【2026年版】内分泌代謝科専門医の取得に何年かかる?更新・維持の条件も解説

本記事では、医学部に在籍する筆者が、内分泌と代謝を専門にしようと考えている専攻医と研修医のために、内分泌代謝科専門医の取得までの年数と、取得後の更新・維持の条件について、日本専門医機構と厚生労働省の一次資料を読み解き、整理しています。

以下の数値は、断りのない限り、日本専門医機構がまとめた「日本専門医制度概報 令和7年度版」によります。内分泌代謝科専門医は、内科、小児科、産婦人科、泌尿器科、脳神経外科から目指せます。内科では認定内科医の研修課程の修了後に3年以上、小児科と産婦人科では専門医の研修期間を含めて6年以上、脳神経外科では初期研修を含めて6年以上の研修が必要です。泌尿器科には研修年数の条件が載っていません。認定教育施設とは、日本内分泌学会が研修先として認めた施設です。

内分泌と代謝を専門にする資格には、日本内分泌学会が認定する内分泌代謝科専門医と、日本糖尿病学会が認定する糖尿病専門医があります。資料はこの2つを別々のページで扱っており、更新に必要な単位も60単位と70単位で異なります。本記事が扱うのは内分泌代謝科専門医です。

内分泌代謝科専門医で押さえておくべき点は、次の3つです。

  • 入口が5つある:内科、小児科、産婦人科、泌尿器科、脳神経外科から目指せます。申請資格は3つのまとまりに分けて書かれていて、年数も、必要な学会発表や論文の本数も違います
  • 試験の問題数が入口で違う:筆記は内科と小児科が全100問、産婦人科と脳神経外科が全50問です。泌尿器科の問題数は資料に載っていません
  • 日本専門医機構の領域としては整備基準の提出が見送られている:厚生労働省の一覧で、「内分泌代謝内科」は整備基準の提出そのものが見送られたと注記されています。整備基準とは、領域ごとに研修内容や施設の要件を定めて日本専門医機構の承認を受ける文書です。学会が認定する資格としての運用は続いていて、令和6年度も118人が受験しています

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執筆者プロフィール

太田 旭

株式会社eggside 代表取締役。医学生。自由診療のための医師向けメディア「doctorside」を運営しつつ、LP制作、Google広告運用、SNS運用代行など、クリニック・歯科医院を中心としたマーケティング支援に従事しています。

内分泌代謝科専門医の取得までに何年かかるか

資料の申請資格欄は、入口の基本領域によって【内科・小児科・産婦人科】【泌尿器科】【脳神経外科】の3つに分かれ、5つの基本領域を扱っています。

内科から入る場合、条文は「認定内科医研修の課程を修了後、申請時まで3年以上、認定教育施設において内分泌代謝科指導医の指導のもとで内分泌代謝疾患の診療に従事している者」となっています。認定内科医とは、日本専門医機構が認定する内科専門医より前から日本内科学会が認定してきた資格です。数えられるのは認定内科医の研修課程を修了した後の3年だけで、その課程が何年かかるのかは書かれていないため、卒業から何年目で申請できるかは確定できません。

小児科と産婦人科は、同じまとまりの中で年数の数え方が変わります。小児科専門医または産婦人科専門医の研修期間を含めた研修期間を6年以上とし、そのうち申請時までに3年以上を認定教育施設での研修にあてます。この6年をどこから数えるのかは書かれていません。初期研修を含めるなら卒業から6年、含めないなら卒業から8年ですが、どちらなのかは資料から読み取れません。

脳神経外科では、脳神経外科専門医資格の研修期間を含めた研修期間を6年以上とし、初期研修を含むと明記されています。そのうち申請時までに3年以上を下垂体疾患の診療にあてます。

泌尿器科の申請資格には研修年数の条件がありません。前提となる「基幹学会の専門医」がどの学会の資格を指すのかは資料に書かれていないため、そこに何年かかるのかも読み取れません。

出典:日本専門医機構「日本専門医制度概報 令和7年度版」

年数のほかの申請資格

申請資格は、内科・小児科・産婦人科が5項目、泌尿器科が3項目、脳神経外科が5項目です。

内科・小児科・産婦人科のまとまりは、次の5項目です。

  • 会員歴:申請時に、継続3年以上または通算5年以上、日本内分泌学会の会員であること
  • 前提の資格:申請時に、基幹学会の認定医または専門医として認められていること。認定医と専門医がどう違うのかは資料に書かれていません
  • 研修年数:前の節で見たとおりの条件を満たすこと
  • 業績:内科は、内分泌代謝領域と糖尿病領域それぞれ1編以上を含む計3編の学会発表または論文発表があり、うち少なくとも2編は筆頭者であること。小児科と産婦人科は、内分泌代謝疾患の臨床に関する学会発表または論文発表が5編以上あり、少なくとも2編は筆頭者であること
  • 診療経験:内分泌代謝疾患の相当例以上の入院および外来の診療経験を持つこと

2つめの「基幹学会」には注意が要ります。資料はこのページの冒頭で基幹学会名を日本内分泌学会としていますが、この項目は入口になる基本領域の学会の資格を指すとも読めます。どちらの意味で使っているのかは書かれていません。「相当例以上」が何例かも資料には載っていません。

泌尿器科の3項目は、申請時に日本内分泌学会の会員であること、申請時に基幹学会の専門医として認められていること、業績が5編以上で少なくとも1編は筆頭者であることです。脳神経外科の5項目は、会員であること、脳神経外科専門医として認められていること、前の節で見た研修年数、業績が5編以上で少なくとも1編は筆頭者であること、内分泌代謝疾患の相当例以上の入院および外来の診療経験を持つことです。筆頭者に求められる本数は、内科・小児科・産婦人科の2編に対して1編です。脳神経外科では、3年間の研修をすべて認定教育施設以外で行っても申請はできますが、最低1年間は認定教育施設で研修することが望ましいとされています。

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出典:日本専門医機構「日本専門医制度概報 令和7年度版」

書類審査のあとに筆記試験がある

試験は2段階で、試験実施前審査として書類審査があり、その後に筆記試験があります。筆記は多肢選択式で、問題数が入口によって異なります。

  • 内科と小児科:全100問
  • 産婦人科と脳神経外科:全50問

泌尿器科の問題数は資料に載っていません。特記事項には、泌尿器科と脳神経外科では2018年度から書類審査のみの過渡的特別措置による申請が始まり、脳神経外科では2024年度から筆記試験が始まったと書かれています。対象になる人や期限、泌尿器科の措置が今も続いているのかは書かれていません。

合格の基準について、資料は「試験で基準点数を獲得した者を合格とする」としていますが、基準点数は載っていません。試験に関する業務は日本内分泌学会の専門医委員会に置かれた小委員会が担当します。実施時期と回数、受験料、再受験の扱いも資料には載っていません。

出典:日本専門医機構「日本専門医制度概報 令和7年度版」

認定試験の合格率は3年とも9割を超えている

  • 令和4年度(2022年度):受験者246人、合格者239人、合格率97.2%
  • 令和5年度(2023年度):受験者168人、合格者163人、合格率97.0%
  • 令和6年度(2024年度):受験者118人、合格者108人、合格率91.5%

3年を合わせると、受験者532人に対して合格者510人、不合格22人で、3年を通した合格率は95.9%です。

受験者は246人、168人、118人と2年で128人減り、令和6年度は令和4年度の48.0%です。合格率も前年より5.5ポイント低くなっています。令和6年度は脳神経外科で筆記試験が始まった2024年度にあたりますが、この関係も、受験者が減った理由も、資料には書かれていません。

出典:日本専門医機構「日本専門医制度概報 令和7年度版」

内分泌代謝科専門医の更新・維持の条件(5年ごと・60単位)

内分泌代謝科専門医は5年ごとの更新制で、更新に必要な単位は60単位です。単位とは、更新要件として学会が活動ごとに割り当てたポイントです。そのうち内訳が決まっているのは次の2つです。

  • 指定講演の聴講:20単位
  • 学会が指定する講演会への参加:30単位

指定講演の聴講と講演会への参加がどう違うのかは、資料に書かれていません。残る10単位ぶんをどの活動で満たすかも載っていません。単位が設定されている活動として資料が挙げるのは、指定された講演会での発表と、日本内分泌学会の学会誌または国内外の指定雑誌に載った論文です。いずれも筆頭者であることが条件で、誰がどの雑誌を指定雑誌とするのかは書かれていません。

手続きは、単位取得の証明となる書類とともに所定の更新申請書を事務局へ提出する形で、新しい認定証は4月1日付で発行されます。資料には、日本内分泌学会の専門医制度規則に「資格の喪失」の条項があるとも書かれていますが、規則そのものは載っていないため、どのような場合に資格を失うのかは分かりません。

出典:日本専門医機構「日本専門医制度概報 令和7年度版」

専門医は3,899人、研修施設は627

内分泌代謝科専門医は、2025年10月現在で3,899人です。資料の一覧表は、学会が認定した学会認定専門医と日本専門医機構が認定した機構認定専門医を別の欄で数えていて、3,899人は学会認定の欄の数字です。機構認定の欄は「――」で、この記号が0人を指すのか、集計していないことを指すのかは書かれていません。

研修施設は、基幹研修施設が482、関連施設が145で、総数627です。認定基準は次の5項目です。

  • 常勤の指導医が在籍していること。泌尿器科と脳神経外科には代行措置がありますが、何を代行するのかは資料に書かれていません
  • 専門外来および病床が完備されていること
  • 5年以上の内分泌代謝疾患の診療実績があること
  • 医学図書館と診療記録管理室が併設されていること
  • 研修カリキュラムに基づく教育が行われていること

資料は基幹研修施設と関連施設という呼び名を施設数の欄で使うだけで、申請資格の条文にある「認定教育施設」とどう対応するのかは書いていません。学会が専門医・指導医名簿と認定教育施設名簿をホームページで公開していることは、資料に記されています。

指導する側の条件も5項目です。日本国の医師免許証を持ち医師としての人格および見識を備えていること、申請時に連続10年以上日本内分泌学会の会員であること、内分泌代謝科専門医であること、内分泌代謝疾患に関する臨床業績を持つこと、その診療と教育に十分な経験があることです。この欄の末尾には「更新の年限 5年毎に更新」とありますが、誰の更新を指すのかは書かれていません。

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出典:日本専門医機構「日本専門医制度概報 令和7年度版」

まとめ|内分泌代謝科専門医を目指すなら先に決めること

  • どの入口から入るか:内科、小児科、産婦人科、泌尿器科、脳神経外科の5つです。申請資格は3つのまとまりに分けて書かれていて、年数も業績の本数も違います
  • 年数:脳神経外科は初期研修を含めて6年以上で、うち3年以上を下垂体疾患の診療にあてます。ただし申請には脳神経外科専門医として認められていることも必要で、その認定がいつになるかは資料に書かれていません。内科は認定内科医の研修課程の修了後に3年以上で、課程の長さが資料にないため卒業から何年目かは確定できません。小児科と産婦人科は6年以上(うち3年以上は認定教育施設での研修)ですが、数え始める時点が書かれていません。泌尿器科には研修年数の条件がありません
  • 会員歴と業績:会員歴は、内科・小児科・産婦人科が申請時に継続3年以上または通算5年以上、泌尿器科と脳神経外科は申請時に会員であることだけです。業績は、内科が内分泌代謝領域と糖尿病領域それぞれ1編以上を含む計3編で筆頭者2編以上、小児科と産婦人科が5編以上で筆頭者2編以上、泌尿器科と脳神経外科が5編以上で筆頭者1編以上です
  • 試験:書類審査のあとに筆記があり、内科と小児科は100問、産婦人科と脳神経外科は50問です。泌尿器科は書類審査のみで申請できる過渡的特別措置が始まった領域で、それが今も続いているのか、筆記があるとすれば問題数はいくつかは資料に載っていません。合格の基準点数も載っていません
  • 合格率:直近3年度は97.2%、97.0%、91.5%で、3年を通すと95.9%です。ただし受験者は246人から118人へ減っています
  • 維持:5年ごとの更新で60単位です。うち指定講演の聴講が20単位、学会が指定する講演会への参加が30単位で、残る10単位ぶんをどの活動で満たすかは資料に載っていません
  • 領域の規模と位置づけ:専門医は3,899人で、これは学会認定の欄の数字です。研修施設は総数627です。日本専門医機構が置くサブスペシャルティ領域としては、厚生労働省の一覧で「内分泌代謝内科」の整備基準の提出が見送られたと注記されていて、この資格が機構認定に移るのかどうかは資料にも一覧にも書かれていません

出典:日本専門医機構「日本専門医制度概報 令和7年度版」、厚生労働省 医道審議会 医師分科会 医師専門研修部会「サブスペシャルティ認定領域一覧」2025年12月19日現在

参考文献

  • 日本専門医機構「日本専門医制度概報 令和7年度版」. https://jmsb.or.jp/wp-content/uploads/2026/03/gaiho_2025.pdf
  • 厚生労働省 医道審議会 医師分科会 医師専門研修部会「サブスペシャルティ認定領域一覧」2025年12月19日現在. https://www.mhlw.go.jp/content/10803000/001675411.pdf
  • 日本内分泌学会. https://www.j-endo.jp/
この記事の監修者

太田 旭

株式会社eggside 代表取締役。医学生。
自由診療のための医師向けメディア「doctorside」を運営したり、クリニック集患支援を行っている。