本記事では、医学部に在籍する筆者が、呼吸器を専門にしようと考えている専攻医と研修医のために、呼吸器専門医の取得までの年数と、取得後の更新・維持の条件について、日本専門医機構と厚生労働省の一次資料を読み解き、整理しています。
以下の数値は、断りのない限り、日本専門医機構がまとめた「日本専門医制度概報 令和7年度版」によります。呼吸器専門医の申請には内科専門医の資格と3年間以上の呼吸器専門研修が必要です。初期研修2年、内科の専門研修3年、呼吸器の専門研修3年を重ねずに進める場合は卒業後8年、呼吸器の研修をすべて内科の研修と重ねられる場合は卒業後5年が研修年数の目安になります。ただし、どこまで重ねられるかは資料に載っていないため、実際の年数は確定できません。
呼吸器専門医で押さえておくべき点は、次の3つです。
- 取得までの年数:内科専門医であることに加えて、呼吸器の専門研修が3年間以上必要です。内科と呼吸器の研修を重ねる期間によって、研修年数がそろうのは卒業後5年から8年です
- 研修で積む実績:申請のときに出す病歴要約は25編です。病歴要約とは、担当した症例の経過や検査所見、診断と治療をまとめた文書です。学会が別に定める修了要件にも病歴要約の数がありますが、その数と25編の関係は資料に書かれていません。論文3編以上と学会発表3編以上も要ります
- 申請の前提:申請資格に「非喫煙者であること」が入っています。何をもって非喫煙者とするのか、申請の何年前から吸っていない必要があるのかは資料に書かれていません
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呼吸器専門医の申請資格と取得までの年数
資料が挙げる申請資格は8項目です。
- 基本領域の専門医(内科専門医)であること
- 非喫煙者であること
- 呼吸器専門研修期間が3年間以上あること
- 修了要件にある病歴要約数、症例経験数を経験すること
- 上記診療経験を基に記載した25編の病歴要約を作成すること
- 修了要件にある所定の必須技術の経験
- 所定の呼吸器病学関連の論文3編以上および呼吸器関連学会での発表3編以上
- 呼吸器専門研修として定める講習会の受講。臨床呼吸機能講習会は必須
申請資格の4番目と6番目にある修了要件とは、日本呼吸器学会が呼吸器内科領域専門研修について定める条件です。資料は存在に触れるだけで中身を載せていません。8項目に学会の会員歴の条件は入っておらず、会員である必要があるかどうかも書かれていません。
資料が年数として明記しているのは、呼吸器の専門研修が3年間以上という条件だけです。取得までに卒業後何年かかるかは書かれていません。内科専門医になるまでの年数と呼吸器の研修年数は次のとおりです。
- 初期臨床研修:2年
- 内科の専門研修:3年。資料の内科のページは専門研修1年、2年、3年の各年次の到達目標を示していますが、研修年限を3年とは書いていません。この3年は本記事が置いた数です
- 呼吸器の専門研修:3年間以上
3つの研修期間を重ねずに進める場合は卒業後8年です。厚生労働省の「サブスペシャルティ認定領域一覧」は31領域を挙げていて、そのうち15領域が連動研修にあたり、呼吸器内科はここに入っています。連動研修とは、基本領域とサブスペシャルティ領域の研修を重ねて進める方式です。呼吸器の3年がすべて内科の3年に収まる場合は卒業後5年ですが、どこまで重ねられるかはどちらの資料にも書かれていません。
この卒後5年から8年は研修の年数が揃う時期であって、資格が取れる時期ではありません。呼吸器の認定試験は年1回なので、認定はそのあとです。産休や休職で途切れた期間を3年間にどう算入するのかも、資料に書かれていません。
資料は日本呼吸器学会の関連学会として日本内科学会と日本外科学会の2つを挙げていますが、申請資格に書かれている基本領域の専門医は内科専門医だけで、外科から呼吸器専門医に進む道があるのかどうかは読み取れません。
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出典:日本専門医機構「日本専門医制度概報 令和7年度版」、厚生労働省 医道審議会 医師分科会 医師専門研修部会「サブスペシャルティ認定領域一覧」2025年12月19日現在
研修のあいだに積む実績と受講する講習会
申請資格の4番目から7番目が研修で積む実績、8番目が受講する講習会です。研修で求められる実績は次の6つです。
- 症例経験:修了要件が定める数の症例を経験します。何例なのかは資料に載っていません
- 修了要件のほうの病歴要約:修了要件は病歴要約の数も定めていますが、何編なのかは載っていません
- 申請のときに出す病歴要約:25編です。上の症例経験をもとに作成します。修了要件のほうの数と同じものなのかは読み取れません
- 論文:呼吸器病学に関連するものが3編以上
- 学会発表:呼吸器関連学会でのものが3編以上
- 必須技術:修了要件に定められた所定の技術を経験します
論文3編以上と学会発表3編以上について、年に何編という配分も、共著でよいのか筆頭でなければならないのかも書かれていません。講習会で名前が挙がっているのは臨床呼吸機能講習会だけで、資料の臨床関係事項の欄に3日間の合宿形式とあります。ほかにどんな講習会が定められているかは書かれていません。
出典:日本専門医機構「日本専門医制度概報 令和7年度版」
研修施設の区分と指導の体制
資料が載せているのは施設が満たすべき条件だけで、指定を受けた施設の数も名前も載っていません。なお専門研修プログラムは、資料が施設群とも呼ぶ、専攻医が所属して研修を受ける枠です。
- 基幹施設:呼吸器系病床として20床以上有すること、呼吸器指導医2名が常勤すること、研修カリキュラムに基づく研修が可能であること、剖検室を有しかつ剖検実績を有すること
- 連携施設:呼吸器系病床として10床以上有すること、呼吸器指導医1名が常勤すること、研修カリキュラムに基づく研修が可能であること
- 特別連携施設:専門研修プログラム(施設群)基幹施設との十分な連携下に定期的指導教育体制がとられていること、呼吸器専門医もしくは関連分野の専門医・指導医が常勤し、良質な呼吸器疾患の診療体制がとられていること
剖検の条件が付いているのは基幹施設だけで、剖検実績が何件必要かは書かれていません。研修カリキュラムも、修了要件と同じく学会が定める文書で、中身は載っていません。特別連携施設には病床数の条件がなく、何人が常勤していればよいのか、1人が専門医と指導医を兼ねてよいのかも読み取れません。呼吸器指導医が呼吸器専門医とは別に学会が認定する資格なのかも書かれていません。
専攻医がどこに所属して3つの区分をどう回るのか、1か所で3年を終えられるのかは、資料に書かれていません。
出典:日本専門医機構「日本専門医制度概報 令和7年度版」
認定試験は年1回、秋の筆記試験
資料が示しているのは次の4点です。
- 実施:筆記試験を年1回、秋に行う
- 解答方式:マークシート形式の五者択一
- 一般問題:共通計70問
- 実地問題:共通計50問
資料には一般問題が「共通計70問」、実地問題が「共通計50問」とあります。合計は120問ですが、「共通」が何を指すのかの説明はなく、120問が受験者1人の解く問題数と同じかは読み取れません。一般問題と実地問題がそれぞれ何を問うのか、出題の中身、合格ライン、不合格だった場合の翌年以降の扱い、受験料は資料に出てきません。
出典:日本専門医機構「日本専門医制度概報 令和7年度版」
認定試験の合格率は3年とも8割台
資料が載せているのは3年度分です。
- 令和4年度(2022年度):受験者352人、合格者290人、資料の掲載値82.3%
- 令和5年度(2023年度):受験者342人、合格者297人、資料の掲載値86.8%
- 令和6年度(2024年度):受験者325人、合格者265人、資料の掲載値81.5%
資料の掲載値では、合格率は3年とも8割台です。3年度の合計は受験者1,019人、合格者852人、不合格167人で、合格率は83.6%です。
出典:日本専門医機構「日本専門医制度概報 令和7年度版」
呼吸器専門医の更新・維持の条件
資料の更新関係事項の欄に書かれているのは、5年毎の更新制であることと、専門医資格更新に必要とされる研修単位が50単位で、うち20単位は当学会主催の学術講演会であること、参加証明書の提出が必要であること、この3点です。50単位は更新に必要な数と書かれているため、筆者は更新1回分、つまり5年で集める数と読みました。1年あたり何単位という指定は資料にありません。
50単位のうち20単位が学会主催の学術講演会に限られているため、学会の学術講演会に一度も出ないと、残り30単位をどれだけ積んでも更新の条件を満たせません。その学術講演会が年に何回開かれるのか、1回の参加が何単位になるのか、残る30単位を何で埋められるのかは書かれていません。更新のときに内科専門医を持ち続けている必要があるかどうかも、5年で50単位に届かなかった場合の扱いも、資料の更新関係事項の欄にはありません。
出典:日本専門医機構「日本専門医制度概報 令和7年度版」
専門医数
呼吸器専門医は令和7年8月(2025年8月)現在で7,999人です。資料の一覧表では学会認定専門医数の列に入り、機構認定専門医数の列は「――」で人数が入っていません。この記号が0人を指すのか、集計していないことを指すのかは資料に説明がなく、試験に合格した人がどちらの資格として数えられるのかも書かれていません。
→ 関連記事:【2026年版】専門医は何年で取れる?診療科別に取得年数の目安と更新の条件をまとめてみた
出典:日本専門医機構「日本専門医制度概報 令和7年度版」
まとめ|呼吸器専門医を目指すなら先に決めること
- 申請資格と年数:内科専門医、非喫煙者、呼吸器の専門研修3年間以上を含む8項目です。研修の年数が揃うのは、重ねずに積んだ卒後8年と、呼吸器の3年がすべて内科の3年に収まった場合の卒後5年のあいだで、5年まで重ねられるかは資料にも厚生労働省の一覧にも書かれていません。認定はそのあとです
- 研修で積むもの:病歴要約25編と、論文3編以上、学会発表3編以上、臨床呼吸機能講習会の受講です。症例経験数と必須技術も修了要件が定めますが、その数と、修了要件のほうの病歴要約の数が25編と同じものかは資料から読み取れません
- 研修先と指導体制:基幹施設、連携施設、特別連携施設の3区分です。基幹施設の条件は、呼吸器系病床20床以上、呼吸器指導医2名の常勤、研修カリキュラムに基づく研修が可能であること、剖検室を有しかつ剖検実績を有することの4つです
- 試験:年1回、秋の筆記試験で、マークシート形式の五者択一です。資料の表記は一般問題「共通計70問」、実地問題「共通計50問」で、120問が受験者1人の解く問題数かは確かめられません
- 合格率:資料の掲載値は82.3%、86.8%、81.5%で、3年とも8割台です。3年度を通した合格率は83.6%です
- 更新:5年ごとの更新制で、資料が示す研修単位は50単位です。本記事はこれを更新1回ぶんと読みました。うち20単位は学会主催の学術講演会から取ります
- 規模:学会認定専門医数は令和7年8月現在で7,999人、機構認定専門医数の列は「――」で、この記号が0人を指すかは説明がありません
出典:日本専門医機構「日本専門医制度概報 令和7年度版」
参考文献
- 日本専門医機構「日本専門医制度概報 令和7年度版」. https://jmsb.or.jp/wp-content/uploads/2026/03/gaiho_2025.pdf
- 厚生労働省 医道審議会 医師分科会 医師専門研修部会「サブスペシャルティ認定領域一覧」2025年12月19日現在. https://www.mhlw.go.jp/content/10803000/001675411.pdf
- 日本呼吸器学会. https://www.jrs.or.jp

太田 旭
株式会社eggside 代表取締役。医学生。
自由診療のための医師向けメディア「doctorside」を運営したり、クリニック集患支援を行っている。