本記事では、医学部に在籍する筆者が、循環器を専門にしようと考えている専攻医と研修医のために、循環器専門医の取得までの年数と、取得後の更新・維持の条件を整理します。
以下の数値は、断りのない限り、日本専門医機構がまとめた「日本専門医制度概報 令和7年度版」によります。2004年度以降に医師免許を取得した人は、基本領域の資格を取得した年度の4月から満3年以上、日本循環器学会が指定する研修施設または研修関連施設で研修します。2003年度以前に医師免許を取得した人は、医師免許取得後の臨床研修歴が満6年以上必要で、そのうち3年以上を研修施設または研修関連施設で研修します。基本領域の資格を何年目に取得できるかはこの資料に載っていないため、卒業から申請までの年数は確定できません。
循環器専門医で押さえておくべき点は、次の3つです。
- 年数:2004年度以降に医師免許を取得した人は、基本領域の資格を取得した年度の4月から満3年以上、学会が指定する研修施設か研修関連施設で研修します
- 申請条件:基本領域の資格、通算3年以上の学会員歴、指定された救命処置の講習など6項目をすべて満たします
- 更新:5年ごとに合計50単位を取ります。うち30単位は学術集会と地方会への参加、2単位は医療安全・医療倫理に関する研修です
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取得までに必要な研修年数
資料は、研修先を「研修施設」と「研修関連施設」に分けています。どちらも日本循環器学会が指定する施設で、学会が定める研修内容である研修カリキュラムに基づいて研修します。必要な年数は、医師免許を取得した年度で分かれます。
- 2004年度以降に医師免許を取得した人:基本領域資格を取得した年度の4月から試験日の前日までに、研修施設または研修関連施設で満3年以上研修する
- 2003年度以前に医師免許を取得した人:医師免許取得後、試験日の前日までに満6年以上の臨床研修歴を持ち、そのうち3年以上を研修施設または研修関連施設で研修する
「臨床研修歴」は資料がこの欄で使っている語で、初期研修の2年とどう重なるのかは書かれていません。3年の条件は「但し」書きで示されており、2004年度以降の取得者にも満6年以上の臨床研修歴が求められるのかどうかも書かれていません。起算点は基本領域資格を取得した年度の4月で、初期研修を終えた時点でも、専門研修を始めた時点でもありません。基本領域の資格を何年目に取れるかは循環器のページにないため、初期研修の2年に3年を足して卒後5年、といった計算はできません。
研修中に経験すべき症例数や疾患数を示した欄は、循環器のページにありません。資料は循環器の到達目標を「専門医制度規則に記載」と書くだけで、規則の全文がどこで読めるかも示していません。
出典:日本専門医機構「日本専門医制度概報 令和7年度版」
受験資格と認定試験
資料は、申請時に満たす条件を6項目挙げています。
- 日本の医師免許を持ち、医師としての人格と見識を備えている
- 受験年度の4月1日時点で、認定内科医、総合内科専門医、外科学会認定登録医、外科専門医、小児科専門医のいずれかを取得している。認定内科医と総合内科専門医は内科専門医が始まる前から日本内科学会が認定してきた資格、外科学会認定登録医は外科専門医とは別に学会が定める資格である。2015年度以前の免許取得者は「新制度外科専門医」「新制度小児科専門医」も対象になるが、新制度の定義は載っていない
- 日本循環器学会の正会員で、通算3年以上の会員歴がある
- 前節に示した臨床研修歴を満たしている
- AHA BLSヘルスケアプロバイダーコースの修了後、AHA ACLSプロバイダーコースを受講し、有効な認定を受けている
- 喫煙が心血管病の危険因子であることを認識し、自らが禁煙するとともに、禁煙の啓発に努める
AHA、BLS、ACLS、ACLS-EP、PALSは資料が講習名に使っている略称で、正式名称は書かれていません。本記事では、AHAをアメリカ心臓協会、BLSを一次救命処置、ACLSを二次救命処置、PALSを小児の二次救命処置と読んでいます。ACLS-EPが何を指すかは資料に書かれていません。ACLS-EPやインストラクターの各コース、小児科系に限りPALSのコースも同等資格とされています。基本領域資格として挙がるのはこれらの資格だけで、ほかの基本領域から受験できるかどうかも、資格同士の関係も、循環器のページには載っていません。内科専門医という資格名も出てきません。禁煙の項目をどう確認するのかも書かれていません。
提出書類は、受験申請書、診療実績表、研修施設在籍証明書、循環器専門医研修カリキュラム達成度評価表、基本領域資格証明書のコピー、ACLSカードのコピーの6点です。記入者や記載項目、必要症例数は資料に載っていません。
試験は年1回で、書類審査に合格した人が筆記試験を受けます。筆記試験は選択肢から答えを選ぶMCQ方式で、資料の書き方は「全120問程度」です。問題数が年によって動くのかも、出題分野の区分と合格の基準点も資料に載っていません。費用は審査料20,000円と認定料30,000円の合わせて50,000円で、不合格のときの認定料の扱いは書かれていません。
出典:日本専門医機構「日本専門医制度概報 令和7年度版」
認定試験の合格率と受験者数
直近3年度の結果です。
- 令和4年度(2022年度):受験者849人、合格者761人、合格率89.6%
- 令和5年度(2023年度):受験者610人、合格者562人、合格率92.1%
- 令和6年度(2024年度):受験者493人、合格者435人、合格率88.2%
3年度の合計は受験者1,952人、合格者1,758人、不合格194人で、合格率は90.1%です。受験者数は令和4年度の849人から令和6年度の493人まで減っていますが、その理由は資料に載っていません。
出典:日本専門医機構「日本専門医制度概報 令和7年度版」
循環器専門医の更新・維持の条件
循環器専門医は5年ごとの更新制です。更新条件は次の5つで、資料は、認定更新の期限までに全ての手続きを完了していない場合は専門医資格の喪失となる、と記しています。
- 資料の表記で「本会主催の学術集会・地方会への参加で30単位、医療安全・医療倫理に関する研修で2単位の必修研修単位を含む合計50単位の充足」。本会は日本循環器学会で、地方会がどの範囲かは書かれていない。残る18単位の取得方法と、行事ごとの付与単位も資料に載っていない
- 更新の意思表示をする
- 資料が「所定の基本領域資格」と記す資格を持つ。更新の欄に資格名はなく、申請資格の欄に挙がる資格と同じかどうかも書かれていない
- 更新年度までの年会費を完納する
- 更新料30,000円を納める
単位の登録方法は、専門医カード、事務局登録、本人の自己申告の3つです。専門医カードが何を指すのかは資料に載っていません。資料は更新の時期を「毎年4月1日付け更新」と記しており、更新ごとに専門医証が発行されます。更新とは別に、資料は、循環器専門医としてふさわしくない行為のあった人に対して、委員会および理事会の議を経て、認定を期限付きで停止または取り消すことがあると記しています。どの委員会が審議するのか、ふさわしくない行為の中身、停止の期限の決め方は載っていません。
出典:日本専門医機構「日本専門医制度概報 令和7年度版」
研修施設の基準と数
研修年数の節で触れた研修先の要件です。研修施設の要件は4つです。
- 循環器系病床を常時30床以上持つこと
- 循環器専門医2名以上が常勤し、指導体制が充分であること
- 研修カリキュラムに基づく研修が可能な指導体制と設備が整っていること
- 循環器診療の実態調査(JROAD)に協力すること
研修関連施設の要件は5つです。
- 日本循環器学会が指定した研修施設と連係を持つこと
- 循環器専門医1名以上が常勤すること
- 指定研修施設と相談のうえ、研修カリキュラムの一部を受けもつこと。あわせて、自施設でも基本的な研修が可能な設備が整っていること。資料はこの欄で「研修施設」と「指定研修施設」の表記を併用しているが、同じものを指すかは書かれていない
- 循環器系病床を常時15床以上持つこと
- JROADに協力すること
JROADは、資料が「循環器診療の実態調査」と記している調査で、実施主体と項目は載っていません。病床は30床に対して15床、常勤の循環器専門医は2名に対して1名と、研修関連施設のほうが少ない数字です。満3年のうち何年を研修施設で積むかは資料に載っていないため、研修関連施設だけで3年を満たせるかは分かりません。
研修施設は1,011施設、研修関連施設は339施設で、合計1,350施設です。2025年11月5日時点の数です。施設名と都道府県ごとの数は資料にありませんが、日本循環器学会が研修施設一覧をホームページで公開していると記されています。
指導する立場の医師について、資料は循環器の指導体制の欄に「指導医制度なし。新制度では研修施設の要件として規定」と記しています。指導医に求める学識や論文の要件も、指導医の人数も、循環器のページには載っていません。ここでいう「新制度」が何を指すかも、受験資格の欄にある「新制度外科専門医」と同じものかも説明がありません。
出典:日本専門医機構「日本専門医制度概報 令和7年度版」
専門医数と学会員数
資料の一覧は、専門医数を学会認定と機構認定に分けています。循環器専門医17,365名は2025年11月6日時点の学会認定専門医数です。機構認定専門医数の欄は「――」で、両者の資格の効力や移行関係も資料に載っていません。
学会員は同じ時点で40,310名、内訳は医師26,160名、医師以外14,150名です。
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出典:日本専門医機構「日本専門医制度概報 令和7年度版」
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出典:日本専門医機構「日本専門医制度概報 令和7年度版」
まとめ|循環器専門医の取得前に確認すること
- 年数:2004年度以降の免許取得者は基本領域資格を取得した年度の4月から満3年以上、2003年度以前は満6年以上の臨床研修歴のうち3年以上を、研修施設または研修関連施設で研修します。2004年度以降の人にも満6年以上の臨床研修歴が要るかどうかは、資料に書かれていません
- 受験資格と試験:資料が挙げる5つの基本領域資格のいずれか、通算3年以上の学会員歴、AHAの救命処置コースの修了、禁煙などの6項目を満たします。試験は年1回のMCQで全120問程度、審査料20,000円と認定料30,000円です
- 合格率:令和4年度から令和6年度は89.6%、92.1%、88.2%、3年度の合計は1,758人÷1,952人で90.1%です
- 更新:5年ごとに合計50単位で、うち学術集会と地方会が30単位、医療安全・医療倫理が2単位、更新料は30,000円です
- 研修施設:研修施設は循環器系病床30床以上と循環器専門医2名以上の常勤、研修関連施設は15床以上と1名以上の常勤で、合計1,350施設です。満3年のうち何年を研修施設で積むかは資料にありません。指導体制の欄は「指導医制度なし。新制度では研修施設の要件として規定」で、指導医の要件は書かれていません
- 専門医数:学会認定専門医は17,365名、学会員は40,310名です。機構認定の欄は「――」です
先に確かめておきたいのは、入口にする基本領域の資格をいつ取れるかです。満3年の起算は基本領域の資格を取得した年度の4月で、ここが決まらないと受験できる年も決まりません。そのうえで、志望する病院が研修施設と研修関連施設のどちらなのかを、学会が公開する研修施設一覧で確かめてください。
出典:日本専門医機構「日本専門医制度概報 令和7年度版」
参考文献
- 日本専門医機構「日本専門医制度概報 令和7年度版」. https://jmsb.or.jp/wp-content/uploads/2026/03/gaiho_2025.pdf

太田 旭
株式会社eggside 代表取締役。医学生。
自由診療のための医師向けメディア「doctorside」を運営したり、クリニック集患支援を行っている。