県の中で最も連携プログラム経由のルートを取りやすい構造
- 3府県とも加算は上限まで充足:京都府・奈良県・福岡県のいずれも、加算が15%上限まで充足
最終的な定員と募集要項は2026年秋の日本専門医機構による研修プログラム承認を経て確定するため、応募締切の直前まで最新情報を確認することが推奨されます。本記事が整形外科の専攻医を目指す方々の参考になれば幸いです。
→ 関連記事:【2027年度版】京都府の専攻医シーリング解説|関西圏で希望診療科を確保するために
→ 関連記事:2027年度専攻医募集シーリング検索ツール
参考資料・出典
一次資料
- 厚生労働省|令和7年度第5回 医道審議会 医師分科会 医師専門研修部会 資料1-1「令和9(2027)年度専攻医募集について」(令和8年3月18日)
https://www.mhlw.go.jp/content/10803000/001675399.pdf - 厚生労働省|令和7年度第5回 医道審議会 医師分科会 医師専門研修部会 資料1-2「令和9年度プログラム募集シーリング数(案)」(令和8年3月18日)
https://www.mhlw.go.jp/content/10803000/001675400.pdf - 厚生労働省|令和7年度第2回 医道審議会 医師分科会 医師専門研修部会 資料2-1「令和9(2027)年度のシーリングについて」(令和7年7月24日)
https://www.mhlw.go.jp/content/10803000/001521962.pdf - 厚生労働省|令和7年度第3回 医道審議会 医師分科会 医師専門研修部会 参考資料3「令和8(2026)年度専攻医募集シーリング(案)」(令和7年9月5日)
https://www.mhlw.go.jp/content/10803000/001555691.pdf
公式サイト
- 一般社団法人 日本専門医機構
https://jmsb.or.jp - 公益社団法人 日本整形外科学会
https://www.joa.or.jp

太田 旭
株式会社eggside 代表取締役。医学生。
自由診療のための医師向けメディア「doctorside」を運営したり、クリニック集患支援を行っている。