本記事では、医学部に在籍する筆者が、これから総合診療専門医の取得を目指す研修医と専攻医のために、総合診療専門医の取得までの年数と、取得後の更新・維持の条件について、日本専門医機構の一次資料を読み解き、整理しています。
総合診療専門医は、初期臨床研修を修了したあと、総合診療の専門研修を3年受けて取得します。初期研修修了後で数えて最短3年です。取得後は5年ごとに更新します。
総合診療専門医で押さえておくべき点は、次の3つです。
- 取得までの年数:初期研修修了後に専門研修を3年で、最短3年。初期研修の2年はどの科にも共通で別途必要
- 更新の条件:5年ごとに更新し、更新試験はIBT、日々の記録はMy Portfolioで管理する。更新に必要な具体的な単位数は、本記事の作成時点で確認できていない
- 総合診療の位置づけ:特定の臓器や領域に絞らず、地域で最初に患者を受け止める医師を育てる基本領域の一つ
本記事では、総合診療専門医の取得までの流れ、認定試験、更新・維持の条件、総合診療ならではの研修の特徴を順に整理します。
→ 関連記事:【2026年版】専門医は何年で取れる?診療科別に取得年数の目安と更新の条件をまとめてみた
総合診療専門医の取得までの流れ(最短3年)
総合診療専門医になるまでの流れは、初期臨床研修を2年終えたあと、総合診療の専門研修プログラムに3年以上入り、研修を修了して認定試験に合格する、という順です。初期研修の2年はどの科にも共通で必要で、総合診療ならではの研修はそのあとの3年です。取得までの年数を初期研修修了後で数えると、最短3年になります。

- 初期研修:2年。どの科に進む場合も共通で必要
- 専門研修:3年。総合診療の専門研修プログラムに入って研修する
- 修了後:総合診療専門医の認定試験を受ける
年数だけを見ると内科や小児科と変わりませんが、その3年の過ごし方は総合診療で大きく違います。研修の中身は、後段の「総合診療の研修の特徴」で整理します。
認定試験(CBT250問と面接)
専門研修を修了したあと、総合診療専門医の認定試験を受けます。試験は知識と実地の両面から判定する形式です。
- CBT:250問。CBTとは、コンピュータ上でおこなう選択式の試験を指す
- 面接:CBTとあわせて課される
この試験に合格すると、総合診療専門医に認定されます。
出典:日本専門医機構「総合診療専門研修 整備基準」
総合診療専門医の更新・維持の条件(IBTとMy Portfolio)
総合診療専門医も、取得して終わりではなく、5年ごとに更新します。

更新のための試験はIBTでおこないます。IBTとは、Internet Based Testingの略で、インターネット経由で受けるオンライン試験のことです。総合診療のIBTはオープンブック形式で、オープンブックとは、資料を参照しながら解答してよい方式を指します。暗記の量そのものより、必要な情報を引きながら判断する力を確かめる狙いがうかがえます。医師の皆様は、学生の頃にCBTを受験されているかと思いますので、そのイメージで問題ないかと思われます。
単位とは、更新のためにためるポイントのことです。講習の受講や経験した症例数、学会発表など、日々の医師の活動に応じてたまります。日々の研修や活動の記録は、My Portfolio(研修や活動の記録を電子的に蓄積するポートフォリオ)で管理し、更新に必要な単位は、この記録をもとに確認する仕組みです。
基本領域に共通する枠組みとして「5年ごと・原則50単位」がありますが、総合診療で必要になる領域固有の単位数と診療実績の具体的な値は、本記事の作成時点で確認できていません。ここでは数字を作らず、確認できた範囲にとどめます。
出典:日本専門医機構「総合診療専門研修 整備基準」
総合診療の研修の特徴(機構が直接運営、複数科をローテーション)
総合診療は、運営の主体が他の基本領域と異なります。内科や小児科は各学会が専門医制度を回すのに対し、総合診療は日本専門医機構が学会を介さずに直接統括します。ここでいう日本専門医機構とは、各科の専門医制度を横断的に取りまとめる第三者機関を指します。

研修の中身も、一つの科だけを続けるのではなく、複数の科を移りながら組み立てます。整備基準に沿うと、専門研修3年間は次のようにローテーションします。
- 総合診療Ⅰ:6か月。診療所や中小病院で、地域に密着した診療を学ぶ
- 総合診療Ⅱ:6か月。病院の総合診療部門で、入院や連携を学ぶ
- 内科:12か月
- 小児科:3か月
- 救急科:3か月
この構造の中で、在宅医療の症例を10例経験することも求められます。病院の外来や病棟だけでなく、患者の生活の場に出向く診療まで研修の範囲に含めている点が、総合診療の特徴です。
一つの臓器や領域を深く扱うのではなく、内科から小児科、救急、在宅までを一続きに経験し、地域で最初に患者を受け止める医師を育てます。この横断的なローテーション研修が、総合診療を他科と分ける特徴です。
出典:日本専門医機構「総合診療専門研修 整備基準」
この記事で断定していない点(更新単位の具体は未確認)
- 総合診療の更新で必要になる領域固有の単位数と、診療実績の具体的な値は、機構のページから外部のリンク先に置かれており、本記事の作成時点で内容を取得できませんでした。したがって更新に必要な合計単位や内訳の数字は、ここでは断定しません。基本領域に共通する「5年ごと・原則50単位」という枠組みを前提として触れるにとどめます。
- ローテーションの月数は整備基準にもとづく標準的な構成であり、プログラムや施設の事情で運用が異なる場合があります。個別の配分までは断定しません。
参考文献
- 日本専門医機構「総合診療専門研修 整備基準」(2020年11月). https://jmsb.or.jp/wp-content/uploads/2020/12/comprehensive_20201120.pdf
- 日本専門医機構「概報 2025」(2026年3月). https://jmsb.or.jp/wp-content/uploads/2026/03/gaiho_2025.pdf

太田 旭
株式会社eggside 代表取締役。医学生。
自由診療のための医師向けメディア「doctorside」を運営したり、クリニック集患支援を行っている。