【2026年版】血液専門医は卒後何年から申請できる?更新・維持の条件も解説

本記事では、医学部に在籍する筆者が、内科または小児科から血液を専門にしようと考えている専攻医と研修医のために、血液専門医の申請に必要な年数と、取得後の更新・維持の条件について、日本専門医機構と厚生労働省の一次資料を読み解き、整理しています。

以下の数値は、断りのない限り、日本専門医機構がまとめた「日本専門医制度概報 令和7年度版」によります。この資料が示す条件は、卒後6年以上の臨床研修があり、そのうち3年以上を研修施設での臨床血液学の研修にあてることです。この6年以上は申請資格の下限で、基本領域の専門医が認定される時期も試験の日程も資料にないため、実際に取得できる卒後年数は算出できません。本記事の「卒後」はこの資料の表記に合わせたもので、何年目から数えるかは書かれていません。

血液は、内科や小児科などの基本領域の専門医の上に積む二段階目のサブスペシャルティ領域で、血液専門医を認定するのは日本血液学会です。医籍登録年度とは、医師として医籍に登録された年度で、申請資格はこの年度で分かれます。

血液専門医で押さえておくべき点は、次の3つです。

  • 申請に必要な年数:卒後6年以上の臨床研修と、うち3年以上の血液の研修です。内科専門医を持つ人がこの6年をどう数えるかも、実際の取得年も資料に載っていません
  • 研修で積む症例:医籍登録が2016年度以降で2022年度以降に専門研修を開始した専攻医は58症例、内訳は赤血球領域15例、白血球領域33例、血栓止血領域10例です。この「専門研修」が基本領域か血液かは載っていません。あわせて15症例の症例要約が受理されている必要があり、受理が受付か審査通過かは書かれていません
  • 自分がどの区分かを確かめる:医籍登録が2016年度より前か以降かで申請資格が分かれ、2016年度以降は専門研修の開始が2022年度より前か以降かで症例数が変わります

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執筆者プロフィール

太田 旭

株式会社eggside 代表取締役。医学生。自由診療のための医師向けメディア「doctorside」を運営しつつ、LP制作、Google広告運用、SNS運用代行など、クリニック・歯科医院を中心としたマーケティング支援に従事しています。

申請資格と、卒後6年以上という条件

資料は卒後6年を、認定内科医または小児科専門医の研修年数も含む通算年数としていますが、内科専門医を持つ人の数え方は載っていません。認定内科医とは、内科専門医が始まる前から日本内科学会が認定してきた資格です。初期研修中の血液内科の研修を3年以上に含められるか、血液の研修を基本領域の専門研修といつから何年重ねられるかは、この資料にも厚生労働省の「サブスペシャルティ認定領域一覧」にも書かれていません。

資料は申請資格を、医籍登録が2016年度より前と2016年度以降に分け、それぞれ6つの条件を挙げています。両方を並べると次の7点になります。

  • 基本領域の資格:2016年度より前は日本内科学会認定内科医または日本小児科学会小児科専門医、2016年度以降は内科専門医もしくは小児科専門医。内科と小児科以外から申請できるかは載っていない
  • 研修年数:卒後6年以上の臨床研修と、うち3年以上の研修施設での臨床血液学の研修。年数はどちらの区分も同じ
  • 会員歴:どちらも申請時に継続して3年以上、日本血液学会の会員であること
  • 発表実績:どちらも2つ以上必要で、2016年度より前は「臨床血液学に関係した筆頭者として学会発表又は論文」、2016年度以降は「筆頭演者または筆頭著者として学会あるいは論文発表の実績」。2つが同じ範囲を指すかは載っていない
  • 症例の実績:2016年度より前は「診療実績記録」を提出。2016年度以降は経験症例数を血液専門医研修実績登録システムに登録し、症例要約を出す
  • 研修カリキュラム評価:2016年度より前は独立した項目として、学会のカリキュラムに自己評価と指導医評価を記入して提出。2016年度以降は上の登録に含まれる
  • 学術集会への参加:2016年度以降だけに、血液関連の学術集会や企画へ研修修了までに計5回以上という条件がある。研修修了が何の修了かは載っていない

研修施設には専門研修認定施設と専門研修教育施設の2区分があり、申請資格にある研修施設が両方を指すのか一方だけかは載っていません。基準と数はあとの節で見ます。

出典:日本専門医機構「日本専門医制度概報 令和7年度版」、厚生労働省 医道審議会 医師分科会 医師専門研修部会「サブスペシャルティ認定領域一覧」2025年12月19日現在

研修で積む症例と、指導医の要件

資料は、血液疾患の分野を赤血球系疾患、白血球系疾患、血栓止血系疾患の3つに大きくわけられると説明し、学会の研修カリキュラムが各領域の症例経験目標を定めているとしています。次に見る症例数も、この3領域ごとの内訳です。症例数は、申請資格の二本立てに、専門研修をいつ始めたかという分かれ道が加わって決まります。この分かれ道があるのは医籍登録が2016年度以降の区分だけで、資料の書き方は「2022年度以降より専門研修開始の専攻医」です。この専門研修が基本領域か血液かは載っていません。

  • 2022年度より前に専門研修を開始した専攻医:内科は、資料が「主担当医」と表記する立場で55症例を経験して登録します。主担当医の範囲は載っていません。小児科は、赤血球領域8例、白血球領域16例、血栓止血領域6例の計30症例です
  • 2022年度以降に専門研修を開始した専攻医:内科と小児科に共通して58症例で、内訳は赤血球領域15例、白血球領域33例、血栓止血領域10例です

あわせて、2016年度以降の登録では症例要約に4つの条件がつきます。

  • 15症例の症例要約が受理されていること。受理が提出の受付を指すのか、内容の審査を通った状態を指すのかは資料に載っていない
  • 症例要約には赤血球系疾患3例、白血球系疾患3例、血栓止血系疾患2例以上を含むこと
  • いずれかの領域に、造血細胞移植または輸血を1例以上、免疫学的機序による血液疾患を1例以上含めること
  • 記載内容に関し、指導医の承認を受けること

医籍登録が2016年度より前の人は、症例の登録ではなく、受け持ち入院患者のうち15名分の診療実績記録を作ります。その条件は「4領域それぞれにおいて、赤血球系疾患3例、白血球系疾患3例、血栓止血系疾患2例、免疫・輸血1例以上を含むこと」です。「4領域それぞれにおいて」が何にかかるのかは資料の書き方からは決まりません。ここで領域の数え方が変わります。資料は血液疾患の分野を3つに大きくわけられると説明していましたが、この条件では免疫・輸血を加えた4領域として数えています。

指導医とは、症例要約やカリキュラム評価を承認する医師です。指導医について、資料は次の4項目を挙げ、これを満たす者を認定委員会で審査し、認定すると記しています。

  • 血液専門医を有していること
  • 血液学に関連し査読を有する論文を、筆頭著者・last author・corresponding authorのいずれかとして3編以上有すること。もしくは学位〔博士(医学)〕を有すること
  • 日本血液学会学術集会において筆頭演者として2回以上の発表歴があること
  • 医籍登録後10年以上

出典:日本専門医機構「日本専門医制度概報 令和7年度版」

認定試験は80問、合格率は資料の数字と合わない

試験は多肢選択のマークシートで、2つのパートに分かれます。

  • 文章問題:内科・小児科共通問題60問。出題の範囲は書かれていない
  • 血液形態学・検査学問題:内科・小児科共通問題20問。資料はこの区分に「血液形態、特殊染色、検査 等」と付記しています

合計80問です。各パートの最低点と合格ラインは載っていません。合格率は3年度分が載っています。

  • 令和4年度(2022年度):受験者136人、合格者121人、資料の掲載値88.9%
  • 令和5年度(2023年度):受験者148人、合格者128人、資料の掲載値87.7%
  • 令和6年度(2024年度):受験者186人、合格者162人、資料の掲載値88.0%

受験者数と合格者数から合格率を計算すると、令和5年度は86.4864…%、令和6年度は87.0967…%になり、どう丸めても掲載値とは合いません。算出方法は資料に載っていません。

出典:日本専門医機構「日本専門医制度概報 令和7年度版」

血液専門医の更新・維持の条件

資料が更新の条件として挙げているのは、次の5点です。

  • 5年毎の更新制であること
  • 研修単位取得制であること
  • 更新料は20,000円
  • 関連学会を含み50単位以上を、「血液専門医カード」または自己申告にて、血液専門医単位登録システムへ登録すること
  • 毎年4月1日付けで、新たな認定証を発行すること

単位とは、更新の要件として数えるポイントです。何をすれば何単位になるのか、50単位が5年分を指すのか、関連学会としてどの学会が対象になるのか、「血液専門医カード」が何を指すのかは、いずれも資料に載っていません。

出典:日本専門医機構「日本専門医制度概報 令和7年度版」

研修施設の基準と施設数、専門医数

申請資格の節で触れた2区分の基準と、領域の規模です。資料は専門研修認定施設について、申請・認定を診療科単位とし、条件を満たすことを原則とするが地域の特性を鑑みて専門医認定委員会が決定すると記し、基準を9項目挙げています。

  • 血液病床を20床以上有していること
  • 血液の専門外来を有していること
  • カリキュラムの完結に必要な疾患領域・症例数を有すること
  • 指導医1名以上が常勤していること
  • 臨床血液学の教育的行事を定期的に実施していること
  • 臨床研究が可能な環境が整い、血液疾患登録を行っていること
  • 倫理委員会、治験センターもしくは臨床研究センターが設置されていること
  • 関連学会に血液学の演題を5年間の平均で年に3演題以上発表していること
  • 教育施設と密な連携が取れる体制を構築していること

小児血液疾患診療施設については、ベッド数の基準を5床以上とすると付け加えていますが、これが認定施設の例外なのか別の区分なのかは書かれていません。専門研修教育施設の基準は3つで、血液病床を5床以上有していること、専門医1名以上が常勤していること、血液の専門外来を有していることです。この「専門医」が血液専門医を指すのかは書かれていません。

施設の数は認定施設が447施設、教育施設が259施設で、合わせると706施設です。この数が病院数か診療科数かも、数え上げた時点も資料からは判断できません。

資料の一覧表は、専門医数を、学会が認定した学会認定専門医と日本専門医機構が認定した機構認定専門医の2列で数えています。血液専門医は令和7年8月(2025年8月)現在で4,587人で、学会認定専門医数の列に入っています。機構認定専門医数の列は「――」で、試験に合格した人がどちらとして数えられるのかは書かれていません。学会の会員数は8,092人で、内訳は医師7,327人と医師以外765人です。会員数には時点が付いていません。

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出典:日本専門医機構「日本専門医制度概報 令和7年度版」

まとめ|血液専門医を目指すなら先に決めること

  • 申請資格と年数:卒後6年以上の臨床研修と、うち3年以上の血液の研修です。医籍登録が2016年度より前か以降かで申請資格が分かれ、どちらも会員歴は申請時に継続して3年以上、学会発表または論文が2つ以上です。内科専門医を持つ人がこの6年をどう数えるかも、実際に取得できる卒後年数も資料に載っていません
  • 症例と指導医:医籍登録が2016年度以降なら、2022年度以降の専門研修開始で58症例、2022年度より前の開始で内科55症例または小児科30症例、あわせて15症例の症例要約が受理されている必要があります。受理が受付か審査を通った状態かは書かれていません。2016年度より前の登録なら、症例登録の規定はなく入院患者15名分の診療実績記録です。指導医の要件は、血液専門医、論文3編以上または学位、発表歴、医籍登録後10年以上の4項目です
  • 認定試験と合格率:多肢選択の80問で、うち20問が血液形態学と検査学です。合格ラインは載っていません。掲載値は88.9%、87.7%、88.0%で、令和5年度と令和6年度は人数から再現できません
  • 更新に何が要るか:5年毎の更新制で、関連学会を含み50単位以上と更新料20,000円です。50単位が5年分を指すのかも、対象になる関連学会も書かれていません
  • 研修施設と専門医数:認定施設447と教育施設259で、これが病院数か診療科数かは書かれていません。認定施設は血液病床20床以上と指導医1名以上の常勤、教育施設は血液病床5床以上と専門医1名以上の常勤が基準で、認定施設のほうは原則という書き方です。学会認定専門医数は令和7年8月現在で4,587人です

先に確かめたいのは、自分の医籍登録がどちらの区分にあたるかと、3年以上の血液の研修を認定施設と教育施設のどちらで積めるのかです。後者は資料にないので、日本血液学会に確かめてください。

出典:日本専門医機構「日本専門医制度概報 令和7年度版」

参考文献

  • 日本専門医機構「日本専門医制度概報 令和7年度版」. https://jmsb.or.jp/wp-content/uploads/2026/03/gaiho_2025.pdf
  • 厚生労働省 医道審議会 医師分科会 医師専門研修部会「サブスペシャルティ認定領域一覧」2025年12月19日現在. https://www.mhlw.go.jp/content/10803000/001675411.pdf
  • 日本血液学会. http://www.jshem.or.jp/
この記事の監修者

太田 旭

株式会社eggside 代表取締役。医学生。
自由診療のための医師向けメディア「doctorside」を運営したり、クリニック集患支援を行っている。