【2026年版】消化器外科専門医の取得に何年かかる?更新・維持の条件も解説

本記事では、医学部に在籍する筆者が、消化器外科を専門にしようと考えている専攻医と研修医のために、消化器外科専門医の取得までの年数と、取得後の更新・維持の条件を整理します。

以下の数値は、断りのない限り、日本専門医機構がまとめた「日本専門医制度概報 令和7年度版」によります。消化器外科専門医は、臨床研修を終えたあと、指定修練施設で通算4年以上の修練が必要です。修練カリキュラムとは、研修の目標や必要な手術経験を定めた文書です。指定修練施設は申請に必要な修練を行う施設ですが、資料が別々に基準を示す認定施設と関連施設のどちらを指すのかは書かれていません。平成15年(2003年)までの医師免許取得者を除き、卒後何年目に申請できるかは資料に載っていません。

消化器外科専門医を認定するのは日本消化器外科学会です。資料は学会認定専門医と日本専門医機構認定専門医を別々の欄で数えていますが、消化器外科の試験と更新でどちらの認定を受けることになるのかは載っていません。

消化器外科専門医で押さえておくべき点は、次の3つです。

  • 年数:臨床研修を終えたあと、指定修練施設で通算4年以上の修練が要ります。卒後何年目に申請できるかは、平成15年(2003年)までの医師免許取得者を除いて資料に載っていません
  • 実績:修練期間中に合計300例以上の手術を経験します。NCDは手術症例を登録するNational Clinical Databaseの略称で、2011年1月1日以降の手術は、NCDに登録されているものに限られます
  • 更新:5年ごとに、最近5年間で修練カリキュラムの手術難易度区分に示された手術を術者または助手として100例以上経験し、学会や教育講座へ参加します

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執筆者プロフィール

太田 旭

株式会社eggside 代表取締役。医学生。自由診療のための医師向けメディア「doctorside」を運営しつつ、LP制作、Google広告運用、SNS運用代行など、クリニック・歯科医院を中心としたマーケティング支援に従事しています。

取得に必要な年数と申請資格

臨床研修を終えてから申請するまでの条件は、次の6項目です。

  • 日本の医師免許を持っている
  • 外科専門医である
  • 継続して3年以上、日本消化器外科学会の会員である
  • 臨床研修を終えたあと、指定修練施設で修練カリキュラムに従って通算4年間以上修練している
  • 定められた業績を持っている
  • 定められた研修実績を持っている

ここで求める外科専門医が学会認定と機構認定のどちらかは資料に載っていません。平成15年(2003年)までに医師免許を取得した人は4項目めの年数条件が異なり、医師免許取得後に6年間以上修練し、そのうち4年間以上を指定修練施設で修練する必要があります。

連動研修とは、基本領域の専門研修とサブスペシャルティ領域の研修を重ねて進められる方式です。消化器外科は連動研修を行う領域に挙げられていますが、重ねて数えられる期間は資料に載っていないため、卒後何年目に申請できるかは示せません。資料から確認できる年数は、臨床研修終了後の修練が通算4年以上という条件だけです。

出典:日本専門医機構「日本専門医制度概報 令和7年度版」

研修中に必要な手術症例と業績

修練期間中には、次の実績が必要です。

  • 手術経験:修練カリキュラムが定める術者としての規定例数を含め、合計300例以上を経験する
  • NCD登録:300例のうち、2011年1月1日以降の手術はNCDに登録されているものに限る
  • 論文:消化器外科に関する論文3編。うち1編は筆頭著者であること
  • 研究発表:筆頭者として3件以上。うち1件は日本消化器外科学会の総会または大会での発表であること
  • 研修実績:日本消化器外科学会の総会と大会にそれぞれ1回以上出席し、教育講座の全6領域に出席すること

300例の内訳について、資料は「手術難易度・到達度別必須症例及び必須主要手術の、術者としての規定例数を含む」と書いています。区分がいくつあるのか、区分ごとの必須例数、到達度が何を指すのか、必須主要手術がどの術式を指すのかは載っていません。資料は指導医の要件の欄で「手術難易度区分に示された中難度及び高難度手術」とも書いていますが、これが同じ区分かどうかも書かれていません。

教育講座の6領域は、総論・がん診療または総論、食道、胃・十二指腸、小腸・大腸、肝・脾、胆・膵です。資料は「総会」と「大会」を別の参加実績として数えていますが、正式名称や違い、大会の証明方法、更新の条件にある「学術集会」が同じ会合を指すかは載せていません。論文と研究発表は、「消化器外科専門医制度審査のための業績基準」に記載された医学雑誌と学術集会で発表され、試験前の書類審査を行う資格認定委員会で認められたものに限られます。

出典:日本専門医機構「日本専門医制度概報 令和7年度版」

書類審査と認定試験

試験の前に、資格認定委員会が診療経験、業績、研修実績について申請した数と内容を書類で審査します。書類審査後の試験は年1回、所要日数は1日です。

  • 出題分野:総論、上部消化管、下部消化管、肝胆膵脾の4分野
  • 問題数:4分野から100題
  • 試験時間:180分
  • 解答形式:CBT方式のMCQ

資料はCBTとMCQが何の略かを書いていません。本記事ではCBTをコンピュータの画面で解答する方式、MCQを示された選択肢から答えを選ぶ形式と読んでいます。合否判定では総正解率に加えて4分野それぞれで一定以上の正解率が必要ですが、4分野ごとの出題数、必要な正解率、受験料、再受験の扱いは資料に載っていません。

出典:日本専門医機構「日本専門医制度概報 令和7年度版」

認定試験の合格率

資料が掲載する受験者数、合格者数、合格率は次のとおりです。

  • 令和4年度(2022年度):受験者605人、合格者424人、合格率70.1%
  • 令和5年度(2023年度):受験者557人、合格者449人、合格率80.6%
  • 令和6年度(2024年度):受験者574人、合格者499人、合格率86.9%

3年度を合わせると受験者1,736人、合格者1,372人で、合格率は79.0%です。

出典:日本専門医機構「日本専門医制度概報 令和7年度版」

更新・維持の条件

消化器外科専門医は5年ごとの更新制で、更新には次の4項目すべてが必要です。

  • 日本の医師免許を持っている
  • 外科専門医または日本外科学会認定登録医である
  • 最近5年間に、修練カリキュラムの手術難易度区分に示された手術を、術者または助手として100例以上経験する
  • 最近5年間に、日本消化器外科学会の学術集会へ2回以上、教育講座へ総論・がん診療を含む異なる4領域以上、日本外科学会定期学術集会へ1回以上参加する

日本外科学会認定登録医は、外科専門医とは別に学会が定める資格として資料に記載されていますが、取得条件は消化器外科のページに載っていません。

手術経験と研修実績は、いずれも申請年の7月31日までの最近5年間で数えます。100例のうち、2011年1月1日以降の手術はNCDに登録されているものに限られます。更新できなかった場合の扱いと費用は資料に載っていません。

出典:日本専門医機構「日本専門医制度概報 令和7年度版」

研修施設の基準と数

資料では基幹研修施設が938施設、関連施設が約1,000施設で、総数を約2,000施設としています。関連施設が概数のため、正確な数と基準時点は分かりません。資料は認定基準の見出しに「認定施設」を使っていますが、施設数の集計に使う「基幹研修施設」や申請資格の「指定修練施設」との関係は説明していません。

認定施設の基準として、資料は次の14項目を挙げています。

  • カリキュラムに定められた手術が、最近3年間に600例以上行われている。うち必須主要手術が3年間で120例以上である
  • 指導医1人のほかに、指導医もしくは専門医が1人、または認定医2人が常勤している。認定医は、専門医とは別に日本消化器外科学会が認定する資格の呼び名である
  • 消化器外科の全般について修練が可能である
  • 病歴の記載と、その整理が完備している
  • 倫理委員会が設置されている。または倫理的問題が生じたときに、他に依頼することが可能である
  • 消化器外科に関連する課題についての教育行事(症例検討会、死因検討会など)が定期的に開かれている
  • 研究発表が、最近3年間(申請の年の7月31日まで)に学術雑誌や学術集会などで3件以上行われている
  • 消化器外科専門医を目指す医師の受け入れが可能である
  • 本学会の学術集会への参加や教育講座の受講が、研修として認められている
  • 専門医申請者の診療経験に関する実地調査が可能である
  • 医療安全のための継続的な取り組みが行われている
  • 医学的根拠に基づく感染の発生・拡大に対する防止策が適切に行われている
  • 消化器外科医としての男女の均等な活躍を支援している
  • 医師の働き方改革を推進し、医師の健康維持・促進を行うための取り組みが行われている

関連施設の基準は次の4項目です。

  • 消化器外科病床が、原則として常時20床以上ある
  • 指導医、専門医または認定医が1人以上常勤している
  • 病歴の記載と整理、教育行事などについては、原則として認定施設に準ずる
  • 専門医申請者の診療経験に関する実地調査が可能である

消化器外科専門医は令和7年(2025年)8月時点で9,404人で、資料の一覧では学会認定の列の数字です。日本専門医機構認定の列には「――」が入っていて、意味は書かれていません。

認定医の認定条件は資料に載っていません。

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出典:日本専門医機構「日本専門医制度概報 令和7年度版」

指導医の要件

各認定施設は、指導医のなかから原則として1名を指導責任者として登録します。指導医の要件は、専門医として認定された時期によって2通りあります。2020年1月1日までに認定された人が申請する場合は、次の4項目すべてが必要です。

  • 2020年1月1日までに認定された専門医であること。または、昭和54年(1979年)以前に日本の医師免許を取得した認定医で、会員歴11年以上であること
  • 最近5年間は、主として消化器外科の臨床に従事していること
  • 別に定める診療経験を持つこと。最近5年間に、修練カリキュラムの手術難易度区分に示された中難度および高難度の手術のなかから、術者、指導的助手、助手を問わず合計50例以上を経験していること
  • 別に定める業績を持つこと。最近5年間で、筆頭者として1件、または共同発表者として5件以上の消化器外科学に関する研究発表があること

指導的助手は、術者を指導しながら助手に入る立場と読めますが、資料に定義はありません。2021年1月1日以降に認定された人が申請する場合は、次の3項目すべてが必要です。

  • 2021年1月1日以降に認定された専門医で、1回以上更新した者であること
  • 別に定める診療経験を持つこと。臨床研修終了後、修練カリキュラムの手術難易度区分に示された手術のなかから、術者、指導的助手、助手を問わず合計500例以上を経験していること。うち100例は、中難度および高難度の手術の術者としての経験である必要があること
  • 別に定める業績を持つこと。筆頭論文3編を含む10件以上の消化器外科学に関する研究発表があること

なお資料の区分は「2020年1月1日まで」と「2021年1月1日以降」なので、2020年1月2日から12月31日までに認定された人がどちらにあたるかは書かれていません。指導医が全国に何人いるかも資料にありません。

出典:日本専門医機構「日本専門医制度概報 令和7年度版」

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まとめ|消化器外科専門医を目指す前に確認すること

  • 年数と申請資格:臨床研修終了後に指定修練施設で通算4年以上の修練、外科専門医であること、学会に継続して3年以上所属していることです。卒後何年目に申請・認定できるかは、平成15年(2003年)までの医師免許取得者を除いて資料に載っていません
  • 研修中の実績:術者としての規定例数を含む手術300例以上、論文3編、筆頭者としての研究発表3件以上に加え、総会と大会にそれぞれ1回以上、教育講座の全6領域に出席します。300例に含まれる必須症例の区分と例数は資料に載っていません
  • 試験:書類審査後、年1回、4分野から100題を180分で受験します。CBT方式のMCQで、総正解率と4分野それぞれの正解率が判定対象ですが、必要な正解率は載っていません
  • 合格率:令和4年度から令和6年度は70.1%、80.6%、86.9%です。3年度を合わせた合格率は79.0%です
  • 更新:5年ごとに、外科専門医または日本外科学会認定登録医であること、最近5年間に手術難易度区分に示された手術を100例以上、日本消化器外科学会と日本外科学会の学術集会と教育講座への参加です。100例は術者と助手のどちらでもかまいません
  • 施設:基幹研修施設938、関連施設約1,000、資料が示す総数は約2,000です。認定施設には14項目、関連施設には4項目の基準があります。専門医数は令和7年8月時点で学会認定の列の9,404人です
  • 指導医:専門医として認定された時期で要件が2つに分かれ、2021年1月1日以降に認定された人は1回以上の更新と、臨床研修終了後の通算500例以上、そのうち100例は中難度および高難度の手術の術者としての経験、筆頭論文3編を含む10件以上の研究発表が必要です

申請資格にある「指定修練施設」が、認定施設と関連施設のどちらを指すかは資料に書かれていません。

出典:日本専門医機構「日本専門医制度概報 令和7年度版」

参考文献

  • 日本専門医機構「日本専門医制度概報 令和7年度版」. https://jmsb.or.jp/wp-content/uploads/2026/03/gaiho_2025.pdf
この記事の監修者

太田 旭

株式会社eggside 代表取締役。医学生。
自由診療のための医師向けメディア「doctorside」を運営したり、クリニック集患支援を行っている。