本記事では、医学部に在籍する筆者が、アレルギーを専門にしようと考えている専攻医と研修医のために、アレルギー専門医の取得までの年数と、取得後の更新・維持の条件について、日本専門医機構と厚生労働省の一次資料から整理しています。
以下の数値は、断りのない限り、日本専門医機構がまとめた「日本専門医制度概報 令和7年度版」によります。厚生労働省の一覧は2025年12月19日現在のものです。この資料が載せているアレルギーの年数条件は、基本領域の臨床研修を含めて通算6年以上の臨床研修歴です。資料は「通算3年以上は本学会入会後」とも書いていて、6年の内側の3年と読めます。申請の前提として、内科や小児科など基本領域の学会の専門医(認定医)資格と、認定時に引き続き5年以上の日本アレルギー学会の会員歴も必要です。6年の起点が資料に書かれていないため、初期研修を終えてから何年かかるのかは資料からは出せません。
アレルギー専門医で押さえておくべき点は、次の3つです。
- 年数条件:基本領域の臨床研修を含めて通算6年以上の臨床研修歴が必要です。資料は「通算3年以上は本学会入会後」とも書いていて、6年の内側の3年と読めます。会員歴も、認定時に引き続き5年以上必要です
- 提出する実績:直近5年間に自ら診療した患者40名分の診療実績書と、そのうち2例の症例報告書を提出します。業績も直近5年間で50単位以上必要です。単位とは、学会が業績を数えるためのポイントです
- 制度の状態:厚生労働省の一覧では、アレルギーの整備基準の審査結果が承認保留のままです。整備基準とは、領域ごとに研修内容や施設の要件を定めた文書です。感染症と老年科も同じ状態です
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アレルギー専門医の申請資格と必要な年数
資料が挙げる申請資格は8項目です。
- 日本国の医師免許を持つ医師であること
- 認定時に引き続き5年以上、日本アレルギー学会の会員であること
- 内科、小児科、耳鼻咽喉科、皮膚科、眼科など基本領域の学会の専門医(認定医)資格の認定を受けていること。資料はこれらの学会を基盤学会と記しています
- 基本領域の臨床研修を含め、通算6年以上の臨床研修歴があること
- 直近5年間に自ら診療しているアレルギー疾患患者40名分の診療実績書を提出すること
- その40名のうち2例についての症例報告書を提出すること
- 直近5年間に、アレルギー学の業績が50単位以上あること
- 専門医資格認定試験に合格していること
書類を出すのが試験の前か後かは書かれていません。入口になる基本領域として挙がる5つには末尾に「など」が付いていて、これで全部だとは書かれていません。ほかの基本領域の資格が使えるのか、「専門医(認定医)資格」の専門医と認定医のどちらでよいのかも分かりません。
年数の条件は、4つめの項目にある通算6年以上です。この6年に含まれる「基本領域の臨床研修」が初期研修か基本領域の専門研修か、その両方かは書かれていません。起点も書かれていないため、初期研修を終えてから何年かかるのかは資料からは出せません。
この6年のうち通算3年以上には、さらに条件が付きます。資料の書き方は「ただし、通算3年以上は本学会入会後とし」で、6年の内側の3年と読めます。条件は、日本アレルギー学会に入会したあとの期間であること、自身の基本領域について学会が認定したアレルギー専門医教育研修施設などでの研修であること、学会が認定した指導医または専門医のもとでの研修であること、学会が別に定めるカリキュラムに従ったアレルギー学の臨床研修であること、の4つです。資料は研修施設の欄では「認定教育施設」という別の名前を使っていて、教育研修施設と同じものかは書かれていません。
この3年の研修を基本領域の専門研修と同じ期間に進めてよいのかは、どちらの資料にも書かれていません。ここが決まらないため、6年が最短でいつ揃うのかも決まりません。施設の専門性や地域などの格差で施設での研修が難しい場合の「第32条の研修方法」も、何の第32条でどういう研修かは載っていません。
会員であること自体の条件は、2つめの項目にある「認定時に引き続き5年以上」です。5年は会員歴の長さ、3年は入会後に積むという研修の置き場所で、別のことを定めています。この5年をいつから数えるのか、「引き続き」がどこまでの中断を許すのかは書かれていません。また資料は、留学、出産、育児休暇、長期療養期間を臨床研修歴に含めないと、通算6年を定めた項目のなかで明記しています。
出典:日本専門医機構「日本専門医制度概報 令和7年度版」
研修の中身と、提出する診療実績・業績50単位
資料は、すべてのアレルギー専門医が到達することが望まれる基本的な到達目標を8つ挙げています。病因アレルゲンの同定と回避指導(必要に応じてアレルゲン免疫療法)、アナフィラキシー既往者の管理(原因の同定と回避指導、アドレナリン自己注射システムの教育指導を含む)、気管支喘息、花粉症とアレルギー性鼻結膜炎、蕁麻疹とアトピー性皮膚炎、食物アレルギー、薬剤アレルギー、昆虫アレルギーや口腔アレルギー症候群、ラテックスアレルギーなどその他の各種アレルギー疾患の8つで、疾患はガイドラインに基づく管理・治療か、基本的な管理と指導ができることが求められます。
各科別の到達目標と必修の研修項目は、学会のアレルギー専門医カリキュラム(2025年3月21日改定)にあるとされ、中身は載っていません。
提出する診療実績書と症例報告書の書式や分量、40名に内訳が求められるのか、「自ら診療している」がどこまでの関わりを指すのかは、資料に載っていません。
業績は直近5年間で50単位以上が必要で、資料はこの5年間を「5年前の8月1日から申請時まで」と定義しています。何が業績にあたり何単位になるのかという配点は、資料が「別表1」と呼ぶ表にあり、その中身は資料に載っていません。何の別表1なのかも書かれていません。
資料は、この50単位を定めた7つめの項目のなかで、学会が開催する学術大会に2回以上、総合アレルギー講習会に1回以上出席することも必須と記しています。それぞれ何単位になるのか、総合アレルギー講習会がどういう内容の会で年に何回開かれるのかは、資料に載っていません。
出典:日本専門医機構「日本専門医制度概報 令和7年度版」
認定試験は115問、合格基準は通常60%
試験内容の欄で資料が挙げているのは次のとおりです。
- 試験問題は試験問題作成委員会が作ること
- 受験者の資格について、試験の実施前に資格審査委員会の審査があること
- 筆記試験は多肢選択式で、全115問であること
- 合格基準は制度委員会で決定し、通常は全体の60%の基準点以上を取ることを合格基準とすること
書き方は「通常は」で、60%が毎回の基準だとは書かれていません。「全体の60%」が115問に対する正答数か、配点に対する得点かも書かれていません。資料は委員会の名前を挙げるだけで、どの組織に置かれ何を担当するのかを書いておらず、試験の実施回数、受験料、再受験の扱いも載っていません。
出典:日本専門医機構「日本専門医制度概報 令和7年度版」
認定試験の合格率は3年とも90%以上
資料が載せる直近3年度の実績は次のとおりです。
- 令和4年度(2022年度):受験者343人、合格者315人、合格率91.8%
- 令和5年度(2023年度):受験者275人、合格者250人、合格率90.9%
- 令和6年度(2024年度):受験者273人、合格者252人、合格率92.3%
合格率は3年とも90%を超えています。ただし母数は試験を受けた人で、試験の前に資格審査委員会の審査があるため、申請の段階でどれだけ絞られているかは合格率から分かりません。
出典:日本専門医機構「日本専門医制度概報 令和7年度版」
アレルギー専門医の更新・維持の条件(5年ごと)
アレルギー専門医は5年ごとの更新制です。更新の条件を、資料は申請資格の項番を使って「専門医申請資格記入の3.5.7.および制度委員による判定」と書いています。申請資格の3番目、5番目、7番目なので、内容は次のとおりです。
- 基盤学会の専門医(認定医)資格の認定を受けていること
- 直近5年間に自ら診療しているアレルギー疾患患者40名分の診療実績書を提出すること
- 直近5年間に、アレルギー学の業績が50単位以上あること。7つめの項目には学術大会2回以上と総合アレルギー講習会1回以上の出席も必須と書かれているので、これも含まれます
審査方法の欄には、資格審査委員会と制度委員会で審査するとあり、「制度委員」と制度委員会が同じものかは書かれていません。更新の「直近5年間」がいつからいつまでか、新規申請の「5年前の8月1日から申請時まで」と同じ数え方なのかは書かれていません。更新できなかった場合の扱いも、費用も載っていません。
出典:日本専門医機構「日本専門医制度概報 令和7年度版」
専門医は5,306人、研修施設は844、指導医は学会が別に認定
アレルギー専門医は令和7年(2025年)8月時点で5,306人です。資料の一覧は学会が認定した専門医数と日本専門医機構が認定した専門医数を別の列に分けていて、5,306人は学会認定の列の数字、機構認定の列は「――」です。この記号が、機構認定の専門医がまだいないことを指すのか、集計されていないことを指すのかは書かれていません。
研修先は学会の認定教育施設で、条件は4つです。
- 総合病院、またはこれに準ずる病院であること。総合病院の規模や「これに準ずる」の基準は書かれていません
- アレルギー疾患の症例が、外来を含めて年間100例以上あること
- 指導医1名以上、または専門医2名以上が勤務していること。専門医2名の場合は非常勤1名を含めてよい
- アレルギー学に関する教育が、所定のカリキュラムに従って定期的に行われていること
施設数は、基幹研修施設が703、関連施設が141の計844です。ただし資料は認定の条件を「認定教育施設」の名で示す一方、施設数は基幹研修施設と関連施設で数えていて、両者の関係も、基幹と関連が何で分かれるのかも、都道府県別の分布も書かれていません。
研修を指導する指導医の、学会での名称は認定指導医です。認定の条件は5つで、申請時に学会の専門医であること、15年以上の臨床アレルギー学の経験があること、学会の認定教育施設またはそれに準ずる診療施設でアレルギー診療に従事していること、直近5年間にアレルギー関係の学術雑誌への論文発表が5編以上(共著を含む)あること、同じ5年間に学会発表が10回以上(資料の表記は「共演を含む」)あることです。「共演」が何を指すかの説明はなく、指導医が全国に何人いるのかも載っていません。
出典:日本専門医機構「日本専門医制度概報 令和7年度版」
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制度の状態と、一次資料に載っていないこと
厚生労働省が公表するサブスペシャルティ認定領域一覧では、アレルギーは認定日の欄が2016年9月7日で、整備基準の審査結果の欄が承認保留です。承認保留はアレルギーのほか感染症と老年科にも付いています。承認保留が審査の途中を指すのか結論を指すのかも、理由も、承認までの見通しも、承認されたときに条件が変わるのかも、どちらの資料にも書かれていません。承認保留のあいだも試験は実施されていて、令和6年度は273人が受験し252人が合格しています。
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まとめ|アレルギー専門医を目指すなら先に確かめること
- 申請資格と年数:申請資格は8項目、年数は通算6年以上で、その内側の3年以上と読める部分は入会後に、認定された教育研修施設などで指導医または専門医のもとで積みます。会員歴は認定時に引き続き5年以上です。6年の起点が資料にないため、卒後何年で揃うかは出せません
- 研修の中身と提出する実績:到達目標は8つ、提出するのは40名分の診療実績書、そのうち2例の症例報告書、直近5年間で50単位以上の業績で、学術大会2回以上と総合アレルギー講習会1回以上の出席が必須です
- 認定試験:多肢選択式115問の筆記試験です。合格基準は制度委員会が決め、通常は全体の60%の基準点以上です
- 合格率:直近3年度は3年とも90%超で、令和6年度は92.3%です
- 更新:5年ごとに、基盤学会の資格、40名分の診療実績書、50単位の業績の3つを満たします。資料が挙げているのはこの3つだけです
- 人数と研修先:専門医は令和7年8月時点で5,306人で、学会認定の列の数字です。研修施設は基幹研修施設703と関連施設141の計844、指導医は学会が別に認定します
- 制度の状態:厚生労働省の一覧では整備基準の審査結果が承認保留のままで、理由も見通しも資料にありません
出典:日本専門医機構「日本専門医制度概報 令和7年度版」、厚生労働省 医道審議会 医師分科会 医師専門研修部会「サブスペシャルティ認定領域一覧」2025年12月19日現在
参考文献
- 日本専門医機構「日本専門医制度概報 令和7年度版」. https://jmsb.or.jp/wp-content/uploads/2026/03/gaiho_2025.pdf
- 厚生労働省 医道審議会 医師分科会 医師専門研修部会「サブスペシャルティ認定領域一覧」2025年12月19日現在. https://www.mhlw.go.jp/content/10803000/001675411.pdf
- 日本アレルギー学会. https://www.jsaweb.jp/

太田 旭
株式会社eggside 代表取締役。医学生。
自由診療のための医師向けメディア「doctorside」を運営したり、クリニック集患支援を行っている。