本記事では、医学部に在籍する筆者が、国内で承認されていない医薬品や医療機器を診療に使おうと考えている医師のために、薬監証明と呼ばれてきた輸入確認証の制度と手続きについて、厚生労働省 地方厚生局が公開している手続案内を読み解き、整理しています。
先に、この記事の根拠がどこにあるかを示します。本記事が手続の根拠として拠っているのは、関東信越厚生局の「医薬品等の輸入手続について」と、近畿厚生局の「医師等が治療に用いるために輸入する場合」という2つのページです。どちらも法令の条文ではなく、地方厚生局が申請者向けに公開している手続の案内で、ページに示された日付は、本記事の執筆時点で前者が2026年6月16日、後者は更新日として2026年6月25日です。したがって本記事は、どの法律の何条が根拠かという形では書けません。要件の細部や個別の判断は、厚生局のページ自身が参照を指示している医薬品等輸入手続質疑応答集と、申請先となる厚生局の薬事監視指導課で確認してください。
言葉もそろえておきます。地方厚生局は、厚生労働省の出先機関で、全国を地域ごとに分けて所管しています。輸入確認申請書は申請のときに出す書類、輸入確認証は交付される書類で、この手続を担当する厚生局の部署が薬事監視指導課です。仕入書は英語のinvoiceにあたる書類、荷送り状は貨物の送り状で、Air Waybill、B/L、または税関から送られたハガキがこれにあたると厚生局は案内しています。医薬品等輸入手続質疑応答集は、輸入手続についての質問と回答をまとめた厚生労働省の資料で、本文中ではQA47のように番号で参照されます。薬事該当性とは、輸入しようとする物が医薬品医療機器等法(薬機法)による規制を受けるものかどうか、という論点を指します。
薬監証明で押さえておくべき点は、次の3つです。
- 使える場面が限定されている:治療上緊急性があり、国内に代替品が流通していない場合であって、輸入した医療従事者が自己の責任のもと、自己の患者の診断または治療に供することを目的とする場合に限られます。国内に代替品が流通している場合は国内承認品を使用するよう、近畿厚生局は明記しています
- オンライン申請が原則になった:令和7年(2025年)7月1日より、輸入確認申請については医薬品等輸入確認情報システムによるオンライン申請を利用することが原則となった、と関東信越厚生局は案内しています
- オンライン申請に必要な添付書類は3点:医師等の免許証、仕入書、荷送り状。ヒトまたは動物由来物を原料とする医薬品や医療機器等の場合は、患者の同意書も必要になります
本記事では、薬監証明と輸入確認証という呼び名の関係、申請が認められる範囲、申請の区分、必要な書類とオンライン申請、申請先という5つを順に整理します。最後に、厚生局のページには書かれていない点をまとめます。
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薬監証明と輸入確認証はどう違うのか
まず名前から確かめます。現場では長く薬監証明と呼ばれてきましたが、地方厚生局のページの本文にこの語は出てきません。使われているのは、申請する書類が輸入確認申請書、交付される書類が輸入確認証という名称です。厚生労働省が公表している発給件数の統計も、令和4年度分は「医薬品等輸入確認証発給件数」という表記になっています。
制度の趣旨は、関東信越厚生局のページに書かれています。個人が自ら使用するために医薬品等を輸入する場合、または医師等が自己責任の下、自己の患者の治療や診断に使用する医薬品等を輸入する場合などは、事前に、ページが厚生労働省大臣と表記し括弧書きで地方厚生局長と添えているところに輸入確認申請書等を提出し、輸入確認証の交付を受ける必要がある、というものです。
個人が自分で使うことが明らかな場合は、この確認証がなくても輸入できます。輸入する医薬品等を個人が自ら使用することが明らかである場合は、輸入確認証の発給を要せず輸入することができる、と厚生局は書いています。確認証を要せず輸入できる数量等については、厚生労働省の「医薬品等の個人輸入について」という案内を見るよう指示されています。医師が診療に使うために輸入する場合は、この個人輸入の枠ではなく、次の節で見る区分にあたります。
なお、業として医薬品等を輸入する場合は、そもそもこの手続とは別です。医薬品医療機器等法による製造販売業または製造業の許可を得た事業者が製造販売用として輸入する場合は、輸入通関の都度、税関に業許可証と輸入する品目に関する製造販売承認書等を提示して通関手続を行う、という流れになります。
出典:関東信越厚生局「医薬品等の輸入手続について」(更新日2026年6月16日)、厚生労働省「医薬品等輸入確認証発給件数(令和4年度)」
使える場面は「国内に代替品がない」場合に限られる
名前と枠組みを確かめたので、次はこの申請が使える場面を見ます。ここが自由診療でいちばん問題になるところです。
医師等が治療に用いるために輸入する申請の対象は、近畿厚生局の案内で次のように限定されています。当該申請は、治療上緊急性があり、国内に代替品が流通していない場合であって、輸入した医療従事者が自己の責任のもと、自己の患者の診断または治療に供することを目的とする場合に限られる、というものです。獣医師の場合は患獣、患畜が対象だと括弧書きで添えられています。参考として示されているのは、医薬品等輸入手続質疑応答集のQA47です。
そのうえで近畿厚生局は、国内に代替品が流通している場合は、国内承認品をご使用ください、と書き添えています。
この線引きは、美容医療で未承認の製剤や機器を使おうとする場合に効いてきます。ただし、何をもって「代替品が流通している」と判断するのか、「治療上緊急性がある」がどこまでを指すのかは、厚生局のページには書かれていません。判断の基準は質疑応答集のQA47と、申請先の薬事監視指導課で確認してください。
なりすまし対策も行われています。第三者によるなりすましの申請を防止するため、輸入者に直接連絡させていただく場合があります、と近畿厚生局は案内しています。
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出典:近畿厚生局「医師等が治療に用いるために輸入する場合」(更新日2026年6月25日)
申請は目的別に区分が分かれている
対象になるかどうかを確かめたので、次はどの様式で出すかを見ます。輸入確認申請は、輸入する目的によって様式が分かれています。関東信越厚生局が提出書類を掲げている区分は、次の12です。
- 個人使用のために輸入
- 医師等が治療に用いるために輸入
- 企業主体の治験用に輸入
- 医師または歯科医師主体の臨床試験用に輸入
- 試験研究用に輸入
- 社内見本用に輸入
- 展示用に輸入
- 輸出したものを再度輸入する場合(再輸入・返送品用)
- 原薬のサンプルを製造販売業者または製造業者に譲渡するために輸入
- 日本で開催されるスポーツイベントで使用するために輸入
- 自社製品用の原料として使用するものを輸入(自家消費用)
- 転用申請
診療に使う目的なら、2つ目の「医師等が治療に用いるために輸入」にあたります。試験の目的なら、企業が主体の治験は3つ目、医師または歯科医師が主体の臨床試験は4つ目と、主体によって区分が分かれます。この12区分は関東信越厚生局が郵送での申請の欄に表として掲げているもので、区分ごとに郵送用の様式と記載例が公開されています。医薬品等と毒劇物で別々の様式が用意されている区分もあります。
なお、展示用については関東信越厚生局が注記を置いています。学会、公的機関等が主催または後援する展示会等で、学術研究の向上、発展、科学技術または産業の振興等を目的として医薬品、医療機器、体外診断用医薬品および再生医療等製品を展示するもの、あるいは民間企業が主催する見本市に広告宣伝を目的としない医薬部外品または化粧品を展示するもの、という説明です。ほかの11区分にこうした定義は付いていません。
出典:関東信越厚生局「医薬品等の輸入手続について」(更新日2026年6月16日)
必要な書類とオンライン申請
区分が決まったら、次は書類と出し方です。関東信越厚生局は、令和7年(2025年)7月1日より、輸入確認申請については「医薬品等輸入確認情報システム」によるオンライン申請を利用していただくことが原則となりました、と案内しています。参考として示されているのは、医薬品等輸入手続質疑応答集のQA81です。
オンライン申請に必要な添付書類は、近畿厚生局がPDFで用意するよう案内しています。必須は3点です。
- 医師等の免許証
- 仕入書(invoice)
- 荷送り状(Air Waybill、B/L、または税関から送られたハガキ)
これに加えて、ヒトまたは動物由来物を原料とする医薬品、医療機器等の場合は、患者の同意書が必要になります。近畿厚生局は動物の例としてウシ等を括弧書きで挙げています。
アカウントの作り方にも注意点があります。アカウントは輸入者である医師等本人が作成します。GビズIDは法人用IDのため、個人輸入用としては使用できない、と近畿厚生局は明記しています。法人としてすでにGビズIDを持っていても、個人輸入用としては流用できないということです。
入力や操作についての問い合わせは、システム専用のヘルプデスクが受け付けています。受付時間は月曜日から金曜日の9時から18時までで、祝祭日と年末年始は除かれます。近畿厚生局は、オンライン申請の利用方法を説明した動画と、共通機能・申請機能の利用マニュアルも公開しています。
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出典:近畿厚生局「医師等が治療に用いるために輸入する場合」(更新日2026年6月25日)、関東信越厚生局「医薬品等の輸入手続について」(更新日2026年6月16日)、厚生労働省「医薬品等輸入確認情報システム」
申請先は税関の管轄で決まる
書類がそろったら、最後は出す先です。厚生局は、輸入する物が入ってくる税関の管轄区ごとに、輸入確認申請の受付をしています。
- 関東信越厚生局:函館税関、東京税関、横浜税関の管轄区で輸入されるもの
- 近畿厚生局:名古屋税関、大阪税関、神戸税関、門司税関、長崎税関、沖縄地区税関の管轄区内で輸入されるもの
本記事が読んだのはこの2局のページなので、ここに挙がるのはその2局の受付範囲です。自院が関東にあっても、荷物が大阪税関を通るなら近畿厚生局が受け付ける範囲になります。仕入先や配送のルートを確認してから申請先を決めてください。
郵送でも申請できますが、近畿厚生局は、特段の理由がない場合はオンライン申請を利用するよう案内しています。関東信越厚生局が郵送について挙げている注意事項は次のとおりです。
- 輸入者自身ではなく、第三者が輸入確認申請手続きをする場合には、輸入者からの委任状が必要
- FAXによる提出はできない
- 必ず返信用封筒を同封する。切手を貼付し、宛名を記載しておく
- 緊急を要する場合は、電話にて相談する
- 窓口での対応は行っていない
関東信越厚生局の郵送先と問い合わせ先は、いずれも健康福祉部 薬事監視指導課です。電話の受付時間は月曜日から金曜日の10時から12時までと13時から16時までで、土曜・日曜・祝日・年末年始は除かれます。この午後の受付時間は、令和8年(2026年)6月1日より当面の間、13時から15時までを13時から16時までに変更したものだと同局は案内しています。
相談先が分かれる論点もあります。これから輸入しようとするものの薬事該当性等の相談、つまり医薬品医療機器等法による規制を受けるものかどうかといった相談は、厚生局ではなく、輸入者である企業等が所在する都道府県庁の薬務主管課が窓口です。薬事該当性の相談先は厚生局ではないという窓口の分担が示されているだけで、どちらに先に相談するかの順序は書かれていません。
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出典:関東信越厚生局「医薬品等の輸入手続について」(更新日2026年6月16日)、近畿厚生局「医師等が治療に用いるために輸入する場合」(更新日2026年6月25日)
一次資料で確認しておくこと
冒頭で書いたとおり、本記事が拠ったのは法令の条文ではなく、地方厚生局が公開している手続案内のページです。案内に載っていない点は、次のとおり残ります。
輸入確認証の有効期間と、申請から交付までに要する期間は、2つの厚生局のページには書かれていません。医薬品等輸入手続質疑応答集と、申請先となる厚生局の薬事監視指導課で確認してください。質疑応答集は令和7年(2025年)6月30日付のものが関東信越厚生局のページから公開されています。確認証を要せず輸入できる数量等については、関東信越厚生局が厚生労働省の「医薬品等の個人輸入について」を見るよう指示しています。
「治療上緊急性があり、国内に代替品が流通していない場合」に自院の事案が当たるかどうかの判断基準も、厚生局のページには書かれていません。近畿厚生局が参照を指示しているのは質疑応答集のQA47です。オンライン申請が原則になったことについて関東信越厚生局が参照を指示しているのはQA81です。個別の可否は、申請先の薬事監視指導課に確認してください。
厚生局のページは更新されます。本記事が読んだ時点でページに示されていた日付は、関東信越厚生局が2026年6月16日、近畿厚生局が更新日として2026年6月25日です。電話の受付時間のように、直近で変更された項目もあります。申請の前に、それぞれのページで最新の内容を確かめてください。
輸入確認証を取得したうえで未承認品を使用した場合の、患者への説明義務と医薬品副作用被害救済制度の適用範囲は、この記事では扱っていません。
参考文献
- 関東信越厚生局「医薬品等の輸入手続について」. https://kouseikyoku.mhlw.go.jp/kantoshinetsu/iji/yakkanhp-kaishu-2016-3.html
- 近畿厚生局「医師等が治療に用いるために輸入する場合」. https://kouseikyoku.mhlw.go.jp/kinki/iji/ishitou.html
- 厚生労働省「医薬品等輸入確認情報システム」. https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/kenkou_iryou/iyakuhin/kojinyunyu/topics/index_00021.html
- 厚生労働省「医薬品等輸入確認証発給件数(令和4年度)」. https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/0000178433_00007.html

太田 旭
株式会社eggside 代表取締役。医学生。
自由診療のための医師向けメディア「doctorside」を運営したり、クリニック集患支援を行っている。