本記事では、医学部に在籍する筆者が、腎臓を専門にしようと考えている専攻医と研修医のために、腎臓専門医の取得までの年数と、取得後の更新・維持の条件について、日本専門医機構の一次資料を読み解き、整理しています。
以下の数値は、断りのない限り、日本専門医機構がまとめた「日本専門医制度概報 令和7年度版」によります。資料の腎臓のページで【旧制度】と記されているのは、申請資格と臨床経験の条件です。年数の条件は、日本腎臓学会の会員歴3年以上、入口となる資格の取得後1年以上または3年以上、教育施設での研修3年以上の3つですが、同じ期間に重ねられるかは書かれていません。そのため、通算で何年かかるかは資料から計算できません。【旧制度】がいつまで続き、何に置き換わるのかも説明されていません。
腎臓専門医の入口になる資格は、内科、小児科、外科、泌尿器科の4つです。内科では認定内科医の取得後3年以上、ほかの3科では各科の専門医取得後1年以上が必要です。認定内科医とは、日本専門医機構が認定する内科専門医より前から日本内科学会が認定してきた資格です。
腎臓専門医で押さえておくべき点は、次の3つです。年数と入口の資格は、資料が【旧制度】として載せている条件です。
- 入口が4つある:内科、小児科、外科、泌尿器科のいずれかの資格が要ります。内科からの場合は、内科専門医が始まる前の制度に属する認定内科医を取ってから3年以上、小児科専門医、外科専門医、泌尿器科専門医からの場合は取ってから1年以上が必要です
- 年数:ほかに、学会の会員歴が継続して3年以上あることと、学会が指定する教育施設で3年以上研修することが要ります。入口の資格に関する条件と合わせた3つのうち最も長いのは3年ですが、通算年数は資料から計算できません
- 更新:5年ごとに50単位以上を取ります。単位とは、学会の行事への参加や論文の掲載に応じて与えられるポイントです。更新月は4月で、更新料は3万円です
→ 関連記事:【2026年版】内科専門医の取得に何年かかる?更新・維持の条件も解説
→ 関連記事:【2026年版】サブスペシャルティとは?31領域の一覧と、専門医の取得年数・更新条件をまとめてみた
申請資格と取得までの年数
資料が【旧制度】として載せている申請資格は4項目です。
- 日本の医師免許を持ち、医師としての人格および見識を備えていること
- 日本腎臓学会の会員歴が継続して3年以上であること
- 日本内科学会の認定内科医は取得後3年以上、日本小児科学会の小児科専門医、日本外科学会の外科専門医、日本泌尿器科学会の泌尿器科専門医は取得後1年以上が経過していること
- 日本腎臓学会が指定する教育施設で、学会が別に定める研修カリキュラムにもとづく研修を3年以上行っていること
入口となる4資格を認定する学会は、資料が腎臓の関連学会として挙げる4学会と同じです。関連学会が制度の運営にどう関わるのかは書かれていません。
【旧制度】と記された臨床経験の欄には、申請資格の第3項と第4項と同じ内容が載っており、症例数などの条件は書かれていません。
認定内科医とは、資料の内科のページで、内科専門医が始まる前の制度に属する資格として扱われているものです。腎臓の申請資格には認定内科医の名前だけがあり、内科専門医との関係と、認定内科医を取るまでの年数は腎臓のページに載っていません。
通算で何年かかるかは資料からは決まりません。会員歴3年と研修3年をいつから数え始められるのか、3つの条件を同じ期間に重ねてよいのかが書かれていないためです。完全に重ねられるなら最短で3年、まったく重ねられないなら足し合わせた年数になりますが、どちらかは載っていません。初期研修を終えてから何年目にあたるかも、入口の4つの資格を取るまでの年数が腎臓のページにないため、計算できません。通算年数は、資料が掲載を記している日本腎臓学会の専門医制度規定にあたることになります。
出典:日本専門医機構「日本専門医制度概報 令和7年度版」
研修先になる教育施設は713
申請資格の第4項にある教育施設の条件は4つです。
- 腎・尿路疾患の入院患者が年間100名以上であること
- 常勤医の指導医が1名以上いること。ここでいう常勤医とは、週4日以上勤務する医師を指す
- 施設独自の研修カリキュラムを持つこと
- 日本腎臓学会の学術総会、または東部・西部学術大会で、過去3年間に年平均1演題の学会発表があること
資料の施設の欄は基幹教育施設と関連施設に分かれ、腎臓は基幹教育施設が713、関連施設は「なし」で総数も713です。この2つの違いと、申請資格にある「学会が指定する教育施設」がどちらを指すのかは、資料に説明がありません。713施設の名前と都道府県ごとの数も載っていませんが、資料は日本腎臓学会がホームページに教育施設一覧を掲載していると記しています。
出典:日本専門医機構「日本専門医制度概報 令和7年度版」
指導医に求められる要件
指導医の必須要件は4つです。
- 腎臓専門医として十分な診療経験があること。資料はこの要件を「専門医の資格取得後3年以上」と書いていますが、どの専門医を指すかは明記していません
- 申請の時点で学会の会員であること
- 腎・尿路系に関する査読付きの論文を発表していること。症例報告でもよい。または博士(医学)を持っていること
- 厚生労働省、基本領域の学会、日本腎臓学会のいずれかが主催する指導医講習会を修了していること
これに加えて、次の2つのうちどちらかを満たす必要があります。
- 施設の内外を問わず、症例検討会、研究会、学術集会などに、司会、座長、発表といった主導的な立場で関わること
- 日本腎臓学会での教育活動。論文の査読や講演などが挙げられている
腎臓専門医の資格を失うと、指導医の資格も失います。「専門医の資格取得後3年以上」がどの専門医を指すのかと、指導医が全国に何人いるかは資料に載っていません。
出典:日本専門医機構「日本専門医制度概報 令和7年度版」
認定試験は100問の多肢選択式
筆記試験は100問で、形式は示された選択肢から答えを選ぶ多肢選択式です。内訳は共通問題が90問、内科、小児科、泌尿器科、外科の選択問題が10問で、9割が共通問題にあたります。選択問題の10問を受験者1人が解くのか、4科分を合わせた問題数なのか、どの科の問題を解くのかは資料に載っていません。
合否は筆記試験の点数だけでは決まらず、資料によると、受験者が経験した症例について作る記録と要約の内容も合わせて総合的に判定します。必要な症例数、記録と要約の書式、配点の比率、合格に必要な点数、試験の実施回数、受験料、再受験の扱いは、いずれも資料に載っていません。
出典:日本専門医機構「日本専門医制度概報 令和7年度版」
認定試験の合格率は3年度とも95%以上
認定試験の結果は3年度分が資料に載っています。
- 令和4年度(2022年度):受験者239人、合格者229人、資料の掲載値95.8%
- 令和5年度(2023年度):受験者266人、合格者260人、資料の掲載値97.7%
- 令和6年度(2024年度):受験者232人、合格者221人、資料の掲載値95.2%
令和6年度は、合格者221人を受験者232人で割って小数第2位を四捨五入すると95.3%となり、資料の掲載値95.2%と一致しません。算出方法は資料に書かれていません。いずれの値でも3年度とも95%以上です。
3年度の合計は受験者737人、合格者710人で、合格率は96.3%です。
出典:日本専門医機構「日本専門医制度概報 令和7年度版」
腎臓専門医の更新・維持の条件(5年ごと・50単位)
腎臓専門医は5年ごとに更新し、50単位以上が必要です。更新月は4月、更新料は3万円です。提出書類は、資格更新申請書と、基本領域の学会が発行した認定医または専門医の認定証の写しの2点です。申請資格では内科の入口が認定内科医に限られていましたが、更新の提出書類は認定医と専門医の両方を挙げています。どちらを出すのか、認定証の写しのほかに入口になった資格を持ち続ける条件があるかは、資料に書かれていません。
単位は、日本腎臓学会の企画と他学会の企画に分かれます。自学会の企画は6種類です。
- 学術総会への参加:15単位
- 東部・西部学術大会への参加:10単位
- 学会の学術集会での筆頭講演者:4単位
- 学会の学術論文の掲載:英文誌は筆頭著者10単位、共著者5単位。和文誌は筆頭著者8単位、共著者4単位
- 学会誌に載る自己学習用の問題(セルフトレーニング問題)への解答提出:5単位
- 学術総会と東部・西部学術大会以外の企画への参加:5単位
他学会の企画は4種類で、50単位に満たない場合に限って使えます。
- 基本学会と認めた学会の年次集会:5単位
- 関連学会と認めた学会の年次集会:4単位
- 腎臓学に関連した学会誌以外の学術論文の掲載:欧文誌は筆頭著者6単位、共著者3単位。和文誌は筆頭著者4単位、共著者2単位
- 腎臓学に関連した総説論文:筆頭著者2単位、共著者1単位
単位数が最も大きいのは学術総会の15単位です。他学会の企画の欄にある「基本学会」と「関連学会」がどの学会を指すのか、申請資格の節で見た関連学会の4学会と同じものかどうかは、この欄に書かれていません。
出典:日本専門医機構「日本専門医制度概報 令和7年度版」
専門医数は6,624人
資料が全領域を並べた一覧表で、腎臓専門医は学会認定専門医数の列に6,624人と載っています。機構認定専門医数の列は「――」です。列が空欄である理由と、試験に合格した人がどちらの資格として数えられているかは、資料に書かれていません。
日本腎臓学会の会員数は11,957人で、内訳は医師11,519人、医師以外438人です。一覧表には集計時点の注記が付く学会もありますが、日本腎臓学会の行には付いていないため、6,624人と11,957人がいつ時点の数字かは分かりません。
→ 関連記事:【2026年版】専門医は何年で取れる?診療科別に取得年数の目安と更新の条件をまとめてみた
出典:日本専門医機構「日本専門医制度概報 令和7年度版」
→ 関連記事:【2026年版】リウマチ専門医の取得に何年かかる?更新・維持の条件も解説
出典:日本専門医機構「日本専門医制度概報 令和7年度版」
まとめ|腎臓専門医を目指すなら先に確かめること
- 申請資格と年数:年数に関わるのは、会員歴3年以上、入口の資格を取ってから内科は認定内科医の取得後3年以上・ほかの3科は1年以上、教育施設での研修3年以上の3つです。通算年数は資料から計算できません
- 教育施設:基幹教育施設が713で関連施設はなく、年間100名以上の腎・尿路疾患の入院患者と、週4日以上勤務する常勤の指導医1名以上が要ります。申請資格にある「学会が指定する教育施設」がどちらを指すかは資料にありません
- 指導医:資料が「専門医の資格取得後3年以上」と書く診療経験(どの専門医かは明記なし)、会員、査読付き論文または博士(医学)、指導医講習会の修了が必須で、学術集会での主導的な関与か教育活動のどちらかも要ります
- 試験:筆記は100問の多肢選択式で、共通問題90問と選択問題10問です。合否は経験症例の記録と要約も含めて判定されます
- 合格率:令和4年度から令和6年度の掲載値は95.8%、97.7%、95.2%で、3年度の合計は受験者737人、合格者710人、合格率96.3%です。令和6年度だけ、人数から計算した95.3%と掲載値95.2%が一致しません
- 更新:5年ごとに50単位以上、更新月は4月、更新料は3万円で、基本領域の学会の認定医または専門医の認定証の写しを提出します
- 規模:学会認定専門医数は6,624人、機構認定専門医数の列は空欄で、学会の会員は11,957人です。どちらもいつ時点の数字かは資料にありません
出典:日本専門医機構「日本専門医制度概報 令和7年度版」
参考文献
- 日本専門医機構「日本専門医制度概報 令和7年度版」. https://jmsb.or.jp/wp-content/uploads/2026/03/gaiho_2025.pdf
- 日本腎臓学会. http://www.jsn.or.jp

太田 旭
株式会社eggside 代表取締役。医学生。
自由診療のための医師向けメディア「doctorside」を運営したり、クリニック集患支援を行っている。