本記事では、医学部に在籍する筆者が、これから産婦人科専門医の取得を目指す研修医と専攻医のために、産婦人科専門医の取得までの年数と、取得後の更新・維持の条件について、日本産科婦人科学会が公表する専門医制度の手引きと更新概要を読み解き、整理しています。
産婦人科専門医は、初期臨床研修を修了したあと、産婦人科の専門研修を3年受けて取得します。初期研修修了後で数えて最短3年、医師免許の取得からは最短5年です。
産婦人科専門医で押さえておくべき点は、次の3つです。
- 取得までの年数:初期研修修了後に専門研修を3年で、最短3年。研修で分娩150例と帝王切開の執刀30例を積む
- 更新の条件:5年ごとに合計50単位。診療実績・共通講習・産婦人科領域講習・学術業績の区分で集める。4回目の更新から診療実績を免除できる
- 産婦人科の要点:分娩150例と帝王切開の執刀30例と、症例数が要件になっている
本記事では、産婦人科専門医の取得までの流れ、研修で積む分娩と手術の症例、更新・維持の条件、長く続けた専門医の更新の仕組みを順に整理します。
→ 関連記事:【2026年版】専門医は何年で取れる?診療科別に取得年数の目安と更新の条件をまとめてみた
産婦人科専門医の取得までの流れ(最短3年)
順にたどると、まず医師免許を取り、初期臨床研修を2年行います。この2年はどの科にも共通して別途必要です。そのあと産婦人科の専門研修に3年入り、研修を終えて試験に合格すると産婦人科専門医に認定されます。初期臨床研修を修了したあと、専門研修を3年受けて取得するため、取得までは初期研修修了後で数えて最短3年です。

- 初期研修:2年。どの科にも共通で別途必要
- 産婦人科の専門研修:3年
- 修了後:認定試験に合格して認定
産婦人科専門研修では、3年で積む症例が数の要件でこまかく定められています。
研修で積む症例(分娩150例・帝王切開の執刀30例)
産婦人科の専門研修でそろえる経験の中心は、分娩150例です。このうち帝王切開は、第1助手ではなく執刀医として30例を担当します。執刀医として数えるので、手術の主体になって開腹し児を娩出する経験を30回積むという意味になります。研修でそろえる経験は、次のとおりです。
- 分娩:150例
- 帝王切開:執刀医として30例
- 症例記録:10例
- レポート:4編
- 論文:1編
- 領域講習:10回。領域講習は、産婦人科の学術集会や研修会で専門の知識を学ぶ場
産婦人科の専門医要件を他科と分けているのは、この分娩150例と帝王切開執刀30例という、実地の作業量がそのまま数字になっている点です。術式ごとの執刀数も定められていますが、術式別の執刀数の細目は手引きの本文で年度ごとに改訂が入るため、受験の年には最新版で確認してください。3年のあいだに、分娩の現場と手術の執刀、症例のまとめ、論文までをひととおり経験する設計です。
出典:日本産科婦人科学会「専門医制度の手引き」
産婦人科専門医の更新・維持の条件(5年ごと・50単位)
専門医は取って終わりではなく、5年ごとに更新します。産婦人科の更新で必要なのは、5年間で合計50単位です。単位は、講習を受けたり診療実績を記録したりするごとにたまるポイントです。内訳は次のとおりです。

- 診療実績:5〜10単位。産婦人科医として実際に診療した記録で、5年で50例から100例を扱う
- 共通講習:3〜10単位。医療安全や感染対策、医療倫理など、どの科の専門医にも共通で求められる講習
- 産婦人科領域講習:20単位。産婦人科の学術集会や研修会で、更新単位の中心になる
- 学術業績など:0〜10単位。学会発表や論文
更新で認められる講習の区分は年度ごとに改訂が入るため、更新の年に近づいたら最新版を学会サイトで確認してください。
出典:日本産科婦人科学会「専門医更新概要 2024」
4回目の更新から診療実績が免除される
産婦人科の更新には、長く続けた専門医の事情に合わせた仕組みがあります。4回目の更新から、診療実績の単位を免除できます。

4回目の更新は取得からかなりの年数を重ねた段階で、分娩や手術の現場を離れ、管理や指導が中心になる医師も出てきます。その時期に診療実績を記録し続けることを求めると、現場を離れた専門医は更新が難しくなります。診療実績を免除できるのは、この段階でも講習を中心に更新を続けられるようにするためです。取得直後は現場の症例で単位をそろえ、年数を重ねたら講習を中心に切り替える、という二つの段階を想定した仕組みです。
出典:日本産科婦人科学会「専門医更新概要 2024」
参考文献
- 日本産科婦人科学会「専門医制度の手引き」. https://www.jsog.or.jp/activity/pro_doc/pdf/manual.pdf
- 日本産科婦人科学会「専門医更新概要 2024」. https://www.jsog.or.jp/activity/pro_doc/pdf/senmoni_gaiyou2024.pdf

太田 旭
株式会社eggside 代表取締役。医学生。
自由診療のための医師向けメディア「doctorside」を運営したり、クリニック集患支援を行っている。