本記事では、医学部に在籍する筆者が、IVRを専門にしようと考えている専攻医と研修医のために、放射線カテーテル治療専門医の取得までの年数と、取得後の更新・維持の条件について、日本専門医機構の一次資料を読み解き、整理しています。
以下の数値は、断りのない限り、日本専門医機構がまとめた「日本専門医制度概報 令和7年度版」によります。IVRはインターベンショナルラジオロジーの略で、画像で体内を確かめながらカテーテルなどを使って行う治療です。放射線カテーテル治療専門医の申請には、放射線科専門医と放射線診断専門医の資格が必要です。放射線科専門医は卒業後5年以上、放射線診断専門医は卒業後7年以上の臨床経験が受験の条件ですが、その後の放射線カテーテル治療の専門研修年数は資料に載っていません。
この領域を担当する日本インターベンショナルラジオロジー学会は、資料で日本IVR学会と併記されています。資格は、基本領域の放射線科専門医、放射線診断専門医、放射線カテーテル治療専門医の順に取得します。資料は放射線診断を「第1サブスペシャルティ」と表記していますが、この呼び方の定義は書かれていません。
放射線カテーテル治療専門医で押さえておくべき点は、次の3つです。
- 必要な資格が2つある:日本の医師免許に加えて、放射線科専門医と放射線診断専門医の資格を持っていることが必要条件です
- 研修で積む症例:学会の専門医制度委員会が規定する経験すべき手技の8割以上をカバーしたうえで、150例のIVRを経験します
- 制度が移行の途中にある:これまでの旧制度であるIVR専門医を運用しながら、5年後を目途に日本専門医機構が認定する新制度へ移行する予定と資料に書かれています
→ 関連記事:【2026年版】放射線科専門医の取得に何年かかる?更新・維持の条件も解説
→ 関連記事:【2026年版】サブスペシャルティとは?31領域の一覧と、専門医の取得年数・更新条件をまとめてみた
取得までに何年かかるか
基本領域の放射線科専門医では、日本医学放射線学会の会員であること、申請時に初期臨床研修期間を含め5年以上の臨床経験を有すること、3年以上その学会の正会員であること、日本専門医機構認定の放射線科専門研修プログラムの条件を満たし研修修了と判定されていることが受験資格です。卒業後5年を終えるころに、臨床経験の年数の条件がそろいます。
放射線診断専門医では、申請時に初期臨床研修期間を含め7年以上の臨床経験を有すること、申請時に5年以上正会員であること、所属する研修カリキュラムの研修管理委員会により3年以上の連動研修修了、または仮修了と判定されていることなどが受験資格です。連動研修とは、基本領域の専門研修とサブスペシャルティ領域の研修を重ねて進める方式です。卒業後7年を終えるころに、臨床経験の年数の条件がそろいます。
放射線カテーテル治療専門医の申請には、放射線科専門医と放射線診断専門医の資格が必要です。そのため、申請できるのは放射線診断専門医を取ったあとです。ただし、放射線カテーテル治療の専門研修年数は資料に載っていません。150手技のIVR経験を放射線診断の専門研修期間にも積めるとありますが、それによって専門研修の年数がどうなるかは書かれていません。
研修の方式も見ます。厚生労働省の「サブスペシャルティ認定領域一覧」は、放射線カテーテル治療を補完研修領域に分類していますが、補完研修が何を指すのかは、この一覧にも資料にも書かれていません。資料は、この専門研修をカリキュラム制で行うと記しています。カリキュラム制とは、研修を年次で区切らず、決められた項目を満たしたかどうかで修了を判定する方式です。
出典:日本専門医機構「日本専門医制度概報 令和7年度版」、厚生労働省 医道審議会 医師専門研修部会「サブスペシャルティ認定領域一覧」2025年12月19日現在
申請に何が要るか
資料が機構認定の放射線カテーテル治療専門医について挙げる申請資格は、次の条件です。
- 日本の医師免許を有する医師であること
- 一定期間以上、日本IVR学会の会員であること
- 放射線科専門医、放射線診断専門医の資格を有すること
- 研修施設群において、学会の専門医制度委員会が規定する経験すべき手技の8割以上をカバーした150例のIVRを経験していること
- 各研修施設群の研修管理委員会の審議で、研修修了が認定されていること
- そのほか、学会の専門医制度委員会が定める研究業績などの要件を満たすこと
会員歴は「一定期間以上」とだけ書かれ、研究業績も本数や種類が、いずれも資料に載っていません。研修する場所は、研修基幹施設、連携施設、特別連携施設が構築する専門研修施設群で、資料はそのあいだを移動しながら研修を行うことを原則としています。
ここで示した申請資格は、資料が「機構認定放射線カテーテル治療専門医の専門医申請資格」として書いているものです。資料の特記事項は、旧制度の「IVR専門医」を運用しているが、5年後を目途に機構が認定する新制度である「放射線カテーテル治療専門医」に移行する予定である、と書いています。5年後の起点がいつなのか、旧制度と新制度で申請資格や更新の条件がどう違うのかは、資料に書かれていません。
出典:日本専門医機構「日本専門医制度概報 令和7年度版」
研修で求められる150手技
資料は臨床関係事項の欄で、放射線カテーテル治療専門研修期間、および第1サブスペシャルティである放射線診断の専門研修期間に、150手技のIVR手技経験を課すと書いています。放射線診断の研修中に経験したIVRも数に入る書き方です。なお資料は、申請資格の欄では「150例のIVR」、臨床関係事項の欄では「150手技のIVR手技経験」と書いており、両者の関係は説明していません。経験症例の詳細は、研修の運用方法を定めた「放射線カテーテル治療専門研修総則」と「放射線カテーテル治療専門研修細則」にあり、資料には載っていません。
手技の内容にも幅があります。経験すべき手術・処置は、血管病変、腫瘍に対するIVRのほか、がん性疼痛などに対する緩和IVRなどが含まれると資料は書いています。そのうえで、医原性疾患、外傷、周産期医療を含めた救急疾患に対応するIVRの経験が望まれるとしています。
申請資格の側には、経験すべき手技の8割以上をカバーするという条件が付いています。経験すべき手技が何項目あり、8割が何項目にあたるのかは資料に書かれていません。
出典:日本専門医機構「日本専門医制度概報 令和7年度版」
試験はどう行われるか
資料は試験を2段階で説明しています。
資格審査では、各専門研修施設群の管理委員会によって修了認定を受けた専攻医が応募書類を提出し、学会の専門医制度委員会が実施経験リストや研究業績などを審査します。
資格審査に合格した専攻医が、専門医認定試験に進みます。試験は2つの部分に分かれます。
- 筆記試験:マークシート方式の多肢選択式です。放射線被曝、保険診療を含めたIVR関連の知識を確認します
- 口頭試験:実臨床で必要な画像診断能力とプランニング、IVR実施中の画像・状況の変化を判断できる能力について、各種画像を用いて質問されます
試験の問題数、試験時間、合格の基準、実施の時期、受験料は資料にありません。
出典:日本専門医機構「日本専門医制度概報 令和7年度版」
どれくらいの人が合格しているか
資料に載っている直近3年度分の結果です。
- 令和4年度(2022年度):受験者84人、合格者64人、資料の掲載値は合格率76.2%
- 令和5年度(2023年度):受験者84人、合格者68人、資料の掲載値は合格率81.0%
- 令和6年度(2024年度):受験者87人、合格者66人、資料の掲載値は合格率75.8%
令和6年度は、合格者66人を受験者87人で割って四捨五入すると75.9%となり、資料の掲載値75.8%と0.1ポイント違います。どちらが正しいかは判断できず、合格率の算出方法も資料に書かれていません。
3年を合わせると受験者255人・合格者198人で、通算の合格率は77.6%です。この3年度の結果が旧制度と新制度のどちらの試験によるものかは、資料に書かれていません。
出典:日本専門医機構「日本専門医制度概報 令和7年度版」
放射線カテーテル治療専門医の更新・維持の条件(5年ごと・50単位)
放射線カテーテル治療専門医は5年ごとの更新制で、必要な単位数は総計50単位以上です。資料は次の4つの区分に分けています。
- 診療実績:最小5単位、最大10単位。術者としてIVR症例5例につき1単位です
- 共通講習の受講:最小8単位。地域特例は3単位です
- 領域講習:最小20単位。日本IVR学会の総会、各地方のIVR研究会、学会が指定する講演会などが対象です
- 学術業績・診療以外の活動実績:最小2単位、最大20単位。学術集会への参加、発表、司会、座長、査読のある雑誌への論文掲載などが対象です
診療実績の上限は10単位で、IVRを何例行ってもこの区分では10単位までです。4区分の最小値の合計は35単位で、50単位には届きません。残る15単位をどの区分で積むのかは、資料からは決まりません。地域特例が何を指すのかも書かれていません。
出典:日本専門医機構「日本専門医制度概報 令和7年度版」
研修施設と指導医、そして領域の規模
研修基幹施設の要件として資料が挙げているのは、この専門医制度の指導医が1名以上常勤として勤務していること、十分なIVR実施数があること、認定研修カリキュラムの項目を一定以上包括していることです。連携施設と特別連携施設の個別の要件と、それぞれの施設数は資料に載っていません。
指導医の資格は4つの条件で認定されます。
- 放射線カテーテル治療専門医の資格を1回以上更新していること
- 指導医講習会とFD講習(eラーニング)を、過去5年間に1回以上受講していること。FDが何の略かは資料に書かれていません
- 研究業績:5年間で、IVRに関する論文、学会発表、講演が5つあること
- 診療業績:5年間で200症例のIVR診療があること
放射線カテーテル治療専門医は1,297人です。この人数は資料の一覧表で学会認定専門医数の欄に入っており、機構認定専門医数の欄は「――」です。この記号が0人を指すのか、集計していないことを指すのかも、集計の時点も、資料に書かれていません。
→ 関連記事:【2026年版】専門医は何年で取れる?診療科別に取得年数の目安と更新の条件をまとめてみた
出典:日本専門医機構「日本専門医制度概報 令和7年度版」
→ 関連記事:【2026年版】放射線診断専門医の取得に何年かかる?更新・維持の条件も解説
→ 関連記事:【2026年版】放射線治療専門医の取得に何年かかる?更新・維持の条件も解説
まとめ|放射線カテーテル治療専門医を目指すなら先に決めること
- 年数:放射線科専門医は初期研修を含めて卒業後5年以上、放射線診断専門医は卒業後7年以上の臨床経験が受験の条件です。放射線カテーテル治療専門医はそのあとに申請しますが、専門研修の年数は資料に書かれていません
- 症例:150手技のIVR経験が必要です。放射線診断の専門研修期間に積んだ分も数に入る書き方です。経験すべき手技の8割以上をカバーする条件が別に付きます
- 試験:資格審査を通ったうえで、マークシート方式の筆記試験と口頭試験を受けます。問題数と合格の基準は資料に載っていません
- 合格率:直近3年度の掲載値は76.2%、81.0%、75.8%で、3年を通すと77.6%です。令和6年度は割り算の結果が75.9%となり、掲載値と0.1ポイント違います
- 維持:5年ごとに50単位で、診療実績、共通講習、領域講習、学術業績の4区分に分かれます。診療実績は最大10単位までです
- 規模と指導:資料の学会認定専門医数の欄に1,297人と載っています。集計の時点は書かれていません。研修基幹施設には指導医が1名以上常勤していることなどが求められ、連携施設と特別連携施設の数は資料に載っていません
- 制度の状態:旧制度のIVR専門医を運用しながら、5年後を目途に新制度へ移る予定だと資料は書いています。5年後の起点は書かれていないので、受験する年度にどちらが適用されるかを学会に確かめてください
出典:日本専門医機構「日本専門医制度概報 令和7年度版」
参考文献
- 日本専門医機構「日本専門医制度概報 令和7年度版」. https://jmsb.or.jp/wp-content/uploads/2026/03/gaiho_2025.pdf
- 厚生労働省 医道審議会 医師分科会 医師専門研修部会「サブスペシャルティ認定領域一覧」2025年12月19日現在. https://www.mhlw.go.jp/content/10803000/001675411.pdf
- 日本インターベンショナルラジオロジー学会(日本IVR学会). https://www.jsir.or.jp/

太田 旭
株式会社eggside 代表取締役。医学生。
自由診療のための医師向けメディア「doctorside」を運営したり、クリニック集患支援を行っている。