【2026年版】呼吸器外科専門医の取得に何年かかる?更新・維持の条件も解説

本記事では、医学部に在籍する筆者が、外科を基本領域として呼吸器外科を専門にしようと考えている専攻医と研修医のために、呼吸器外科専門医の取得までの年数と、取得後の更新・維持の条件について、日本専門医機構の一次資料を読み解き、整理しています。

以下の数値は、断りのない限り、日本専門医機構がまとめた「日本専門医制度概報 令和7年度版」によります。資料が示す呼吸器外科専門医の年数条件は、卒後修練期間6年以上と、専門研修施設での3年以上の修練です。卒後修練期間とは医学部の卒業から数える修練の期間ですが、何をこの期間に数えるかは資料に載っていません。初期研修2年と専門研修施設での3年を6年の内側に含むと読めば、申請できる時期の下限は卒業後6年です。ただし、試験の実施時期や合格から認定までの期間も載っていないため、専門医を名乗れる時期までは確定できません。

呼吸器外科専門医は、制度を運営する学会を示す資料の基幹学会名の欄に日本呼吸器外科学会と日本胸部外科学会の2つが並び、担当委員会はこの2学会で構成する呼吸器外科専門医合同委員会です。

呼吸器外科専門医で押さえておくべき点は、次の3つです。

  • 年数:資料が示す下限は、卒後修練期間6年以上と、専門研修施設での3年以上の修練期間です。外科専門医は初期研修2年と専門研修3年で卒後5年にそろうため、あとから来る6年が全体の下限を決めます
  • 手術:修練期間中に、術者として60例以上、助手として120例以上を経験します。どちらも満たす必要があります
  • 会員歴:日本呼吸器外科学会と日本胸部外科学会の両方に3年以上の会員歴が必要で、申請時にも両方の会員である必要があります

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執筆者プロフィール

太田 旭

株式会社eggside 代表取締役。医学生。自由診療のための医師向けメディア「doctorside」を運営しつつ、LP制作、Google広告運用、SNS運用代行など、クリニック・歯科医院を中心としたマーケティング支援に従事しています。

呼吸器外科専門医の取得までに何年かかるか

資料の「臨床関係事項」の欄には「卒後修練期間6年以上で、専門研修施設において3年以上の修練期間を有すること」と書かれています。専門研修施設は基幹施設と連携施設に分かれますが、3年をどちらで積むのかは資料に書かれていません。

資料の外科専門医のページは、研修期間を外科領域専門研修プログラムで通算3年以上としています。初期研修2年を経て外科専門研修を3年行うと、卒業後5年になります。

資料によると、機構によるサブスペシャルティ領域の研修は、令和4年度に連動研修を行う15領域で先行して始まりました。連動研修とは、基本領域の専門研修とサブスペシャルティ領域の研修を重ねて進める方式で、資料の沿革はこの15領域に呼吸器外科を挙げています。

したがって、外科の5年に修練の3年を積んで卒後8年、という数え方にはなりません。初期研修のあと3年を積めば卒後5年で修練期間の条件はそろい、あとから来る卒後修練期間6年以上が下限を決めます。差の1年に何を求められるのかは資料に書かれていません。試験の実施時期、申請の締切、合格から認定までの期間も載っていないため、卒業から何年目に名乗れるかまでは確定できません。

出典:日本専門医機構「日本専門医制度概報 令和7年度版」

申請に何が要るか

資料の「専門医申請資格」の欄は、条件を7項目に分けています。

  • 日本国の医師免許を持っていること
  • 外科専門医であること
  • 卒後修練期間が6年以上あること
  • 専門研修施設において3年以上の修練期間があること
  • 修練期間中に、別に定める手術経験があること
  • 呼吸器外科学に関する別に定める一定の業績(学会発表、論文発表)と研修業績(学会参加、学会が認めるセミナーや講習会への参加)があること
  • 日本呼吸器外科学会と日本胸部外科学会の会員であり、それぞれ3年以上の会員歴を持ち、かつ申請時に会員であること

会員歴は、片方に長く在籍していても、もう一方が3年に足りなければ条件を満たしません。会員歴をいつから数えるのか、休会した期間をどう扱うのかは資料に書かれていません。

手術経験と業績は、申請資格の欄に数字がありません。業績は何本必要なのか載っておらず、手術経験は臨床関係事項の欄に術者60例以上、助手120例以上と記されています。

資料の「医療倫理・安全管理」の欄は、新規申請と更新申請のどちらでも医療安全に関する研修に2回以上参加していることを求めています。2回をどの期間で数えるのかは書かれていません。

出典:日本専門医機構「日本専門医制度概報 令和7年度版」

手術をどれだけ経験するのか

資料の臨床関係事項の欄が数字で示しているのは、次の2つです。

  • 術者として60例以上の手術経験を持つこと
  • 助手として120例以上の手術経験を持つこと

資料は術者と助手を別々の条件としており、合計の症例数だけを満たせばよいとは書いていません。どの手術を数えるのか、術式ごとの内訳や内視鏡下手術の扱い、術者と助手の定義も呼吸器外科の欄にはありません。

資料の「修練期間中に別に定める手術経験を有すること」という書き方は、この修練期間が卒後修練期間の6年を指すのか、専門研修施設での3年を指すのかを書き分けていません。

出典:日本専門医機構「日本専門医制度概報 令和7年度版」

認定試験はどう行われるか

資料の「試験内容」の欄によると、書類審査に合格した人が筆記試験に進みます。書類審査の項目や基準は資料に書かれていません。

筆記試験について、資料が示しているのは次の内容です。

  • 出題範囲:呼吸器の発生、解剖と機能、呼吸器外科における検査法、呼吸器外科疾患各論、呼吸器疾患の手術法、周術期管理などから広く出題されます
  • 形式:多選択肢問題を使います。問題形式は多真偽形式のX2タイプが中心で、一部に単純択一形式のAタイプを使います
  • 問題内容:一般問題と臨床問題の2種類です
  • 問題数:全120問前後です

X2タイプとAタイプがどういう出題を指すのかは資料に書かれていません。合格の基準もなく、正答率が何割で合格になるのか、書類審査と筆記試験の重みをどう扱うのかは載っていません。試験の実施時期と受験料も同じです。

出典:日本専門医機構「日本専門医制度概報 令和7年度版」

どれくらいの人が合格しているか

資料には直近3年度分の結果が載っています。

  • 令和4年度(2022年度):受験者93人、合格者78人、合格率83.9%
  • 令和5年度(2023年度):受験者93人、合格者81人、合格率87.1%
  • 令和6年度(2024年度):受験者111人、合格者91人、合格率81.9%

3年度の合計は受験者297人、合格者250人で、合格率は84.2%です。

令和4年度に始まったのは機構による研修です。3年度の受験者がどの研修を経た人なのかは資料に書かれていません。

出典:日本専門医機構「日本専門医制度概報 令和7年度版」

取ったあと何をすれば維持できるか

資料の「更新関係事項」の欄によると、呼吸器外科専門医は5年ごとの更新制です。条件は基礎条件と単位条件の二階建てで、基礎条件は4項目あります。

  • 日本呼吸器外科学会と日本胸部外科学会の会員であること
  • 呼吸器外科専門医であり、かつ外科専門医であること
  • 5年間に、別に定める一定の業績(論文発表)と研修業績(学会参加、学会が認めるセミナーや講習会への参加)を持つこと
  • 5年間に術者または助手として100例以上の手術経験を持つこと

単位条件は、基礎条件のほかに5年間で20単位以上を取ることです。何にどれだけの単位が付くかは規定の単位表によるとされていますが、単位表は資料に載っていません。

更新時の手術経験は、取得時と数え方が異なります。取得時は術者60例と助手120例が別々の条件ですが、更新では術者と助手を区別せずに100例以上です。医療安全に関する研修への2回以上の参加も、更新申請で必要です。

2番目のとおり、更新するには外科専門医であり続ける必要があります。その更新条件は外科の側で定められていて、資料の呼吸器外科のページには書かれていません。

出典:日本専門医機構「日本専門医制度概報 令和7年度版」

専門医と研修施設はどれだけあり、誰が指導するのか

呼吸器外科専門医は、2025年8月現在で1,697人です。この数字は資料の学会認定専門医数の欄に入っており、機構認定専門医数の欄は「――」です。この記号が0人を指すのか、集計していないことを指すのかは書かれていません。研修施設は専門研修基幹施設179と専門研修連携施設460で、総数は639です。施設の一覧は、呼吸器外科専門医合同委員会のホームページの認定修練施設一覧表にあります。

基幹施設の条件として資料が挙げているのは、次の項目です。

  • 呼吸器内科、放射線科、病理診断科が設置されているか、診療部門として機能していること
  • 集中治療室など急性期重症患者の設備を備え、医療安全管理、倫理、感染対策などの部門があり、専攻医の研修ができること
  • 基幹施設が中心となり、各専門研修施設が研修のどの領域を担当するかを専門研修カリキュラムに明示すること
  • 呼吸器外科手術が直近3年の平均で年150例以上あり、そのうち肺葉切除と区域切除の手術数が直近3年の平均で年10例以上あること
  • 申請時より過去3年間に1名以上の呼吸器外科専門医を養成した実績があることが望ましいこと
  • CPCや合同カンファレンスが定期的に開催され、医療安全、医療倫理、感染対策などの教育講演も定期的に開催されていること。資料はCPCが何を指すかを説明していません
  • National Clinical Database、略してNCDの登録認定施設であること。NCDが何を集めるデータベースなのかは資料に書かれていません

連携施設の条件は、これより軽くなっています。担当者がいること、集中治療室などの設備と医療安全管理などの部門があること、呼吸器外科手術が直近3年の平均で年25例以上あること、NCDの登録認定施設であることが挙げられています。

基幹施設には、常勤の専門研修カリキュラム統括責任者1名と、専門研修指導医が1名以上必要です。統括責任者は呼吸器外科専門医の更新歴が2回以上あり、かつ日本呼吸器外科学会の評議員となる資格を持つ医師、専門研修指導医は更新歴1回以上の医師です。更新歴とは更新を済ませた回数です。連携施設には専門研修指導医が必要ですが、常勤の外科専門医がいて基幹施設から専門研修指導医の応援が得られる場合は、それで足りるとされています。

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出典:日本専門医機構「日本専門医制度概報 令和7年度版」

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まとめ|呼吸器外科専門医を目指すなら先に決めること

  • 年数:資料が示す下限は卒後修練期間6年以上ですが、この6年に何を数えるのかは資料に書かれていません。字面どおりに初期研修も専門研修も含めて読めば、卒業から6年です。外科専門医は初期研修2年と外科の専門研修3年で卒後5年にそろいます
  • 研修の重ね方:呼吸器外科は、資料の沿革が挙げる連動研修の15領域に入っています。3年をどの施設でどう積むのかは資料に書かれていません
  • 学会への入会:日本呼吸器外科学会と日本胸部外科学会の両方に3年以上の会員歴が必要です。志望を決めた段階で両方に入っておいてください
  • 手術:取得には術者60例以上と助手120例以上の両方が必要です
  • 更新:5年間に術者または助手として100例以上と20単位で、外科専門医であり続けることも条件です
  • 試験と合格率:書類審査に合格した人が筆記試験に進み、全120問前後です。合格基準は資料に載っていません。直近3年度の掲載値は83.9%、87.1%、81.9%で、3年度を通した合格率は84.2%です
  • 研修先と規模:基幹施設は年150例以上、連携施設は年25例以上の手術実績が条件で、どちらもNCDの登録認定施設である必要があります。専門医は学会が認定した1,697人、研修施設は基幹施設179と連携施設460の合計639です

出典:日本専門医機構「日本専門医制度概報 令和7年度版」

参考文献

  • 日本専門医機構「日本専門医制度概報 令和7年度版」. https://jmsb.or.jp/wp-content/uploads/2026/03/gaiho_2025.pdf
この記事の監修者

太田 旭

株式会社eggside 代表取締役。医学生。
自由診療のための医師向けメディア「doctorside」を運営したり、クリニック集患支援を行っている。