本記事では、医学部に在籍する筆者が、甲状腺や副甲状腺、副腎の外科を専門にしようと考えている専攻医と研修医のために、内分泌外科専門医の取得までの年数と、取得後の更新・維持の条件について、日本専門医機構の一次資料を読み解き、整理しています。
以下の数値は、断りのない限り、日本専門医機構がまとめた「日本専門医制度概報 令和7年度版」によります。内分泌外科の研修は最低3年です。外科専門医を基盤とする場合は外科の専攻開始1年後から重ねられ、資料の記述に沿うと、早くて卒業から6年が過ぎたころに研修年数の条件がそろいます。耳鼻咽喉科専門医または泌尿器科専門医を基盤とする場合は、それぞれの専門医を取得した後から3年の研修が必要です。
内分泌外科専門医は、日本内分泌外科学会が認定する資格です。研修の基盤となる資格は、外科専門医、耳鼻科専門医、泌尿器科専門医の3つです。基本領域の名称は耳鼻咽喉科のため、資料の記載を引く場合を除き、本記事では耳鼻咽喉科と表記します。
内分泌外科専門医で押さえておくべき点は、次の3つです。
- 年数:内分泌外科の研修は最低3年です。外科を基盤とする場合だけ専攻開始1年後から重ねられ、資料の記述を順に足すと早くて卒業から6年が過ぎたころに研修年数の条件が揃います。耳鼻咽喉科と泌尿器科は、それぞれの専門医を取得してから3年です
- 診療実績は4つの条件から1つ:甲状腺と副甲状腺の合計100例以上、副甲状腺と副腎の合計60例以上、副甲状腺のみ50例以上、副腎のみ20例以上のいずれかです
- 領域の規模:専門医は459人、受験者は3年とも22人で、1人の合否で合格率が4.5ポイント動きます
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内分泌外科専門医の取得までに何年かかるか
研修期間は最低3年で、始められる時期は基盤とする基本領域によって異なります。
- 外科専門医を基盤とする場合:外科専門医の専攻を開始した1年後から、内分泌外科専門医の研修を同時に始められる
- 耳鼻咽喉科専門医または泌尿器科専門医を基盤とする場合:それぞれの専門医を取得した後から、内分泌外科専門医の研修を始める
外科から入る場合だけ、基本領域の研修と重ねられます。資料の外科専門医のページは、外科の専門研修を通算3年以上としています。卒業から2年で外科の専門研修に入り、その1年後に内分泌外科の研修を始めて3年を積むと、外科の3年が終わるのが卒後5年、内分泌外科の3年が終わるのが卒後6年です。資料の記述に沿えば、早くて卒業から6年が過ぎたころに研修年数の条件がそろいます。ただし、外科専門医の認定がいつ下りるのか、申請時に外科専門医を持っている必要があるのか、専攻を開始した時点が何を指すのかは書かれていません。
耳鼻咽喉科と泌尿器科から入る場合は、基本領域の専門医を取ってから研修を始めます。それぞれの専門研修が何年かかるのかも、認定がいつ下りるのかも内分泌外科のページにないため、卒業から何年目に申請できるかは確定できません。
研修の3年をどこで積むのかも資料に書かれていません。施設の条件が付いているのは診療実績です。
出典:日本専門医機構「日本専門医制度概報 令和7年度版」
申請に必要な診療実績
診療実績を数える期間が3年に限られるかは、資料に書かれていません。日本内分泌外科学会の認定施設で、術者または指導者として、次の4つのいずれかを満たす必要があります。認定施設には関連施設も含まれ、術者として数えられるのは手術の主な部分を担当した場合に限られます。
- 甲状腺と副甲状腺の疾患を合計100例以上
- 副甲状腺と副腎の疾患を合計60例以上
- 副甲状腺の疾患のみ50例以上
- 副腎のみ20例以上
もう一方の立場である指導者が何を指すのかは、内分泌外科のページに書かれていません。
数え方には2つの断りが付いています。1つは施設の条件で、診療実績は、その施設が認定施設または関連施設として認定された日以降のものに限られます。認定施設と関連施設がどう違うのかは書かれていません。もう1つは1つめの選択肢だけに付く例外です。甲状腺癌による声改善手術や声帯外方移動術、甲状腺と副甲状腺以外の疾患に対する頸部郭清術や甲状腺の処理(全摘あるいは片葉切除)を伴う手術などは、30例未満であれば100例のなかに含められます。同じ例外が2つめから4つめの選択肢にも使えるのかは、資料に書かれていません。
出典:日本専門医機構「日本専門医制度概報 令和7年度版」
研究業績と研修実績は点数で数える
診療実績のほかに、研究業績と研修実績が求められます。どちらも点で数える仕組みで、配分は研究業績点数表と研修実績点数表という2つの表にあります。この2つは資料に付表として名前が出てくるだけで、どの活動が何点になるかは載っていません。
研究業績の条件は次のとおりです。
- 研究業績点数表に基づき30点以上。かつ筆頭論文1編を必須とし、その1編は学会機関誌に掲載されたものが望ましい
- 発表先は、資格認定委員会の審査によって適当と認められた医学雑誌または学術集会に限る
- 乳癌、前立腺癌などのホルモンのバイオロジーに関する発表と論文も業績として認めるが、30点のうち10点以下までとする。どこまでがこれにあたるのかは資料に書かれていない
研修実績の条件は次のとおりです。
- 研修実績点数表に基づき、最近の5年間に30点以上
- 対象は、資格認定委員会が定めた諸学会の学術集会、それらが主催する教育セミナー、全国あるいは地方の関連研究会への出席。いずれも内分泌と甲状腺外科の疾患に関するものに限る
- 30点のうち、日本内分泌外科学会と日本甲状腺外科学会への参加、および両学会のセミナー参加によるものが15点以上必要
- 外科専門医を基盤としている場合は、日本外科学会の定期学術集会に1回以上参加していることが必須
- 参加証または修了証、もしくはこれに準ずる証書で参加を証明する
どちらの点数も、医師免許を取得した後のものに限ります。配点が資料にないため、30点や15点がどれだけの参加回数にあたるのかは分かりません。研究業績に必須とされる筆頭論文が何を指すのかも、資料に書かれていません。
出典:日本専門医機構「日本専門医制度概報 令和7年度版」
筆記40問と面接試験
申請基準を満たした人には、内分泌外科専門医制度委員会が申請許可を与えます。試験は筆記と面接の2つです。
- 筆記試験:全40問。甲状腺・副甲状腺と副腎に共通する問題が25題、専門問題が15題です。専門問題は甲状腺・副甲状腺と副腎に分かれています
- 面接試験:専門医制度委員会の委員2名が担当します
資料は申請許可を与える委員会を「内分泌外科専門医制度委員会」、面接を担当する委員会を「専門医制度委員会」と書き、前の節の「資格認定委員会」と合わせて3つの名前が出ますが、関係は書かれていません。合格の基準、筆記と面接の配点、実施時期と回数、受験料、再受験の扱いも載っていません。
出典:日本専門医機構「日本専門医制度概報 令和7年度版」
認定試験の合格率は、受験者22人の数字である
- 令和4年度(2022年度):受験者22人、合格者18人、合格率81.8%
- 令和5年度(2023年度):受験者22人、合格者18人、合格率81.8%
- 令和6年度(2024年度):受験者22人、合格者17人、合格率77.3%
不合格だった人は4人、4人、5人です。3年を合わせると受験者66人に対して合格者53人、不合格13人で、3年を通した合格率は80.3%です。
受験者が22人だと、1人の合否で合格率が4.5ポイント動きます。令和5年度と令和6年度の差も、合格者が18人から17人へ1人減った差です。単年の合格率で難しさを判断できる規模ではありません。
出典:日本専門医機構「日本専門医制度概報 令和7年度版」
内分泌外科専門医の更新・維持の条件(5年ごと)
内分泌外科専門医は5年ごとの更新制で、更新には研究業績、研修実績、診療実績の3つが必要です。
- 研究業績:直近5年間に、研究業績点数表に基づき8点以上
- 研修実績:直近5年間に、研修実績点数表に基づき30点以上
- 診療実績:直近5年間に、術者、指導者または助手として、甲状腺と副甲状腺の疾患を合計50例以上、副甲状腺と副腎の疾患を合計30例以上、副甲状腺の疾患のみ25例以上、副腎のみ10例のいずれか
診療実績の条件は、申請のときと同じ4つの立て方で、変わる点は3つです。例数は100例が50例、60例が30例、50例が25例、20例が10例と、4つとも申請時のちょうど半分になります。数えられる立場は、申請では術者または指導者でしたが、更新では助手も数えられます。助手が何を指すのかは、内分泌外科のページに書かれていません。期間は、申請時の診療実績には記述がありませんが、更新は直近5年間に限られます。なお資料は、4つの選択肢のうち副腎のみの1つだけ「以上」を付けずに「副腎のみ10例」と書いています。
研究業績は申請時の30点に対して更新は8点、研修実績は申請時と同じ30点です。
外科専門医を基盤としている場合は、100例以上の診療経験と、日本外科学会の定期学術集会への1回以上の参加が上乗せされます。この100例は申請時の1つめと同じ数で、更新の50例より多く、上の4つの選択肢とどう重なるのかは資料に書かれていません。
指導する側は、1回以上の更新を経た内分泌外科専門医が指導医になる、とだけ書かれています。人数は載っていません。
出典:日本専門医機構「日本専門医制度概報 令和7年度版」
専門医は459人、研修施設は178
内分泌外科専門医は、2025年8月現在で459人です。資料の一覧表は、学会が認定した専門医数と日本専門医機構が認定した専門医数を別の欄で数えていて、459人は学会認定の欄に入り、機構認定の欄は「――」です。この記号が0人を指すのか、集計していないことを指すのかは資料に書かれていません。
研修施設は、基幹研修施設が138、関連施設が40で、総数178です。診療実績の条件は研修先を「認定施設」と「関連施設」と呼び、施設数の欄は「基幹研修施設」と「関連施設」で数えています。両者がどう対応するのか、施設の認定基準、都道府県別の分布は、いずれも資料に載っていません。
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出典:日本専門医機構「日本専門医制度概報 令和7年度版」
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まとめ|内分泌外科専門医を目指すなら先に決めること
- どの入口から入るか:外科、耳鼻咽喉科、泌尿器科の3つで、外科を基盤とする場合だけ専攻開始1年後から研修を重ねられます
- 年数:内分泌外科の研修は最低3年です。外科から入る場合は、資料の記述を順に足すと早くて卒業から6年が過ぎたころに条件が揃います。耳鼻咽喉科と泌尿器科から入る場合は、専門医の取得までの年数が資料にないため確定できません
- 診療実績:学会の認定施設または関連施設で術者または指導者として、甲状腺と副甲状腺で100例以上、副甲状腺と副腎で60例以上、副甲状腺のみ50例以上、副腎のみ20例以上の、どれか1つです
- 業績:研究業績は30点以上で筆頭論文1編が必須、研修実績は最近5年間に30点以上で、うち15点以上が日本内分泌外科学会と日本甲状腺外科学会に関するものです。外科を基盤とする場合は、日本外科学会の定期学術集会への1回以上の参加も必須です
- 試験:筆記40問と、委員2名による面接です
- 合格率:直近3年度は81.8%、81.8%、77.3%で、3年を通すと80.3%です。受験者は3年とも22人で、1人の合否で4.5ポイント動くため、単年では判断できません
- 維持と規模:5年ごとの更新で、直近5年間に研究業績8点以上、研修実績30点以上、診療実績は申請時の半分の例数です。外科を基盤とする場合は100例以上の診療経験と日本外科学会定期学術集会への参加が加わります。専門医は学会認定の欄で459人、研修施設は138と40を足した178です
出典:日本専門医機構「日本専門医制度概報 令和7年度版」
参考文献
- 日本専門医機構「日本専門医制度概報 令和7年度版」. https://jmsb.or.jp/wp-content/uploads/2026/03/gaiho_2025.pdf
- 日本内分泌外科学会. http://jaes.umin.jp/

太田 旭
株式会社eggside 代表取締役。医学生。
自由診療のための医師向けメディア「doctorside」を運営したり、クリニック集患支援を行っている。