【2026年版】老年科専門医の取得に何年かかる?更新・維持の条件も解説

本記事では、医学部に在籍する筆者が、高齢者医療を専門にしようと考えている専攻医と研修医のために、老年科専門医の取得までの年数と、取得後の更新・維持の条件について、日本専門医機構と厚生労働省の一次資料を読み解き、整理しています。

以下の数値は、断りのない限り、日本専門医機構がまとめた「日本専門医制度概報 令和7年度版」によります。老年科専門医は、内科専門医の資格を持ち、内科専門研修プログラムを修了したあと、老年科専門研修施設で2年以上研修し、修了することが申請条件です。資料の内科のページから内科専門研修を3年と読むと、初期研修2年と合わせて、早くて卒後7年を終えるころに年数の条件が揃います。ただし、試験日や認定日は資料にないため、資格を取得できる時期までは確定できません。

老年科では、学会がこれまで実施してきた専門医制度と、日本専門医機構が認定する新制度が並行して運用されています。厚生労働省の一覧では、老年科の整備基準の審査結果を書く欄が承認保留のままです。整備基準とは、領域ごとに研修内容や施設の要件を定め、日本専門医機構の審査を受ける文書です。承認保留の意味は資料に説明されていません。

老年科専門医で押さえておくべき点は、次の3つです。

  • 年数条件:内科専門研修プログラムを修了したあと、老年科専門研修施設で2年以上の研修を行います。申請には内科専門医の資格が必要で、資料は内科以外の基本領域の資格を挙げていません
  • 研修で求められるもの:資料は「老年科専門 研修経験目標 到達目標」に沿って修了を判定すると書いています。経験する症例数や手技の数を示した条件は、資料に載っていません
  • 制度の状態:学会がこれまで実施してきた専門医制度と、日本専門医機構が認定する新制度が並行して運用されています。厚生労働省の一覧では、老年科の整備基準の審査結果を書く欄が承認保留のままです。この語が何を意味するかは、資料に説明がありません

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執筆者プロフィール

太田 旭

株式会社eggside 代表取締役。医学生。自由診療のための医師向けメディア「doctorside」を運営しつつ、LP制作、Google広告運用、SNS運用代行など、クリニック・歯科医院を中心としたマーケティング支援に従事しています。

老年科専門医の申請資格と必要な年数

資料が挙げる老年科専門医の申請資格は次の2項目です。

  • 内科専門医の資格を有していること
  • 内科専門研修プログラムを修了したあと、老年科専門研修施設で老年科専門研修を2年以上行い、修了していること

2項目は別々の条件なので、内科専門研修を修了しただけでは足りず、申請の時点で内科専門医の認定を受けている必要があります。老年科専門研修を始める時点でも認定が要るのかは、資料に書かれていません。

ほかの基本領域の資格が使えるかどうかは資料に書かれておらず、老年科の関連学会として挙げられているのも日本内科学会の1学会です。論文や学会発表の本数を求める項目は、申請資格にはありません。

厚生労働省のサブスペシャルティ認定領域一覧では、基本領域とサブスペシャルティ領域の専門研修を重ねて進める連動研修ではなく、通常研修に老年科を分類しています。通常研修が何を指すかは、一覧にも資料にも定義がありません。ただし資料は、申請資格でも研修の内容を示す臨床関係事項の欄でも「内科専門研修プログラムを修了後」と書いているため、老年科の2年は内科の専門研修を終えてから足すことになります。

資料の内科専門医のページは、専門研修1年、専門研修2年、専門研修3年と年次を分けて到達目標を示し、修了に必要な条件を専門研修3年の項に置いています。ここから3年と読めますが、「内科専門研修は3年」と言い切った記述があるわけではありません。

この3年を前提にすると、初期研修の2年、内科専門研修の3年、老年科専門研修の2年で、早くて卒後7年を終えるころに年数の条件が揃います。ただし、これは条件が揃う時期であって、資格を取得できる時期ではありません。老年科専門医の試験日や認定日、申請に必要な内科専門医の試験と認定の時期は資料にないため、申請できる時期はここからは決まりません。

老年科では旧制度と新制度を並行して運用していますが、この節の申請資格や更新の条件が、どちらの制度のものかは資料で書き分けられていません。厚生労働省の一覧では、老年科の整備基準の審査結果を書く欄が承認保留のままです。どちらの制度で申請するかを誰が決めるのかも含め、学会に確認が必要です。

出典:日本専門医機構「日本専門医制度概報 令和7年度版」、厚生労働省 医道審議会 医師分科会 医師専門研修部会「サブスペシャルティ認定領域一覧」2025年12月19日現在

研修の中身と修了の判定

資料は「「老年科専門 研修経験目標 到達目標」に沿って、老年科専門研修の修了を判定する」と記しています。その文書がどこで読めるのかは書かれていません。

判定の材料になる到達目標として、資料は次のような内容を挙げています。

  • 老化の過程を理解し、高齢者の特性に基づいた急性期医療を実践できること
  • 多疾患併存への対応を含めて、高齢者の特性に基づいた慢性疾患の管理ができること
  • 高齢者の生活機能を評価して介入できること、介護予防へのアプローチができること
  • これらの知識と技能をもとに、多職種の連携でリーダーシップを発揮できること
  • 急性期から回復期、慢性期、在宅診療、予防医療まで、診療の場に応じた高齢者医療を実践できること
  • 介護予防からエンドオブライフケアまで、本人と介護者に配慮しながら診療とケアを実践できること
  • 高齢者医療の課題と解決法を、科学的根拠の提示とともに提案できること

経験する症例数や手技の数を示した条件はなく、到達目標の達成を指導医が評価する形が示されています。

出典:日本専門医機構「日本専門医制度概報 令和7年度版」

認定試験は書類審査と115問の筆記試験

審査は専門医試験作成・認定小委員会が担当し、資料は試験内容として次の3点を挙げています。

  • 申請書類を審査します。書類には、研修の到達目標の各項目について指導医評価(レベル1から4まで)が含まれます
  • 書類審査の結果、受験有資格者を対象に、多肢選択式で全115問の試験を行います
  • 合格基準を内規で定めています

老年科では、指導医の評価が申請書類そのものに組み込まれています。ただし、レベル1から4までが何を指し、どのレベルなら受験できるのかは資料に書かれていません。

合格基準は内規で定めているとあるだけで、点数や実施回数、受験料、再受験の扱いは資料にありません。

出典:日本専門医機構「日本専門医制度概報 令和7年度版」

認定試験の合格率は3年とも94%以上

資料が載せる直近3年度の合格率は次のとおりです。

  • 令和4年度(2022年度):受験者90人、合格者87人、合格率96.7%
  • 令和5年度(2023年度):受験者104人、合格者99人、合格率95.2%
  • 令和6年度(2024年度):受験者78人、合格者74人、合格率94.9%

受験者数は、令和5年度に14人増え、令和6年度に26人減っています。増減の理由も、合格率が3年とも94%を超えている理由も資料には書かれていません。

出典:日本専門医機構「日本専門医制度概報 令和7年度版」

老年科専門医の更新・維持の条件(5年ごと・50単位)

老年科専門医は5年ごとの更新制で、資料に載っている更新の条件は次の2つです。単位とは、更新のためにためるポイントです。

  • 研修単位取得制で50単位を取得すること
  • そのうち25単位以上は、学会の企画への参加、または学会の機関誌への論文掲載によるものであること

審査するのは専門医制度委員会です。25単位以上の取り方は、学会の企画に参加するか、学会の機関誌に論文を載せるかのどちらかで、機関誌は日本老年医学会雑誌で年5回発行されています。学会の企画が何を指すのかは資料に書かれていません。

行為ごとの配点は資料に載っていません。更新できなかった場合の扱いと費用、内科専門医の資格を更新時にも持ち続ける必要があるかどうかも、老年科の欄にはありません。

出典:日本専門医機構「日本専門医制度概報 令和7年度版」

専門医は1,755人、研修施設は75歳以上の患者数、指導医は学会の承認で決まる

老年科専門医は、令和7年(2025年)8月時点で1,755人です。資料の一覧は学会認定専門医数と機構認定専門医数を別の列に分けていて、1,755人は学会認定の列の数字です。機構認定の列の「――」が専門医がまだいないことを指すのか、集計されていないことを指すのかは書かれていません。

研修先は、基幹施設と連携施設の2種類に分かれています。資料は基幹施設の条件に「必要に応じて連携施設と連携する」と添えているので、基幹施設が中心になる形です。基幹施設の条件は6つです。

  • 基幹型臨床研修病院(初期研修の受け入れ先として指定された病院)の指定基準に準ずる、教育病院の水準を有していること。この水準が何を指すかは資料に書かれていません
  • 整備基準の内容を実践できる症例が常に十分ある施設であること。資料は、その具体的な基準として75歳以上の入院患者の年間の実数が600名以上であることを挙げています
  • 常勤の老年科指導医が1名以上勤務し、十分な教育指導体制がとられていること
  • 老年科指導医の資格を持つ者を統括責任者とする老年科専門研修管理委員会を設置すること
  • 整備基準に基づく研修が可能であること。資料は、必要に応じて連携施設と連携すると括弧書きを添えています
  • 研修の内容に関する監査と調査に対応できる体制が備わっていること

連携施設の条件は3つです。

  • 専門性と地域性から、老年科専門研修に必要とされる施設であること
  • 整備基準の内容を実践できる症例が常時いること。資料は、その具体的な基準として75歳以上の入院または外来患者の年間の実数が100名以上であることを挙げています
  • 基幹施設と密な連携を持ち、適切な教育指導体制がとられていること

患者数の基準は、基幹施設が入院患者だけ、連携施設が入院または外来の患者と、数える対象も人数の水準も違います。どちらも資料の表記は「年間の実数」です。

研修を指導する老年科指導医は、日本老年医学会が定める次の4つの要件を満たし、承認されることが必要です。

  • 老年科専門医であること
  • 老年科専門医を育成するための、高齢者の医療に関する豊富な学識と経験を有すること
  • 教育と指導に関する能力を有すること
  • 原則として、老年医学に関する研究論文を1編以上発表していること。論文は原著、総説、症例報告のいずれでもかまいません

研修施設が全国に何施設あるのか、指導医が何人いるのかは資料に載っていません。日本老年医学会のホームページに研修施設一覧と指導医一覧が掲載されています。

出典:日本専門医機構「日本専門医制度概報 令和7年度版」

まとめ|老年科専門医を目指すなら先に確かめること

  • 申請資格と年数:内科専門医の資格を持ち、内科専門研修プログラムを修了したあとに老年科専門研修を2年以上行います。資料の内科のページから内科専門研修を3年と読むと、初期研修2年と合わせて、早くて卒後7年を終えるころに年数の条件が揃います。これは資格を取得できる時期ではありません
  • 研修の中身と修了の判定:「老年科専門 研修経験目標 到達目標」に沿って判定します。症例数や手技の数の基準は資料にありません
  • 認定試験:書類審査と、多肢選択式115問の筆記試験です。申請書類には指導医評価が含まれます。合格基準は内規で定めるとあるだけで、数値は資料に載っていません
  • 合格率:令和4年度から令和6年度まで3年とも94%を超え、令和6年度は94.9%です。受験者は90人、104人、78人と動いていて、増減の理由は資料に書かれていません
  • 更新:5年ごとに50単位を取得します。うち25単位以上は学会の企画への参加か、学会機関誌への論文掲載によるものが必要です
  • 人数と研修先:専門医は令和7年8月時点で1,755人で、これは学会認定の列の数字です。基幹施設は75歳以上の入院患者が年間の実数で600名以上、連携施設は75歳以上の入院または外来患者が年間の実数で100名以上という基準です。指導医は学会が別に承認していて、老年科専門医であることと、原則として老年医学の論文1編以上が要件に入っています

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出典:日本専門医機構「日本専門医制度概報 令和7年度版」

参考文献

  • 日本専門医機構「日本専門医制度概報 令和7年度版」. https://jmsb.or.jp/wp-content/uploads/2026/03/gaiho_2025.pdf
  • 厚生労働省 医道審議会 医師分科会 医師専門研修部会「サブスペシャルティ認定領域一覧」2025年12月19日現在. https://www.mhlw.go.jp/content/10803000/001675411.pdf
  • 日本老年医学会. https://www.jpn-geriat-soc.or.jp
この記事の監修者

太田 旭

株式会社eggside 代表取締役。医学生。
自由診療のための医師向けメディア「doctorside」を運営したり、クリニック集患支援を行っている。