本記事では、医学部に在籍する筆者が、画像診断を専門にしようと考えている研修医と専攻医のために、放射線診断専門医の取得までの年数と、取得後の更新・維持の条件について、日本専門医機構の一次資料を読み解き、整理しています。
以下の数値は、断りのない限り、日本専門医機構がまとめた「日本専門医制度概報 令和7年度版」によります。放射線診断専門医は、申請時に初期臨床研修を含めて7年以上の臨床経験が必要です。基本領域の放射線科専門医は同じ数え方で5年以上なので、要件には2年の差があります。基本領域とサブスペシャルティ領域の研修を重ねる連動研修については、3年以上の修了または仮修了も求められます。
放射線科の専門医資格は二段階に分かれています。第一段階が基本領域の放射線科専門医で、第二段階が放射線診断専門医と放射線治療専門医です。制度を担当するのは日本医学放射線学会です。
放射線診断専門医で押さえておくべき点は、次の3つです。
- 取得までの年数:申請時に、初期臨床研修の期間を含めて7年以上の臨床経験が必要です。基本領域の放射線科専門医の申請資格は同じ数え方で5年以上なので、要件の差は2年です
- 試験の形式:2024年度から機構の認定試験になりました。1日目に多肢選択式の筆記試験100題、2日目に口頭試問という2日間の構成です
- 更新の状況:5年ごとの更新制です。ただし学会が作った更新基準案は、整備指針が近々改訂されるとのことで日本専門医機構から差し戻された状態にあると資料は記しています。更新基準とは更新の要件を定めた文書で、整備指針はその基準が従う日本専門医機構の指針です
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取得までの年数は申請時点で7年以上
申請時に、初期臨床研修期間を含め7年以上の臨床経験が必要です。初期臨床研修の2年は、この7年に含めて数えます。起算日は資料にありませんが、初期臨床研修は医師免許を取ってから始まるため、この7年は医師免許取得後の年数として扱います。
7年の内訳は、初期臨床研修2年、放射線科専門医の取得まで3年、その後の研修2年です。資料の放射線治療専門医の欄には、放射線科専門医の取得に3年、その後2年間の研修を経て、放射線診断専門医か放射線治療専門医のいずれかの受験資格が与えられるとあります。
申請資格には、所属する研修カリキュラムの研修管理委員会により3年以上の連動研修を修了、または仮修了と判定されていること、という項目もあります。連動研修は基本領域の専門研修と重ねて進める仕組みなので、この3年は別枠ではありません。ただし、連動研修の3年と放射線科専門医取得後の2年がどう重なるのか、どの時期から始められるのかは資料に書かれていません。
会員歴の条件も年数に関わります。申請時において5年以上、日本医学放射線学会の正会員であることが求められ、会員歴をいつから数えるかは資料に載っていません。基本領域の放射線科専門医の側は初期臨床研修期間を含め5年以上の臨床経験と3年以上の正会員歴なので、臨床経験で2年、会員歴で2年の差があります。
出典:日本専門医機構「日本専門医制度概報 令和7年度版」
受験に必要な条件と、代わりの経路
申請資格は7項目あり、第1項から第6項が満たすべき条件、第7項は第6項を満たせない場合の代わりの経路です。
- 日本医学放射線学会の会員であること
- 日本国の医師免許を有すること
- 医師法(昭和23年法律201号)第3条および第4条の規定に該当しないこと
- 申請時において、初期臨床研修期間を含め7年以上の臨床経験を有すること
- 申請時において、5年以上、日本医学放射線学会の正会員であること
- 所属する研修カリキュラムの研修管理委員会により、3年以上の連動研修修了、または仮修了と判定されていること
- 6の要件を満たさない場合でも、日本医学放射線学会認定の研修を2年以上行い、別に定める要件を満たし、統括責任者が機構の研修プログラムの内容と同等の研修を修了したと判定した場合は、受験を認める
この7項目には、放射線科専門医の資格を持っていることが直接には書かれていません。前提になることは、資料の到達目標の欄に、放射線科専門医資格を取得した上で放射線診断領域に関してさらに研鑽を積む、とあることから分かります。申請の書類でこれをどう確かめるのかは資料に載っていません。
資料は、第1項の会員と第5項の正会員の違い、第6項の「仮修了」、第7項の統括責任者と「別に定める要件」を説明していません。第7項の経路は研修が2年以上とされ、第6項の連動研修3年以上より短いのですが、中身の違いも分かりません。
出典:日本専門医機構「日本専門医制度概報 令和7年度版」
認定試験は2日間で筆記と口頭
放射線診断専門医試験は、2024年度から日本専門医機構の認定試験になりました。試験は2日間です。
- 1日目:多肢選択式の筆記試験、100題
- 2日目:口頭試問
試験内容と、受験資格を得るための研修の中身は、どちらも「放射線科専門医研修カリキュラムガイドライン」に準拠します。研修は、学会が認定した研修指導者のもとで、画像診断学、核医学、IVR(インターベンショナルラジオロジー)について高水準の知識と技術を修得する、と資料は書いています。放射線科専門医の研修は放射線生物学や放射線治療学を含む全分野にわたるとされており、放射線診断専門医の研修として挙がっているのは上の3つです。残りの分野の研修を続けるかどうかは書かれていません。
出願のタイミングには注意点があります。出願する時点では学会の一次審査も機構の二次審査も終わっておらず、学会は審査前でも出願を受け付けますが、その後の審査で研修修了が認められなければ受験できません。この場合、受験料は返還すると資料に明記されています。
試験の合格ライン、年間の実施回数、不合格だった場合の再受験の扱いは、いずれも資料に載っていません。
出典:日本専門医機構「日本専門医制度概報 令和7年度版」
認定試験の合格率は3年とも90%以上
資料は放射線診断専門医試験の結果を3年分載せています。掲載値は次のとおりです。
- 令和4年度(2022年度):受験者250人、合格者226人、合格率90.4%
- 令和5年度(2023年度):受験者219人、合格者198人、合格率90.4%
- 令和6年度(2024年度):受験者177人、合格者163人、合格率92.0%
令和6年度は、合格者163人を受験者177人で割って四捨五入すると92.1%となり、資料の掲載値92.0%と0.1ポイント違います。合格率の算出方法は資料に書かれていません。
この試験が機構の認定試験になったのは2024年度からなので、3年分のうち機構の認定試験は令和6年度の1年で、令和4年度と令和5年度はそれ以前の試験です。試験の形式が3年を通して同じだったかは資料に載っていません。
出典:日本専門医機構「日本専門医制度概報 令和7年度版」
研修施設は3区分・指導医は学会認定の指導者に限られる
放射線科の研修施設は、総合修練機関、修練機関、特殊修練機関の3区分です。特殊修練機関は、高度の限定された放射線診療を行っている施設を認定するものです。総合修練機関と修練機関については、それぞれ別の認定基準が定められているとあるだけで、両者の違いは資料に載っていません。
2025年8月時点の認定施設数は次のとおりです。
- 総合修練機関:207施設
- 修練機関:612施設
- 特殊修練施設:37施設
認定施設は計856施設です。資料は施設数の集計欄で「特殊修練施設」と表記しています。
日本専門医機構認定の放射線診断専門医を目指すプログラムを作成し、研修を統括できるのは総合修練機関だけで、そのうち110施設が日本専門医機構から認定を受けています。残りの施設が認定を受けていない理由と都道府県別の分布は資料に載っておらず、施設名は学会の研修施設一覧で確認することになります。
指導する側の体制も定められています。研修指導者は、研修教育責任者としての指導管理責任者、これを代行する副指導管理責任者、直接指導する研修指導医の3者で構成されます。指導管理責任者は、半年に1回の年次別評価を行い、研修プログラム管理委員会を開いて研修修了判定を行います。これらの指導医はすべて「学会認定専門研修指導者」でなければならないと資料は記していますが、この指導者にどうすればなれるのかは載っていません。
出典:日本専門医機構「日本専門医制度概報 令和7年度版」
更新基準は機構に差し戻された状態にある
放射線診断専門医は5年ごとの更新制です。資料は、学会が機構の「専門医の認定・更新」に関する整備指針(2022年2月18日)にもとづいて更新基準案を作成し、機構に提出したものの、整備指針が近々改訂されるとのことで差し戻された状態である、と記しています。5年ごとという周期は決まっている一方で、その5年間に何を満たせばよいかを定めた基準は、資料の時点では確定していません。
ただし資料の医療倫理・安全管理の欄には、更新の必須要件が1つ書かれています。医療倫理および安全管理と放射線防護、ならびに医療の質(診断)に関する講習会の受講、という記述です。差し戻された更新基準案とこの必須要件がどう関係するのか、講習会が何種類あって何回受ければよいのかは、資料からは分かりません。
更新の時期には調整が入っています。資料の特記事項は、放射線診断専門医の更新と同時に、基本領域である放射線科専門医の初回の更新ができるように時期をずらすことが機構に承認されている、と記しています。2回目以降の扱いは書かれていません。
更新の年が近づいたら、その時点の最新の基準を学会の案内で確認してください。
出典:日本専門医機構「日本専門医制度概報 令和7年度版」
専門医数は6,564人・うち機構認定は163人
放射線診断専門医は令和7年8月現在で6,564人です。内訳は、学会認定専門医6,401人、日本専門医機構認定専門医163人です。
多くのサブスペシャルティ領域では機構認定専門医数の列が空欄ですが、放射線診断には163人が入っています。この163人は合格率の節で見た令和6年度の合格者163人と同じ数ですが、同じ人たちを指すのかは資料に書かれていません。学会認定の専門医が機構認定へどう移るのかも載っていません。
日本医学放射線学会の会員数は、令和7年8月現在で医師10,847人、医師以外128人の計10,975人です。専門医の全員が会員として数えられているかどうかは資料に書かれていません。
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出典:日本専門医機構「日本専門医制度概報 令和7年度版」
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まとめ|放射線診断専門医を目指すなら先に決めること
- 順序:放射線診断専門医は放射線科専門医を取ったうえで研鑽を積む第二段階の資格だと、資料の到達目標にあります。ただし申請資格の7項目に、放射線科専門医であることは入っていません
- 年数:申請時に、初期臨床研修を含めて7年以上の臨床経験が要ります。資料の記述にそう内訳は、初期臨床研修2年、放射線科専門医までの3年、その後の2年です
- 会員歴:申請時に5年以上の正会員歴が要ります。放射線科専門医の3年以上より2年長い条件です
- 研修先:機構認定を目指すプログラムを統括できるのは総合修練機関だけで、そのうち機構の認定を受けているのは110施設です
- 試験:2024年度から日本専門医機構の認定試験で、1日目に筆記試験100題、2日目に口頭試問です。直近3年の掲載値は90.4%、90.4%、92.0%で、令和6年度は四捨五入した値と0.1ポイント違います
- 更新:5年ごとですが、更新基準案は機構から差し戻された状態です。更新の年が近い人は、学会の案内で最新の基準を確認してください
出典:日本専門医機構「日本専門医制度概報 令和7年度版」
参考文献
- 日本専門医機構「日本専門医制度概報 令和7年度版」. https://jmsb.or.jp/wp-content/uploads/2026/03/gaiho_2025.pdf

太田 旭
株式会社eggside 代表取締役。医学生。
自由診療のための医師向けメディア「doctorside」を運営したり、クリニック集患支援を行っている。