本記事では、医学部に在籍する筆者が、これから麻酔科専門医の取得を目指す研修医と専攻医のために、麻酔科専門医の取得までの年数と、取得後の更新・維持の条件について、日本麻酔科学会の一次資料を読み解き、整理しています。
麻酔科専門医は、初期臨床研修を修了したあと、麻酔科の専門研修を4年受けて取得します。初期研修修了後で数えて最短4年、医師免許の取得からは最短6年です。
麻酔科専門医で押さえておくべき点は、次の3つです。
- 取得までの年数:初期研修修了後に専門研修を4年で、最短4年。この4年は週3日以上の勤務が条件になる
- 症例の要件:麻酔科管理症例を600例担当し、小児や心臓血管外科など分野ごとの内訳を満たす
- 更新の条件:5年ごとに合計50単位。区分ごとに下限があり、二次救命処置の講習も受講する
本記事では、麻酔科専門医の取得までの流れとACLS・PALS、更新・維持の条件、麻酔科管理症例600例の内訳を順に整理します。
→ 関連記事:【2026年版】専門医は何年で取れる?診療科別に取得年数の目安と更新の条件をまとめてみた
麻酔科専門医の取得までの流れ(最短4年)

初期臨床研修を修了したあと、麻酔科の専門研修を満4年受けて取得します。取得までは最短4年で、これは初期研修修了後で数えた年数です。初期研修の2年は、どの科にも共通して別途必要になります。
- 期間:麻酔科の専門研修を満4年。この4年は週3日以上の勤務が条件
- 二次救命処置:AHA-ACLSまたはPALSのいずれかを、有効な単位期間内に受講する。AHA-ACLSは二次救命処置の講習、PALSは小児の二次救命処置の講習
麻酔は患者の呼吸と循環を薬で止めたり戻したりする医療なので、急変時にすぐ動ける訓練を、資格の要件として課しています。
出典:日本麻酔科学会「必要症例と単位一覧」
麻酔科専門医の更新・維持の条件(5年ごと・50単位)

専門医は一度取れば終わりではなく、5年ごとに更新します。更新には合計50単位が要ります。
単位は、更新のためにためるポイントのようなものです。講習の受講や症例の経験、学会発表などに応じてつき、5年間で合計が基準に届けば更新できます。麻酔科では、活動の種類ごとに下限が決まっています。
- 診療実績:5単位以上。日々の麻酔担当が対象
- 共通講習:3単位以上。2026年度以降に申請する場合は8単位以上。医療安全や感染対策など、科を問わない内容
- 麻酔科領域の講習:15単位以上。そのうち学会が主催する講習で10単位。麻酔に固有の知識を扱う
- 学術活動:6単位以上
加えて、年次学術集会に5年で1回以上出席することも条件です。共通講習の必須単位は申請年度で変わるため、本記事では2025年度の3単位と2026年度以降の8単位の両方を示しました。
出典:日本麻酔科学会「専門医更新の仕組み」
麻酔科ならではの中身(麻酔科管理症例600例の内訳)

麻酔科管理症例とは、麻酔科医が術前から術後まで責任をもって管理した麻酔のことです。専門研修のあいだに、この麻酔科管理症例を600例担当します。600例のうち、次の症例を含めるよう決められています。
- 小児の麻酔を25例
- 帝王切開の麻酔を10例
- 心臓血管外科の麻酔を25例
- 胸部外科の麻酔を25例
- 脳神経外科の麻酔を25例
小児は体重あたりの薬の量が大人と違い、心臓血管外科では人工心肺を使う場面があります。分野ごとに管理の難しさが異なるため、特定の手術に偏らないよう内訳で縛っています。研修先を選ぶときは、これらの症例を集められる病院かどうかが実際に重要になります。
症例600例と内訳は2025年12月22日版の一覧にもとづきます。改訂の可能性があるため、申請前に最新版を確認してください。
出典:日本麻酔科学会「必要症例と単位一覧」
麻酔科の非常勤の需要について
麻酔科は、非常勤の求人が多い科として知られています。手術室は麻酔科医がいないと動かないため、常勤が足りない病院がスポットで麻酔科医を頼む形が成り立ちやすいからだと言われます。これは働き方の選択肢が広いという事実であって、専門医の取得や更新が楽になるわけではありません。取得の要件は、ここまで見たとおり症例数と講習で固定されています。
参考文献
- 日本麻酔科学会「必要症例と単位一覧」(2025年12月22日版). https://anesth.or.jp/files/pdf/hitsuyo_syorei_tani_20240530.pdf
- 日本麻酔科学会「専門医更新の仕組み」. https://anesth.or.jp/users/member/certificate_information/mechanism_new

太田 旭
株式会社eggside 代表取締役。医学生。
自由診療のための医師向けメディア「doctorside」を運営したり、クリニック集患支援を行っている。