【2026年版】婦人科腫瘍専門医の取得に何年かかる?更新・維持の条件も解説

本記事では、医学部に在籍する筆者が、産婦人科のあとに婦人科腫瘍を専門にしようと考えている専攻医と研修医のために、婦人科腫瘍専門医の取得までの年数と、取得後の更新・維持の条件について、日本婦人科腫瘍学会の一次資料を読み解き、整理しています。

婦人科腫瘍がサブスペシャルティ領域として認定されたのは2025年12月19日です。日本専門医機構が毎年出している報告書「日本専門医制度概報」の令和7年度版は、この認定より前に作られたため、婦人科腫瘍の領域ごとのページがありません。以下の修練と試験と更新の条件は、日本婦人科腫瘍学会の専門医制度規則と、その運用方法を定めた2つの施行細則によります。

規則は婦人科腫瘍専門医を、産婦人科専門医を取得した後に女性性器がんに関する修練を受け、資格試験に合格した者と定めています。修練とは、学会の規則で婦人科腫瘍の研修にあたる期間のことで、修練を行う施設が指定修練施設です。指定修練施設にはAとBの2種類があります。修練は、指定修練施設で直近の7年間に通算3年以上です。入口の産婦人科専門医は、「日本専門医制度概報 令和7年度版」によれば専門研修の期間が3年以上なので、初期研修の2年と修練の3年を足すと、早くても卒業後8年を終えるころに年数の条件がそろう計算です。

婦人科腫瘍専門医で押さえておくべき点は、次の3つです。

  • 必要な資格が2つある:産婦人科専門医に加えて、がん治療認定医であることが申請の条件です
  • 修練の年数と場所:指定修練施設で、直近の7年間に通算3年以上。そのうち指定修練施設Aで12か月以上を積みます
  • 手術の要件が術式まで指定されている:浸潤がん症例100例以上の手術に関わり、執刀者として30例以上。うち広汎子宮全摘出術の執刀が10例以上必要です

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執筆者プロフィール

太田 旭

株式会社eggside 代表取締役。医学生。自由診療のための医師向けメディア「doctorside」を運営しつつ、LP制作、Google広告運用、SNS運用代行など、クリニック・歯科医院を中心としたマーケティング支援に従事しています。

取得までに何年かかるか

入口は産婦人科専門医です。「日本専門医制度概報 令和7年度版」の産婦人科専門医のページには申請資格として「専門研修の期間が3年以上」とあるので、初期研修の2年を足すと、卒業後5年を終えるころに産婦人科の専門研修が終わります。

婦人科腫瘍の修練はその後に始まります。規則は、修練開始日を産婦人科専門医の資格を取得した後とし、取得した年度に限りその年度の5月1日まで遡れると定めています。開始日の時点で、指定修練施設AまたはBに常勤で在籍している必要もあります。

修練の長さは、指定修練施設において修練カリキュラムに従い、直近の7年間に通算3年以上です。足すと初期研修2年、産婦人科の専門研修3年、婦人科腫瘍の修練3年で、早くても卒業後8年を終えるころに年数の条件がそろいます。どちらの研修も「3年以上」なので、長くなればそのぶん先になります。7年という枠は申請の時点から遡って修練を数える範囲で、3年を連続して積むことを求めているのかは規則にも細則にも書かれていません。ここで示したのは年数の条件がそろう時期であって、資格を名乗れる時期ではありません。

出典:日本婦人科腫瘍学会「専門医制度規則」「専門医制度規則資格認定施行細則」、日本専門医機構「日本専門医制度概報 令和7年度版」

申請に何が要るか

規則は6つの資格をすべて満たすことを求めています。

  • 日本国の医師免許証を持っていること
  • 日本産科婦人科学会が認定する産婦人科専門医であること
  • がん治療認定医であること
  • 継続して3年以上、日本婦人科腫瘍学会の会員であること
  • 指定修練施設において所定の修練カリキュラムに従い、直近の7年間に通算3年以上の修練を行っていること
  • 資格認定施行細則に定める業績を持っていること

資格が2つ要る点が、この領域の入口の特徴です。がん治療認定医をどこが認定しどう取るのか、会員歴3年をいつから数えるのかは、規則にも細則にも書かれていません。

申請時に提出する書類は11点で、申請書と履歴書、医師免許証と2つの資格の認定証の写しのほか、修練証明書、診療実績一覧、手術記録、業績目録、研修実績、経験症例記録です。

出典:日本婦人科腫瘍学会「専門医制度規則」

修練で何を経験し、何を提出するか

細則が業績として挙げるのは診療経験、業績、研修実績で、以下の診療経験は2018年度以後に修練を開始した場合の条件です。

  • 修練の期間と場所:指定修練施設で直近の7年間に通算3年以上、そのうちAで12か月以上
  • 婦人科浸潤がん症例:150例以上。手術、放射線治療、がん薬物療法、緩和医療などを含む
  • コルポスコピー下生検:15例以上
  • 放射線治療の診療経験:15例以上
  • 手術:浸潤がん症例100例以上、執刀者として30例以上

手術には術式ごとの指定もあります。広汎子宮全摘出術の執刀10例以上、傍大動脈リンパ節郭清術の経験10例以上、腹腔鏡下子宮悪性腫瘍手術(ロボット支援下手術も含む)の経験が必須です。細則は「手術経験」を当該手術に参加し術野で修練することと定義しているので、執刀を求めているのは広汎子宮全摘出術の10例で、残る2つは術野に入っていれば数えられます。診療経験は、他の指定修練施設で経験した症例も加算できます。

業績は、修練開始後かつ直近の7年間に、筆頭者として婦人科腫瘍に関する研究発表が2件以上必要で、そのうち1編は論文です。論文は原著、総説、症例報告のいずれでもよいものの、査読制を敷いている雑誌である必要があります。

研修実績は3点です。修練開始後かつ直近の7年間に学術講演会へ3回以上出席すること、直近の3年間に教育プログラムのA、B、Cを受講すること、新たに保険診療となった重要項目などの講習を受講することです。修練カリキュラムの中身は、規則にも細則にも載っていません。

出典:日本婦人科腫瘍学会「専門医制度規則資格認定施行細則」

試験はどう行われ、いくらかかるか

規則は、専門医の試験を筆記試験および口頭試問によると定めています。申請の期限は審査を受けようとする年の5月末までで、資格認定委員会が毎年1回、申請書類と試験によって適否を審査し、認定業務は申請の年度の原則として2月末までに完了します。費用は審査料11,000円と受験料11,000円で、いずれも納付後は返却されません。合格して登録するときには認定料44,000円を納めます。

期限がもう1つあります。修練を修了して受験資格の認定を受けたあと、5年以内に合格しなければならないと細則にあります。受け直しはできますが無期限ではありません。交付される認定証の有効期間も交付の日から5年で、こちらは受験資格の期限とは別のものです。

試験の問題数、口頭試問の進め方、合格の基準は、規則にも細則にも書かれていません。受験者数と合格率も同じです。

出典:日本婦人科腫瘍学会「専門医制度規則」「専門医制度規則資格認定施行細則」

婦人科腫瘍専門医の更新・維持の条件(5年ごと・10ポイント)

認定証の有効期間が5年なので、更新も5年ごとです。更新する人は次のすべてを満たす必要があります。

  • 日本産科婦人科学会が認定する産婦人科専門医であること
  • 過去5年間の活動届を提出すること
  • 直近5年間に、学会の学術講演会へ2回以上出席していること
  • 直近5年間に、学会の教育プログラムのA、B、Cを受講していること
  • 直近5年間に、更新に必要なポイントを10ポイント以上取得していること
  • 新たに保険診療となった重要項目などの講習を受講していること

ポイントは、出席した学会と学術集会ごとに割り当てられています。日本婦人科腫瘍学会の学術集会が2ポイント、教育プログラムや内視鏡手術手技研修会などが1ポイント、国内の関連学会が各1ポイント、海外の学術集会が各2ポイントです。なお細則は、出席回数の要件では「学術講演会」、ポイントの表では「学術集会」と書き分けており、同じ行事を指すのかは書かれていません。

更新書類は原則として前年度の12月末までに提出し、審査料11,000円と更新料11,000円がかかります。病気、留学、妊娠など資格認定委員会が妥当と認めた事由があれば、更新期限を1年に限り延長できます。産婦人科専門医あるいは機構専門医(産婦人科)の資格を喪失したときは、婦人科腫瘍専門医の資格も喪失します。

出典:日本婦人科腫瘍学会「専門医制度規則」「専門医制度規則資格認定施行細則」

指定修練施設AとBはどこが違うか

修練施設は2018年度以後、AとBに分かれています。修練で12か月以上を求められるAの要件は13項目で、婦人科浸潤がん症例が過去3年間の平均で年40症例程度あること、婦人科腫瘍指導医または暫定指導医が1人以上常勤していること、放射線治療専門医が常勤し放射線治療の新患数が年間100例以上あること、病理専門医が週3日以上勤務し術中迅速病理診断ができることなどが並びます。

指定修練施設Bは、Aの要件をすべては満たさない施設のうち11項目を満たすものが認定されます。Aの13項目のうち、放射線治療専門医の常勤と新患数を求める項目と、集学的ながん治療の機器を求める項目の2つがBにはありません。常勤する指導者も、Aは婦人科腫瘍指導医または暫定指導医、Bは婦人科腫瘍専門医です。

Aが常勤を求める婦人科腫瘍指導医とは、修練を指導する立場として学会が認定した医師です。婦人科腫瘍専門医で指定修練施設の常勤医であること、専門医の更新歴が1回以上、直近の5年間に婦人科腫瘍に関する論文が1編以上、指導医講習会の受講が直近の5年間にあることで認定されます。週4日以上かつ32時間以上の勤務が常勤の扱いです。

出典:日本婦人科腫瘍学会「専門医制度規則指定修練施設認定施行細則」「専門医制度規則」

専門医は1,222人、領域としての認定は2025年12月19日

婦人科腫瘍専門医は1,222人で、この人数は学会の専門医制度のページに2025年1月15日更新と添えて掲載され、同じページから専門医一覧をたどれます。指定修練施設の数と一覧は、規則にも細則にも載っていません。

厚生労働省の「サブスペシャルティ認定領域一覧」によると、担当する基本領域の学会は日本産科婦人科学会、研修の方式は通常研修領域、領域認定日は2025年12月19日です。

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出典:日本婦人科腫瘍学会「専門医制度」、厚生労働省 医道審議会 医師専門研修部会「サブスペシャルティ認定領域一覧」2025年12月19日現在

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まとめ|婦人科腫瘍専門医を目指すなら先に決めること

  • 年数:初期研修2年、産婦人科の専門研修3年、婦人科腫瘍の修練3年で、早くても卒業後8年を終えるころに条件がそろいます。修練は産婦人科専門医の取得後に始め、取得年度に限りその年度の5月1日まで遡れます
  • 資格:産婦人科専門医とがん治療認定医の両方が申請の条件で、会員歴は継続3年以上です
  • 修練先:直近の7年間に通算3年以上を指定修練施設で積み、うち12か月以上はAです。放射線治療専門医の常勤の有無がAとBを分ける条件の1つなので、勤務先がどちらかを先に確かめてください
  • 症例と業績:婦人科浸潤がん150例以上、コルポスコピー下生検15例以上、放射線治療の診療経験15例以上、手術は浸潤がん100例以上で執刀30例以上、うち広汎子宮全摘出術の執刀10例以上です。業績は筆頭者として研究発表2件以上、うち論文1編です
  • 期限:申請は5月末まで、受験資格の認定後5年以内に合格する必要があります
  • 維持:5年ごとの更新で、10ポイント以上と学術講演会2回以上の出席などが要り、産婦人科専門医の資格を失うと婦人科腫瘍専門医の資格も失います

出典:日本婦人科腫瘍学会「専門医制度規則」「専門医制度規則資格認定施行細則」「専門医制度規則指定修練施設認定施行細則」

参考文献

  • 日本婦人科腫瘍学会「専門医制度規則」. https://jsgo.or.jp/specialist/img/senmoni_kisoku1.pdf
  • 日本婦人科腫瘍学会「専門医制度規則資格認定施行細則」. https://jsgo.or.jp/specialist/img/sikaku_saisoku.pdf
  • 日本婦人科腫瘍学会「専門医制度規則指定修練施設認定施行細則」. https://jsgo.or.jp/specialist/img/nintei_saisoku1.pdf
  • 日本婦人科腫瘍学会「専門医制度」. https://jsgo.or.jp/specialist/
  • 厚生労働省 医道審議会 医師分科会 医師専門研修部会「サブスペシャルティ認定領域一覧」2025年12月19日現在. https://www.mhlw.go.jp/content/10803000/001675411.pdf
  • 日本専門医機構「日本専門医制度概報 令和7年度版」. https://jmsb.or.jp/wp-content/uploads/2026/03/gaiho_2025.pdf
この記事の監修者

太田 旭

株式会社eggside 代表取締役。医学生。
自由診療のための医師向けメディア「doctorside」を運営したり、クリニック集患支援を行っている。