本記事では、医学部に在籍する筆者が、これから脳神経外科専門医の取得を目指す研修医と専攻医のために、脳神経外科専門医の取得までの年数と、取得後の更新・維持の条件について、日本専門医機構の一次資料を読み解き、整理しています。
脳神経外科専門医は、初期臨床研修を修了したあと、認定プログラムで通算4年以上の研修を受けて取得します。初期研修修了後で数えて最短4年、医師免許の取得からは最短6年です。この4年のうち3年は、脳神経外科に専従します。
脳神経外科専門医で押さえておくべき点は、次の3つです。
- 取得までの年数:初期研修修了後に通算4年以上で、最短4年。このうち3年は脳神経外科に専従する
- 受験と認定:筆記250題と口頭試問で、扱う疾患の広い知識と臨床の判断を確かめる
- 更新の条件:5年ごとに合計50単位。診療実績・共通講習・領域講習・学術業績の4区分で集め、SANSという自己学習を診療実績に使える
本記事では、脳神経外科専門医の取得までの流れと専従3年、認定試験、更新・維持の条件、自己学習のSANSを順に整理します。
→ 関連記事:【2026年版】専門医は何年で取れる?診療科別に取得年数の目安と更新の条件をまとめてみた
脳神経外科専門医になるまでの流れ(最短4年・うち3年専従)
初期臨床研修を修了したあと、脳神経外科の認定プログラムに入ります。ここから通算4年以上の研修が必要で、取得までは初期研修修了後で最短4年です。初期臨床研修の2年は、どの科にも共通して別途必要になります。

- 総期間:通算4年以上。取得までは初期研修修了後で最短4年
- 専従:4年のうち3年は脳神経外科に専従する。専従とは、ほかの科の当直や兼務ではなく、その期間まるごと脳神経外科の診療に専念すること
- 在籍:プログラムの中心になる基幹施設で6ヶ月以上、そこに参加する連携施設で3ヶ月以上。基幹施設と連携施設を合わせた通算研修期間は3年以上
脳神経外科は、開頭手術や血管内治療、脊髄の手術、救急の頭部外傷までを扱い、手技を身につけるのに連続した経験が必要な分野です。専従の3年という条件は、その連続した経験を確保するために置かれています。基幹施設は指導体制と症例数の基準を満たした中核の病院、連携施設はそのプログラムに加わる周辺の病院で、規模の異なる施設を経験して扱う疾患の幅を確保します。
出典:日本専門医機構「専門医制度 概報 2025」
脳神経外科専門医の受験と認定試験(筆記250題と口頭試問)
研修を終えると認定試験を受けます。脳神経外科の認定試験は、ほかの科と比べても問う量が多いのが特徴です。
- 筆記:250題。脳血管障害から脳腫瘍、機能的疾患、脊椎脊髄、外傷までと、扱う範囲を広く問う
- 口頭試問:筆記試験に合格した人が、症例をもとに診断や治療方針を口頭で答える
手技の経験を積むだけでなく、これだけの範囲の知識を筆記でそろえ、口頭でも運用できることを示して、はじめて認定に届きます。
取得に必要な経験症例数の具体的な下限は、学会の内規側に定められていて、今回の調査では一次資料から数値を確認できませんでした。本記事では推測で数字を置くことはしません。正確な症例要件を知りたい場合は、日本脳神経外科学会の専門医制度規則の最新版を確認してください。
出典:日本専門医機構「専門医制度 概報 2025」
脳神経外科専門医の更新・維持の条件(5年ごと・50単位)
取得後は5年ごとに更新します。必要なのは5年間で合計50単位です。

単位とは、更新のためにためるポイントのようなもので、講習の受講や症例の経験、学会発表などに応じてつき、5年間で合計が基準に届けば更新できます。内訳は次の4区分です。
- 診療実績:6〜10単位。手術10例で1単位という数え方などで積み上げる。専門医になったあとも手術を続けている実態を示す区分
- 共通講習:3〜10単位。医療安全や感染対策、医療倫理など、どの科にも共通する講習
- 脳神経外科領域講習:20単位以上。脳神経外科の学術集会や研修会など、更新でためる単位の多くをここで積む
- 学術業績など:2〜10単位。学会発表や論文など。ほかの科では0単位から認められる場合もあるが、脳神経外科は2単位以上を求めていて、更新のたびに学術活動を続けることになる
出典:日本専門医機構「脳神経外科領域 専門医更新基準(2025年5月16日)」
脳神経外科ならではの中身(自己学習のSANS)
更新の側には脳神経外科ならではの仕組みがあります。SANSという自己学習プログラムを、診療実績の証明に使えます。SANSはオンラインで問題を解きながら知識を確認する仕組みです。

- 単位化:1年に1冊分の50問を、正答率6割以上で解くと、診療実績として1単位を算定できる
- 診療実績の代替:2011年以降に連続して3回更新した65歳以上の専門医は、診療実績の代わりにSANSの筆記試験に合格することで、診療実績の証明にあてられる
学会に足を運ぶ講習に加えて、オンラインで続けて学ぶ方法が用意されている点が、脳神経外科の更新の特徴です。SANSで満たせる単位の上限など運用の細部は年度の案内で更新されるとされ、本記事の数値は2025年度時点の内容です。
出典:日本専門医機構「脳神経外科領域 専門医更新基準(2025年5月16日)」
参考文献
- 日本専門医機構「専門医制度 概報 2025」(2026年3月). https://jmsb.or.jp/wp-content/uploads/2026/03/gaiho_2025.pdf
- 日本専門医機構「脳神経外科領域 専門医更新基準」(2025年5月16日). https://jmsb.or.jp/wp-content/uploads/2025/05/21-20250516.pdf

太田 旭
株式会社eggside 代表取締役。医学生。
自由診療のための医師向けメディア「doctorside」を運営したり、クリニック集患支援を行っている。