本記事では、医学部に在籍する筆者が、これから耳鼻咽喉科専門医(耳鼻科専門医)の取得を目指す研修医と専攻医のために、耳鼻咽喉科専門医の取得までの年数と、取得後の更新・維持の条件について、日本専門医機構と日本耳鼻咽喉科頭頸部外科学会の一次資料を読み解き、整理しています。
耳鼻咽喉科専門医は、初期臨床研修を修了したあと、認可された専門研修プログラムで4年の研修を受けて取得します。初期研修修了後で数えて最短4年、医師免許の取得からは最短6年です。
耳鼻咽喉科専門医で押さえておくべき点は、次の3つです。
- 取得までの年数:初期研修修了後に専門研修を4年で、最短4年。筆頭著者の論文1編以上と学会発表3回以上、経験症例の記録簿への記載がそろって申請できる
- 更新の条件:5年ごとに合計50単位。診療実績・共通講習・領域講習・学術業績の4区分にまたがって集め、5年間に大きな学会へ出席することも必須になる
- 耳鼻咽喉科の位置づけ:耳、鼻と副鼻腔、口腔と咽喉頭、頭頸部という広い範囲を1人で担当する。更新で出す診療実績200例も、この4領域に分けて数える
本記事では、耳鼻咽喉科専門医の取得までの流れ、申請にそろえる論文と学会発表、更新・維持の条件、4領域で数える診療実績を順に整理します。
→ 関連記事:【2026年版】専門医は何年で取れる?診療科別に取得年数の目安と更新の条件をまとめてみた
耳鼻咽喉科専門医になるまでの流れ(最短4年)
耳鼻咽喉科専門医の取得は、初期臨床研修を修了したあとから数えます。認可された耳鼻咽喉科の専門研修プログラムに入り、4年をかけて取得します。取得までは初期研修修了後で最短4年です。初期臨床研修の2年は、どの科にも共通して別途必要になります。

研修する場所にも条件があります。1つの病院にとどまらず、規模や患者層の違う施設を移りながら耳鼻咽喉科の疾患を経験します。
- 在籍:研修の中心となる基幹施設で6か月以上を過ごす
- ローテート:基幹施設に加えて2施設以上をまわる
- 記録:経験した手術と検査の症例を、専門研修記録簿に登録する。無作為に抽出して手術記録を審査する仕組みもある
取得の際に経験すべき手術と検査の具体的な症例数は、参照した概報には数値として載っておらず、記録簿や内規の側で定められています。本記事では、この経験症例数を未確認のままにし、推測で数字を置くことはしていません。
出典:日本専門医機構「専門医制度の概報(2025年度版)」
申請にそろえる論文と学会発表(論文1編・発表3回)
研修を終えて専門医を申請するには、症例の記録に加えて、論文と学会発表の実績がそろっている必要があります。
- 学術論文:筆頭著者としての論文1編以上
- 学会発表:日耳鼻総会・学術講演会などでの発表3回以上
- 学会参加:専門研修の期間中に、日耳鼻総会・学術講演会と日耳鼻秋季大会へ各1回以上参加する
- 実技講習:検査に関する実技講習に1回以上参加する
- 症例記録:経験した手術と検査の症例数を、専門研修記録簿に記録する
論文1編に発表3回という要件は、日本専門医機構が定める19の基本領域のなかでも重いほうにあります。研修の後半は、患者を診るのと並行して、経験した症例を学会でまとめて発表する作業が入ってきます。
出典:日本専門医機構「専門医制度の概報(2025年度版)」
耳鼻咽喉科専門医の更新・維持の条件(5年ごと・50単位)
耳鼻咽喉科専門医は、取得して終わりではなく、5年ごとに更新します。更新の条件は、その5年間で合計50単位以上を集めることです。

単位とは、更新のためにためるポイントのことです。講習の受講や経験した症例数、学会発表など、日々の医師の活動に応じてたまり、5年間で合計が基準に届けば更新できます。この50単位は、次の4区分をまたいで集めます。
- 診療実績:10単位。5年間で200例の診療症例を記録する。耳鼻咽喉科では20例で1単位と数えるので、200例で診療実績の10単位になる
- 共通講習:3〜10単位。医療安全や感染対策などの必修を含む。必修の数は専門医番号や取得時期で変わる
- 耳鼻咽喉科領域講習:20単位以上
- 学術業績・診療以外の活動:2〜10単位。学会参加分は5年で6単位まで
5年の更新期間内には、日耳鼻総会・学術講演会と日耳鼻秋季大会へ各1回以上出席することも必須です。単位を積むだけでなく、年に一度の大きな学会に出席する前提で予定を組んでおくと安心です。
出典:日本耳鼻咽喉科頭頸部外科学会「耳鼻咽喉科専門医更新基準(第八版)」
耳鼻咽喉科ならではの中身(診療症例200例を4領域で数える)
耳鼻咽喉科は、耳、鼻と副鼻腔、口腔と咽喉頭、頭頸部という広い範囲を1人で担当します。この範囲の広さは、更新で出す診療症例の数え方にそのまま出てきます。

更新で報告する200例は、好きな症例を200集めればよいわけではありません。日本耳鼻咽喉科頭頸部外科学会の更新基準は、症例を4領域に分けて記録し、原則としてどの領域も5年間で最低10例以上を含めるよう求めています。
- 4領域:耳、鼻と副鼻腔、口腔と咽喉頭、頭頸部
- 各領域の下限:原則としてどの領域も5年間で最低10例以上
- 200例の目安:週に1例を診て年40例、それを5年続けた形に対応する
長く更新してきた医師には、記録の手間を軽くする扱いがあります。更新を3回以上重ねた専門医は、200例の診療症例を記録して出す代わりに、日耳鼻の会員マイページでWebテストを受けられます。100%の正答で、診療実績の10単位が付きます。第八版の基準にそう書いてあります。
ここで軽くなるのは、単位の数ではなく記録づくりの手間です。Webテストで代替しても更新に必要な合計は50単位のままで、診療実績の10単位分がテスト合格に置き換わります。合計が40単位に減るという説明は、参照した第八版の基準には見当たりませんでした。5年ごとに200例をまとめて書き出す作業が省けるぶん、更新を重ねた医師ほど更新の実務は楽になるようです。
出典:日本耳鼻咽喉科頭頸部外科学会「耳鼻咽喉科専門医更新基準(第八版)」
参考文献
- 日本専門医機構「専門医制度の概報(2025年度版)」. https://jmsb.or.jp/wp-content/uploads/2026/03/gaiho_2025.pdf
- 日本耳鼻咽喉科頭頸部外科学会「耳鼻咽喉科専門医更新基準(第八版)」(2025年8月22日). https://www.jibika.or.jp/uploads/files/koushinkijun_8.pdf

太田 旭
株式会社eggside 代表取締役。医学生。
自由診療のための医師向けメディア「doctorside」を運営したり、クリニック集患支援を行っている。