【2026年版】皮膚科専門医の取得に何年かかる?更新・維持の条件も解説

本記事では、医学部に在籍する筆者が、これから皮膚科専門医の取得を目指す研修医と専攻医のために、皮膚科専門医の取得までの年数と、取得後の更新・維持の条件について、日本皮膚科学会の一次資料を読み解き、整理しています。

皮膚科専門医は、初期臨床研修を修了したあと、皮膚科の専門研修を5年受けて取得します。初期研修修了後で数えて最短5年です。この専門研修の5年は、基本領域19科のなかで最も長い部類です。

皮膚科専門医で押さえておくべき点は、次の3つです。

  • 取得までの年数:初期研修修了後に専門研修を5年で、最短5年。基本領域19科のなかで専門研修が最も長い部類にあたる。研修中に手術症例レポートを10例以上提出する
  • 更新の条件:5年ごとに合計50単位。診療実績・共通講習・領域講習・学術業績の4区分をまたいで集め、加えて勤務実態が2.5年以上あることが求められる
  • 更新ルールの改訂:2024年5月に更新基準が改訂され、診療実績を免除する特例更新の廃止方針が示された

本記事では、皮膚科専門医の取得までの流れ、研修で積む手術症例レポート、受験と認定試験、更新・維持の条件、2024年の更新ルール改訂、皮膚科で身につく診断力と扱う疾患の幅を順に整理します。

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執筆者プロフィール

太田 旭

株式会社eggside 代表取締役。医学生。自由診療のための医師向けメディア「doctorside」を運営しつつ、LP制作、Google広告運用、SNS運用代行など、クリニック・歯科医院を中心としたマーケティング支援に従事しています。

皮膚科専門医の取得までの流れ(最短5年)

皮膚科専門医までの5年
皮膚科専門医は初期研修修了後に専門研修5年、最短5年で取得する

皮膚科専門医になるまでの流れは、初期臨床研修を2年終えたあと、皮膚科の専門研修に5年以上入り、研修を修了して認定試験に合格する、という順です。初期研修の2年はどの科にも共通で必要で、皮膚科ならではの研修はそのあとの5年です。取得までの年数を初期研修修了後で数えると、最短5年になります。

  • 初期研修2年:どの科にも共通で必要。皮膚科ならではの研修はそのあとの5年になる
  • 皮膚科専門研修5年以上:基本領域19科のなかで専門研修が最も長い部類にあたる。ほかの科の多くは専門研修が3〜4年で、皮膚科はまるまる5年を求める
  • 基幹施設で最低1年:5年のうち最低1年は基幹施設で研修する。基幹施設とは、学会が定めた基準を満たした中心的な研修病院で、指導体制や症例数がそろった施設を指す
  • 残りの期間:連携する施設をローテーションしながら、皮膚科の幅広い疾患を経験する

この5年の長さが、皮膚科の取得までを長くしている理由です。専門研修が5年に設定されている点は、取得を考えるうえで先に見積もっておく数字になります。

出典:日本皮膚科学会「研修カリキュラム 第12版」

研修で積む手術症例レポート

皮膚科は、内服や外用の薬による治療だけでなく、皮膚腫瘍の切除などの手術も扱う科です。そのため研修では手術の経験も積み、そのレポートを提出します。

  • 手術症例レポート:術者または第1助手として関わった手術症例を、10例以上提出する。術者とは執刀医のこと、第1助手とは執刀を直接介助する立場を指す
  • 提出の目的:皮膚科が診断と内科的治療だけの科ではなく、手術まで扱う科であることが、この要件に表れている

出典:日本皮膚科学会「研修カリキュラム 第12版」

受験資格と認定試験

皮膚科専門医の認定試験は、皮膚科の専門研修を5年以上修了する見込みで、手術症例レポートなどの要件を満たした人が受けられます。試験は皮膚科の広い範囲から知識を問う形式で、要件を満たしたうえで合格すると、皮膚科専門医に認定されます。受験に必要な症例の細かい内訳や試験の出題数など細かい形式は、受験する年度の実施要項で確認してください。

出典:日本皮膚科学会「研修カリキュラム 第12版」

皮膚科専門医の更新・維持の条件(5年ごと・50単位)

更新は5年ごと50単位
5年ごとに4区分で計50単位、加えて勤務実態2.5年以上が求められる

皮膚科専門医は、取得して終わりではなく、5年ごとに更新します。更新の条件は、その5年間で合計50単位以上を取ることです。

単位とは、更新のためにためるポイントのことです。講習の受講や経験した症例数、学会発表など、日々の医師の活動に応じてたまります。この50単位は、次の4つの区分をまたいで集めます。

  • 診療実績:10単位。皮膚科医として実際に働いた記録で、5年で100例を経験し、ore-testを受ける。ore-testとは、実際の症例をもとに診断や治療を問う形式のテストを指す
  • 共通講習:3〜10単位。医療安全や感染対策、医療倫理など、どの科の専門医にも共通で求められる講習
  • 皮膚科領域講習:20単位。皮膚科の学術集会や研修会など、専門分野の講習で、更新単位の中心になる
  • 学術業績など:0〜10単位。学会発表や論文など

これに加えて、勤務実態が2.5年以上あることも求められます。専門医の看板だけを持って現場を離れている状態では更新できない、という趣旨です。

出典:日本皮膚科学会「専門医更新基準 改訂(6) 2024年5月17日」

皮膚科専門医の更新ルールは2024年に改訂された

2024年5月の更新改訂
2024年5月改訂で特例更新は廃止方針、必修Bは2027年度から順次必須

皮膚科の更新基準は、2024年5月の改訂で見直されました。以前は、年齢を重ねた専門医が診療実績を免除される特例更新がありましたが、この特例は廃止する方針が示されています。ただし施行細則には旧来の条文が残っている部分もあり、版によって記述が並存しています。自分が更新の年に近づいたら、その時点の最新基準を学会サイトで確認してください。

共通講習の必修化にも移行期間があります。医療制度や地域医療などをカバーする必修Bの5項目は、2027年度の更新から順に必須になります。それまでの更新では、医療安全など必修Aの3単位で足ります。

出典:日本皮膚科学会「専門医更新基準 改訂(6) 2024年5月17日」

皮膚科専門医で身につく診断力と扱う疾患の幅

最短5年かけて保険診療の皮膚科をひととおり経験すると、湿疹や腫瘍などの皮膚疾患を見分ける診断力と、薬の副作用や合併症が起きたときに対処する経験が身につきます。皮膚科は内服や外用の治療から手術までを扱う科なので、この5年で経験する疾患の幅が広い点が特徴です。

専門医を取っておくと、勤務先や働き方の選択肢が広がります。病院やクリニックが求人で皮膚科専門医を条件にすることもあり、皮膚科専門医と掲げられることが、患者が受診先を選ぶときの判断材料になる場合もあります。

一方で、皮膚科専門医は皮膚科で働くための法律上の必須資格ではありません。医師免許があれば皮膚科の診療そのものは行えます。専門医を取ってから進む医師もいれば、専門医を取らずに早く現場の実務を積む医師もいるようです。どちらが正しいという話ではなく、最短5年という取得年数と、5年ごとの更新の負担を、自分のキャリアと照らして見積もる話です。

この記事で断定していない点

皮膚科の受験に必要な症例の細かい内訳や、ore-testの合格ラインの具体的な数値など、一次資料の本文に載っていない項目は断定を避けています。更新基準は年度で改訂されるため、本文の数値は2024年5月改訂版と2025年度時点の内容です。

参考文献

  • 日本皮膚科学会「研修カリキュラム 第12版」. https://www.dermatol.or.jp/dermatol/wp-content/uploads/2015/11/h_kensyuupuro.pdf
  • 日本皮膚科学会「専門医更新基準 改訂(6)」(2024年5月17日). https://www.dermatol.or.jp/uploads/uploads/files/HP%E7%9A%AE%E8%86%9A%E7%A7%91%E6%9B%B4%E6%96%B0%E5%9F%BA%E6%BA%96%E6%94%B9%E8%A8%82%286%29.pdf
  • 日本専門医機構「整備指針補足説明」(2021年6月25日改訂). https://jmsb.or.jp/wp-content/uploads/2021/08/epexegesis_2021_06.pdf
この記事の監修者

太田 旭

株式会社eggside 代表取締役。医学生。
自由診療のための医師向けメディア「doctorside」を運営したり、クリニック集患支援を行っている。