本記事では、医学部に在籍する筆者が、2027年度に都市部で眼科の専攻医研修を目指す研修医・医学生のために、眼科シーリング制度の状況と、対象6都府県(東京・愛知・京都・大阪・兵庫・岡山)のシーリング状況について、一次資料を読み解き、整理しています。
眼科は2027年度の専攻医募集において、シーリング対象都府県が6都府県となり、2026年度の4都府県(東京・京都・大阪・兵庫)から、愛知県と岡山県が新規に追加される形で対象範囲が拡大しました。
2027年度の眼科シーリングについて押さえておくべき点は、次の3つです。
- シーリング対象は6都府県:東京都・愛知県・京都府・大阪府・兵庫県・岡山県。神奈川・福岡などの都市圏は採用上限の制約を受けない
- 大阪府・兵庫県は連携枠ゼロ:通常プログラム基本数(+加算数)が過去3年平均以上のため、連携・特別地域連携プログラムの設置余地が制度上生じない構造
- 東京都の連携系24枠が突出:6都府県の中で東京が連携プログラム経由のルートが最も豊富。京都9、愛知4、岡山1、大阪・兵庫各0と差が顕著
本記事では、眼科シーリングの仕組み、2027年度の対象6都府県とシーリング数、連携プログラム、指導医派遣加算、応募スケジュール、想定される質問への回答を順に整理します。
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眼科シーリング制度の概要
専攻医のシーリングは、診療科ごと・都道府県ごとに採用上限を設けて特定地域への医師集中を抑える仕組みです。日本専門医機構が2018年度に導入し、2020年度に全国へ拡大されました。医師数が必要医師数を上回る都道府県の診療科に採用枠の上限が課されます。

2027年度の主な変更点
2027年度から、シーリング制度には次の制度変更が反映されています。
- 連携プログラムが3種類から2種類に:従来の「連携プログラム(都道府県限定分)」が「特別地域連携プログラム」に統合され、「連携プログラム」と「特別地域連携プログラム」の2種類に変更
- 特別地域連携プログラムの足下充足率基準が緩和:0.7以下から0.8以下に変更
- 連携先要件の変更:「医師少数区域にある施設」から「都道府県が候補とした施設」に変更
- 指導医派遣加算は2026年度の派遣実績を継続使用:2026年度から導入された加算制度が継続。原則として2027年度も2026年度の派遣実績がそのまま使われる
これらの制度変更は、眼科シーリングにもそのまま適用されます。

眼科シーリング数の算定式
眼科シーリング数は、診療科ごと・都道府県ごとに、次の構造で計算されます。
- 通常プログラム基本数:過去3年間(令和5〜7年度)の眼科の全国専攻医採用数の平均 ×(都道府県の人口 / 全国の総人口)
- 通常プログラム加算数:基本数の15%までの範囲で、指導医派遣実績に応じて加算
- 連携・特別地域連携プログラム:通常プログラム合計が過去3年平均に満たない場合の差分範囲で設置。連携プログラムと特別地域連携プログラムへの配分は、各都道府県の2025年度の各連携プログラム枠数の割合に応じて算出
- 常勤派遣分:医師少数区域への週5日相当の常勤指導医派遣実績に応じた追加
応募者の出願検討では、通常プログラム(基本数+加算数)と連携系プログラムの2区分を都府県ごとに確認することが基本になります。
2027年度の対象6都府県とシーリング数
2027年度 眼科シーリング対象6都府県
2027年度に眼科シーリング対象となるのは東京都・愛知県・京都府・大阪府・兵庫県・岡山県の6都府県です。
| 都府県 | 基本数 | 加算数 | 連携 | 特別地域連携 | 合計 | 常勤派遣分 |
|---|---|---|---|---|---|---|
| 東京都 | 38 | 6 | 11 | 13 | 68 | +1 |
| 愛知県 | 20 | 3 | 2 | 2 | 27 | +1 |
| 京都府 | 7 | 1 | 4 | 5 | 17 | 0 |
| 大阪府 | 23 | 3 | 0 | 0 | 26 | 0 |
| 兵庫県 | 14 | 0 | 0 | 0 | 14 | 0 |
| 岡山県 | 5 | 1 | 1 | 1 | 7 ※ | 0 |
※岡山県は連携枠端数-1あり(連携と特別地域連携のいずれかから1枠減らして合計を出す)
6都府県合計で159枠です。最大は東京都の68枠(通常枠44・連携系24)で、続いて愛知27、大阪26、京都17、兵庫14、岡山7と続きます。

構造的な特徴
6都府県の眼科シーリング枠を構造別に整理すると、次の3パターンに分類できます。
- 通常枠中心型(連携系ゼロ):大阪府、兵庫県。「通常プログラム基本数(+加算数)が過去3年平均以上」のため、連携・特別地域連携プログラムの設置余地が制度上生じない構造
- 通常枠+小〜中規模連携枠型:愛知県、京都府、岡山県。連携系枠が通常枠の2〜4割程度
- 通常枠+大規模連携枠型:東京都。連携系24枠で、通常枠44とほぼ同等の規模
東京のような大規模な連携等枠がある場合は、連携プログラムを経由するルートが候補の1つになりますが、大阪や兵庫のように連携等枠がゼロや少ない府県で専攻医を目指す場合は、通常枠内での競争もしくは近隣のシーリング非対象県も視野に入れる必要があります。

2026年度からの変更点
眼科シーリング対象都府県は、2026年度から2027年度にかけて次のように変わりました。
| 都府県 | 2026年度 | 2027年度 |
|---|---|---|
| 東京都 | 対象(合計68) | 対象(合計68・継続) |
| 愛知県 | — | 対象に追加(合計27) |
| 京都府 | 対象(合計17) | 対象(合計17・継続) |
| 大阪府 | 対象(合計26) | 対象(合計26・継続) |
| 兵庫県 | 対象(合計14) | 対象(合計14・継続) |
| 岡山県 | — | 対象に追加(合計7) |
2027年度は愛知県・岡山県が新規対象として追加され、2026年度から対象だった4都府県(東京・京都・大阪・兵庫)は継続して対象です。対象外になった都府県はゼロで、対象範囲が拡大した形になります。なお、継続4都府県の合計シーリング数は2026年度と2027年度で同数です。
第3章 連携プログラムと特別地域連携プログラム
2027年度から、連携系プログラムは「連携プログラム」と「特別地域連携プログラム」の2種類に集約されました。
| 区分 | 連携先 | 連携先での研修期間 |
|---|---|---|
| 連携プログラム | シーリング対象外の都道府県に所在する施設 | 1年6か月以上 |
| 特別地域連携プログラム | 足下充足率0.8以下の都道府県のうち、当該都道府県が候補とした施設 | 1年以上 |
特別地域連携プログラムは、足下充足率の基準が0.7以下から0.8以下に緩和され、連携先施設の指定が「医師少数区域にある施設」から「都道府県が候補とした施設」に変更されました。
眼科6都府県の連携系プログラム枠の内訳
| 都府県 | 連携プログラム | 特別地域連携プログラム | 連携系合計 |
|---|---|---|---|
| 東京都 | 11 | 13 | 24 |
| 愛知県 | 2 | 2 | 4 |
| 京都府 | 4 | 5 | 9 |
| 大阪府 | 0 | 0 | 0 |
| 兵庫県 | 0 | 0 | 0 |
| 岡山県 | 1 | 1 | 1 ※ |
連携系枠の規模が圧倒的に大きいのは東京都の24枠で、続いて京都府9、愛知県4、岡山県1。大阪府と兵庫県は連携系枠ゼロです。連携プログラム経由のルートを選択肢に含められる程度は、東京都が最も大きく、次いで京都府が現実的な選択肢として機能する構造です。連携プログラムを検討する際は採用後のミスマッチを防ぐためにも、次の3点を確認することを推奨します。
- 連携先での研修期間:連携プログラムは1年6か月以上、特別地域連携プログラムは1年以上。研修期間のうちかなりの部分を連携先で過ごす設計になっています。
- 連携先施設のリスト:各基幹病院がどの都道府県・どの施設を連携先として設定しているかは、プログラム冊子や基幹病院の公式情報で確認可能です。
- 眼科のサブスペシャルティ志向との整合性:連携先で経験できる症例構成・指導体制が、希望するサブスペシャルティの方向性と一致するかを事前に確認する必要があります。
指導医派遣加算
2026年度から、基幹病院の指導医派遣実績に応じて通常枠を上乗せできる加算制度が導入され、2027年度も継続されています。通常プログラム基本数の最大15%を上限に、シーリング対象外の都道府県や医師少数区域への派遣実績に基づいて配分されます。
2027年度の加算数は、原則として2026年度のシーリング算出に用いた指導医派遣実績が継続使用されます。新規シーリング対象となった愛知県・岡山県については、新たに収集した派遣実績に基づいて算出されています。
眼科6都府県の加算数(2027年度)
| 都府県 | 通常枠基本数 | 加算上限 | 実際の加算数 | 備考 |
|---|---|---|---|---|
| 東京都 | 38 | 6 | 6 | 上限まで |
| 愛知県 | 20 | 3 | 3 | 上限まで |
| 京都府 | 7 | 1 | 1 | 上限まで |
| 大阪府 | 23 | 3 | 3 | 上限まで |
| 兵庫県 | 14 | — | 0 | 設定なし |
| 岡山県 | 5 | 1 | 1 | 上限まで |
兵庫県を除く5都府県は、加算が上限まで充足しています。兵庫県は通常基本数が14と過去3年平均採用数12を上回るため、制度上、加算枠が生じない構造です。
医師少数区域への常勤指導医派遣による追加分
加算とは別に、2026年度から「医師少数区域への常勤指導医派遣による追加分」が新設されました。シーリング対象外の都道府県の医師少数区域への週5日相当の常勤派遣実績に応じて、シーリング数を追加する仕組みです(次年度以降のシーリング数算出における採用実績には計上されません)。
| 都府県 | 常勤派遣分 |
|---|---|
| 東京都 | +1 |
| 愛知県 | +1 |
| 京都府 | 0 |
| 大阪府 | 0 |
| 兵庫県 | 0 |
| 岡山県 | 0 |
東京都と愛知県に各+1の常勤派遣分が加算され、6都府県合計で+2枠となっています。
応募スケジュール
2026年5月現在、日本専門医機構から2027年度専攻医募集スケジュールは公表されておりませんが、例年通りのスケジュールですと下表の流れになります。最新の情報は日本専門医機構の公式サイトから確認することを推奨します。
| 時期 | 内容 |
|---|---|
| 2026年春~夏頃 | 機構がシーリング数案を決定、研修プログラム申請・審査 |
| 2026年秋頃 | 機構が研修プログラムを承認、募集開始 |
| 2026年11月頃 | 1次募集 |
| 2026年12月頃 | 2次募集 |
| 2027年1月~2月頃 | 最終調整機関 |
| 2027年4月 | 専門研修開始 |
応募する研修プログラムは1次・2次募集ともに1人につき1プログラムに限られ、複数プログラムへの同時応募はできません。1次募集で不採用となった場合に、2次募集で別のプログラム(または同じプログラム)に応募できる仕組みです。
採用は各プログラム統括責任者が個別に採否を決める仕組みのため、初期研修のマッチング制度とは異なります。各プログラムの過去の採用倍率は日本専門医機構から公表されていないため、志望病院への直接の問い合わせや病院見学での情報収集が現実的です。

研修2年目から2027年度募集に向けて整理しておくと進めやすい流れは以下の通りです。
- 春〜初夏(2026年4〜7月):希望の眼科プログラムについて、シーリング対象6都府県の枠の規模、シーリング外の都府県の基幹病院プログラムの選択肢を整理
- 夏(2026年7〜9月):日本専門医機構の研修プログラム検索システムで各基幹病院プログラムが公開された段階で、志望候補先の通常枠・連携枠の内訳、連携先施設、サブスペシャルティ連動研修の対応状況を確認
- 秋(2026年10月):研修プログラムが機構により承認され、最終的なシーリング数と募集要項が確定。第一志望と、不採用時に応募できる候補(同じプログラムへの再応募、別プログラム、シーリング対象外都府県のプログラム)を整理
最終的な定員と募集要項は2026年夏~秋頃の承認を経て確定するため、応募締切の直前まで最新情報を確認することが推奨されます。
想定される質問と回答
Q1:地域枠出身者の扱いは?
地域枠出身者は、①都道府県と卒業後一定期間の就業契約を締結している、または②自治医科大学を卒業している、のいずれかに該当する医師のうち、専攻医期間に医師少数区域または医師少数スポットで専門研修を行う予定の場合に、シーリングの対象外として扱われます。「地域枠出身であればシーリングの影響を受けない」という解釈は誤りで、医師少数区域での研修予定要件が必須です。
眼科シーリング対象6都府県の地域枠の場合、各都府県内の医師少数区域での研修予定が要件を満たすことになります。医師少数区域指定や地域枠の義務年限の運用は所属大学・都道府県によって異なるため、出願前に都道府県の地域医療対策協議会等で確認することが推奨されます。
Q2:大阪府と兵庫県は連携枠がゼロだが、迂回ルートはないのか?
大阪府と兵庫県は、通常プログラム基本数(+加算数)が過去3年間の平均採用数を上回るか同数となるため、連携プログラム・特別地域連携プログラムの設置余地が制度上生じない構造になっています。両府県内の基幹病院プログラムを通じた研修ルートは、通常プログラムのみです。
ただし、シーリング対象外の道県を視野に入れると選択肢があります。眼科シーリング対象外の地域(近隣では奈良・滋賀・和歌山・広島など)の基幹病院プログラムは、都道府県全体の採用上限の制約を受けません。希望地域の選択肢を拡張する場合、シーリング対象外地域の基幹病院プログラムを応募候補に含める形になります。
なお、シーリング対象外であっても各基幹病院プログラムには独自の定員が設定されているため、「シーリング外=枠に余裕がある」とは限らない点には注意が必要です。
Q3:愛知県と岡山県が2027年度から新規対象になったが、これは何を意味するか?
愛知県と岡山県は、2027年度のシーリング対象見直しにより、眼科の新規シーリング対象として追加されました。これにより、両県の眼科専攻医採用は都道府県全体での合計上限(愛知27枠、岡山7枠)の範囲内に制限されることになります。
ただし、両県のシーリング数は過去3年間の眼科専攻医採用数の同規模の水準で設定されているため、シーリング導入によって採用数が大幅に縮小する設計にはなっていません。
応募候補としては、両県の各基幹病院プログラムの直近の採用人数や指導体制、サブスペシャルティ研修の対応範囲を、東京都・京都府などのシーリング既存対象都府県と同等の解像度で確認することが推奨されます。
まとめ|2027年度眼科で専攻医を目指す際の整理ポイント
2027年度の眼科シーリングは対象都府県が4都府県(2026年度)から6都府県に拡大しました。整理しておきたいポイントは次の通りです。
- シーリング対象は東京・愛知・京都・大阪・兵庫・岡山の6都府県、合計159枠:東京68・愛知27・大阪26・京都17・兵庫14・岡山7。東京の68枠が突出
- 愛知県・岡山県が2027年度から新規対象に:対象外になった都府県はゼロで、対象範囲が拡大した形
- 大阪府・兵庫県は連携枠ゼロ:通常プログラム基本数(+加算数)が過去3年平均以上のため、連携余地が制度上生じない
- 兵庫県は加算もゼロ:通常基本数14が過去3年平均(12)を上回るため、加算の設定可能枠が制度上生じない
- 東京都の連携系24枠が突出:連携プログラム経由のルートが眼科で最も豊富。京都9、愛知4、岡山1と続き、大阪・兵庫は0
最終的な定員と募集要項は2026年秋の日本専門医機構による研修プログラム承認を経て確定するため、応募締切の直前まで最新情報を確認することが推奨されます。本記事が眼科の専攻医を目指す方々の参考になれば幸いです。
→ 関連記事:2027年度専攻医募集シーリング検索ツール
考資料・出典
一次資料
- 厚生労働省|令和7年度第5回 医道審議会 医師分科会 医師専門研修部会 資料1-1「令和9(2027)年度専攻医募集について」(令和8年3月18日)
https://www.mhlw.go.jp/content/10803000/001675399.pdf - 厚生労働省|令和7年度第5回 医道審議会 医師分科会 医師専門研修部会 資料1-2「令和9年度プログラム募集シーリング数(案)」(令和8年3月18日)
https://www.mhlw.go.jp/content/10803000/001675400.pdf - 厚生労働省|令和7年度第2回 医道審議会 医師分科会 医師専門研修部会 資料2-1「令和9(2027)年度のシーリングについて」(令和7年7月24日)
https://www.mhlw.go.jp/content/10803000/001521962.pdf - 厚生労働省|令和7年度第3回 医道審議会 医師分科会 医師専門研修部会 参考資料3「令和8(2026)年度専攻医募集シーリング(案)」(令和7年9月5日)
https://www.mhlw.go.jp/content/10803000/001555691.pdf
公式サイト
- 一般社団法人 日本専門医機構
https://jmsb.or.jp - 公益財団法人 日本眼科学会
https://www.nichigan.or.jp

太田 旭
株式会社eggside 代表取締役。医学生。
自由診療のための医師向けメディア「doctorside」を運営したり、クリニック集患支援を行っている。