【医師向け・2026年版】美容医療で違法になるのはどこからか|厚労省通知が示したカウンセラー・看護師・オンライン診療の線引きを解説

本記事では、医学部に在籍する筆者が、自由診療で美容医療を提供している医師のために、厚生労働省が令和7年(2025年)8月に示した違法事例の判断基準について、通知の本文という一次資料を読み解き、整理しています。

今回扱うのは、厚生労働省が都道府県知事などに宛てて法令の解釈や運用を示した通知です。厚生労働省医政局長名で、令和7年8月15日付の医政発0815第21号として出されました。本記事の出典行にある「第1の1」は通知本文の項番号で、法令の解釈を示した第1の部分を扱います。

この通知で押さえておくべき点は、次の3つです。

  • カウンセラーの線引きが明示された:無資格者が患者の主訴を聞き取って具体的な治療方法を選択し、提案または決定する行為は医行為にあたる。形式的には料金設定の説明という体裁を取っていたとしても、実質が医学的判断なら同じだと通知は書いています
  • 医師にも一文が向けられている:看護師等が医師の指示なく脱毛行為等・いわゆるアートメイク・HIFU施術等の医行為を行うことは違法な例として挙げられており、あわせて通知は、医師においても、所属医療機関の看護師等がそうした違反行為を行うような状況を作出することはあってはならない、と書いています。この場合に医師が何に問われるかは通知に書かれていません
  • 通知は違法性を最終的に決めるものではない:通知の冒頭には、犯罪の成否は捜査機関によって収集された証拠に基づいて、裁判所が最終的に判断するものである、と添えられています

本記事では、無資格のカウンセラーによる診断、看護師等のみによる治療行為、メールとチャットのみによる診断と処方、診療録と管理者の義務、医療の安全確保と医療広告という5つを順に整理します。最後に、一次資料で確かめてほしい点をまとめます。

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執筆者プロフィール

太田 旭

株式会社eggside 代表取締役。医学生。自由診療のための医師向けメディア「doctorside」を運営しつつ、LP制作、Google広告運用、SNS運用代行など、クリニック・歯科医院を中心としたマーケティング支援に従事しています。

カウンセラーの説明はどこから医行為になるか

通知が最初に扱うのが、いわゆるカウンセラー等の無資格者による診断です。通知は、医師の免許も、保健師・助産師・看護師・准看護師の免許も持たない者を無資格者としています。医行為とは、医師の医学的判断および技術をもってするのでなければ人体に危害を及ぼし、または危害を及ぼすおそれのある行為で、これを反復継続する意思をもって行うことが医業です。無資格者がカウンセラー等と称して医療行為や診療に関連するカウンセリングを行う場合、そのカウンセリングは医師法第17条に規定する医業に該当しない範囲で実施されなければなりません。無資格者による医業は、医師法第17条および保健師助産師看護師法(以下、保助看法)第31条その他の関係法規によって禁止されています。

通知は、診察等により得られた患者の情報から治療方針等について主体的に判断を行い、これを伝達する行為は診断であり、医学的判断を伴うこの行為は医行為に該当するため、無資格者が業として行えば医師法第17条違反となる、と整理しています。そのうえで、同条に違反する行為を4つ挙げています。

  • 脱毛行為等、いわゆるアートメイク、HIFU(高密度焦点式超音波)施術等の医行為
  • 患者の主訴や希望する処置を聞き取った上で、具体的な治療方法を選択して患者に対して提案し、または決定するなど、患者の個別の状況に応じて医学的な判断を行い、これを伝達する行為
  • 侵襲を伴う検体の採取をする行為
  • 情報通信機器を用いて、ビデオ通話、電話、メール、チャット等により、患者の個別の状況に応じて医学的な判断を行い、これを伝達等する行為

この項目には補足が付いています。これは実務で問題になりやすい箇所です。形式的には各治療行為に係る料金設定の説明という体裁を取っていたとしても、実質的に患者の個別の状況に応じて医学的な判断を行い、これを伝達する行為は、医行為に該当する、というものです。料金表の説明にすぎないという整理は通りません。主訴の例として、一重まぶたを二重まぶたにしたいという要望が挙げられています。

逆に、無資格者がどこまでなら行ってよいかについて、通知は例を挙げていません。

出典:厚生労働省「美容医療に関する取扱いについて」令和7年8月15日 医政発0815第21号 第1の1

看護師等のみによる治療行為と、医師に向けられた一文

次は、資格のある看護師等が単独で動いた場合です。通知は、保健師・助産師・看護師・准看護師の免許を持つ者をまとめて看護師等としています。医師免許を有しない者は医師法第17条に基づき医業を行うことはできず、看護師等は保助看法第37条に基づき、医師の指示の下で、医行為に該当する診療の補助を行うことができる、というのが基本の考え方です。

通知の書きぶりは2段構えです。医師法第17条・保助看法第37条との関係を説明する項では、看護師等が、診察等を行い、これにより得られた患者の情報から治療方針等について主体的に判断を行い、これを伝達したり、医師の指示なく診療の補助や治療行為を行った場合には、医師法第17条や保助看法第37条に違反する可能性がある、と書かれています。そのうえで違法な例の項では、次の3つについて、これらの条文に違反する、と言い切っています。

  • 看護師等が、医師の指示なく、脱毛行為等、いわゆるアートメイク、HIFU施術等の医行為を行うこと
  • 看護師等が、医学的判断を伴う行為である診察を行うこと
  • 看護師等が、具体的な治療方法を選択して患者に対して提案し、または決定するなど、患者の個別の状況に応じて医学的な判断を行い、これを伝達すること

医師の側にも一文が向けられています。違法な例の項ではなく先の関係を説明する項に、医師においても、所属医療機関の看護師等が上記の違反行為を行うような状況を作出することはあってはならない、と書かれています。ただし、この場合に医師が何の条文に違反するのか、どのような処分の対象になるのかは、通知のこの箇所には書かれていません。

出典:厚生労働省「美容医療に関する取扱いについて」令和7年8月15日 医政発0815第21号 第1の2

メールとチャットだけの診療は医師法第20条違反のおそれ

ここまでは誰が行ったかが問題になる類型でしたが、次は、医師本人が行った場合でも手段が問題になる類型です。通知は、オンライン診療指針を遵守せず、メール・チャットのみにより診療を行う事例等が報告されている、と書いています。オンライン診療指針とは厚生労働省の「オンライン診療の適切な実施に関する指針」のことで、通知は平成30年3月(令和5年3月一部改訂)のものを引いています。

医師法第20条は、無診察で治療等を行うことを禁止しています。ここでいう診察とは、問診、視診、触診、聴診その他手段の如何を問わないが、現代医学から見て、疾病に対して一応の診断を下し得る程度のものをいう、と通知は整理しています。医師法第20条との関係でオンライン診療指針が策定されているとして、通知は指針から次の2点を引いています。

  • オンライン診療では、可能な限り多くの診療情報を得るために、リアルタイムの視覚および聴覚の情報を含む情報通信手段を採用すること
  • オンライン診療は、文字、写真および録画動画のみのやりとりで完結してはならないこと

通知は、メールやチャットのみによる診察は、リアルタイム性の低い文字情報のやりとりによる問診しかなし得ず、得られる情報が極めて限定されると述べています。そして、たとえば、必要な医学的情報の詳細、正確かつ適時な収集や、画像・動画による視覚情報の補完を行わず、対面診療と同程度の診察が行われているといえないにもかかわらず診断・処方等を行うなど、メールやチャットのみによる診療を行うことは、オンライン診療指針に違反しており、医師法第20条違反となるおそれのある行為である、と整理しています。

「おそれのある行為」という書き方に注意してください。前の2つの節が、違法な例について「違反する」と言い切っていたのに対し、ここだけ書きぶりが弱くなっています。

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出典:厚生労働省「美容医療に関する取扱いについて」令和7年8月15日 医政発0815第21号 第1の3

診療録の作成・保存と、管理者の一般的な管理義務

ここまでは診療の中身についての類型でしたが、ここからは診療の外側にある体制の類型に移ります。通知は診療録について、保健所等(都道府県、保健所を設置する市、特別区)による立入検査の際に適切な作成・保存が確認されなかった事例が報告されている、と書いています。挙げられている根拠は次のとおりです。

  • 医師法第24条第1項:医師は、診療をしたときは、遅滞なく診療に関する事項を診療録に記載しなければならない
  • 医師法第24条第2項:病院または診療所に勤務する医師のした診療に関する診療録は、その病院または診療所の管理者において、その他の診療に関するものはその医師において、5年間これを保存しなければならない
  • 罰則:この医師法上の診療録関係の規定に違反した者は、同法の罰則規定に基づき、50万円以下の罰金が科される

違法な例として挙げられているのは、診療を行ったにもかかわらず診療録を作成していない場合と、作成した診療録が医師法施行規則第23条の記載事項を満たしていない場合の2つで、通知はどちらも医師法第24条の作成・保存義務に違反する、と言い切っています。

医療法第10条により、病院や診療所(以下、病院等)の開設者は、その病院等が医業をなすものである場合は臨床研修等修了医師に管理させなければなりません。管理者は、医療法第15条第1項に基づき、当該病院等に勤務する医師、歯科医師、薬剤師その他の従業者を監督し、その他当該病院等の管理および運営につき必要な注意をしなければなりません。常勤については、昭和29年の通知が、管理者は原則として診療時間中当該病院等に常勤すべきとしています。令和元年の通知は、へき地や医師少数区域等の診療所、または地域における専門的な医療ニーズに対応する役割を担う診療所において、常勤の医師を確保することが困難である場合や、管理者となる医師の育児・介護等の家庭の事情により一定期間弾力的な勤務形態を認める必要性が高い場合等には、例外的に常勤でなくとも管理者として認められるとしています。ただしこの場合は、常時連絡を取れる体制を確保する等、管理者の責務を確実に果たすことができるようにすることが必要だとされています。

違法な例として通知が挙げているのは、病院等の管理者が長期間にわたり不在であって、管理者としての責務を果たすことができない場合で、これは医療法第15条に規定する管理者の義務に違反する、とされています。

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出典:厚生労働省「美容医療に関する取扱いについて」令和7年8月15日 医政発0815第21号 第1の4・第1の5

医療安全の体制と、広告で禁じられること

次は、病院等として整えておくものです。院内の医療安全の体制と、外向けの広告に移ります。前者は病院等の管理者が講じなければならない措置として書かれ、後者は、何人も虚偽広告を行ってはならないとされ(医療法第6条の5第1項)、あわせて比較優良広告や誇大広告等が禁止されるという形で書かれていて、名宛人が違います。

医療の安全確保では、病院等の管理者は、医療法第6条の12と医療法施行規則第1条の11に基づき、各種の措置を講じなければなりません。美容医療に関連する主な内容として通知が挙げているのは、安全管理のための体制の確保と、医薬品に係る安全管理のための体制の確保です。このほか医療機器に係る安全管理のための体制の確保等も必要だと注記されています。前者には医療に係る安全管理のための指針の整備と、年2回程度定期的に開催して日時・出席者・研修項目を記録する職員研修の実施が、後者には医薬品安全管理責任者の配置と医薬品の安全使用のための研修の実施が含まれます。違法な例として通知が挙げるのは、この指針を整備していないことと、医療安全管理のための職員研修を実施していないこと(定期的な実施が記録から確認できない場合を含む)の2つです。

医療広告は、患者等が適切に病院等を選択するため、限定的に認められた事項(広告可能事項)以外は原則として禁止されています。ただし、患者等が自ら求めて入手する情報を表示するウェブサイト等は、限定解除要件を満たした場合には、広告禁止事項に反しない範囲で、広告可能事項以外の事項も広告できるとされています。違反の類型として通知が挙げているのは7つです。

  • 虚偽広告:「絶対に安全」「必ず綺麗になる」といった医学上あり得ない表現や、加工・修正した術前術後の写真等を広告するなど、患者等に著しく事実に相違する情報を与え、適切な受診機会を喪失させ、不適切な医療を受けさせるおそれがある場合
  • 比較優良広告:自らの病院等が他の病院等よりも優良である旨の広告、「日本一」「No.1」といった最上級の表現、著名人との関係性の強調
  • 誇大広告:科学的根拠が乏しい情報であるにもかかわらず特定の治療、処置に誘導を行うなど、必ずしも虚偽ではないが、事実を不当に誇張し、または人を誤認させるおそれがあるもの
  • 公序良俗に反する内容の広告:わいせつもしくは残虐な図画や映像、または差別を助長する表現等を使用した広告を行った場合
  • 広告可能事項以外の事項の広告:HIFU施術や糸リフト、二重埋没術等をはじめ、自由診療で行う美容医療といった広告可能事項ではない内容の広告。問い合わせ先を明示したウェブサイト等において広告する場合であっても、自由診療で行われる治療の内容、費用、リスク・副作用等の詳細な事項が情報提供されていない場合を含む
  • 患者等の主観または伝聞に基づく治療等の内容または効果に関する体験談の広告:患者自身の体験や家族等からの伝聞に基づく主観的な体験談を、当該医療機関への誘引を目的として紹介する場合
  • 治療等の内容または効果について患者等を誤認させるおそれのある治療等の前または後の写真等の広告:治療の前または後の写真や映像のみが提供され、治療の内容、費用、リスク・副作用等に関する詳細な事項が情報提供されていない場合

通知は、これらが医療法第6条の5、医療法施行規則第1条の9に違反するとしています。

医療広告規制に違反した病院等に対しては、所管の都道府県等が行う報告命令もしくは立入検査(医療法第6条の8第1項)、または行政処分(医療法第6条の8第2項のほか、第28条の変更命令、第29条の開設許可の取消し・閉鎖命令)の規定が適用され得る、と通知は書いています。

→ 関連記事:【2026年版】自由診療同意書テンプレート|必須項目と実務ポイントについて解説

出典:厚生労働省「美容医療に関する取扱いについて」令和7年8月15日 医政発0815第21号 第1の6・第1の7

一次資料で確認しておくこと

違反にあたる例を見たところで、最後に、この記事では答えが出ない点をまとめます。

医師法第17条違反、医師法第20条違反、保助看法第37条違反の刑の重さは、通知には書かれていません。診療録関係の規定への違反については、50万円以下の罰金と示されています。

広告可能事項の限定解除要件の中身も、通知には書かれていません。禁止される広告の具体的な事例は、「医療広告規制におけるウェブサイト等の事例解説書」(第5版・令和7年3月11日付の事務連絡の別紙)に委ねられています。医療広告について通知が参照を指示しているのは、この事例解説書と医療広告ガイドライン(令和6年9月13日最終改正)、それに行政の対応期限を定めた実施手順書のひな型(令和6年8月23日付の事務連絡)の3つで、前の2つは最新版を参照するよう求めています。

通知が引くオンライン診療指針は平成30年3月(令和5年3月一部改訂)のもので、その後、令和8年4月に改訂されています。メールとチャットの節で引いた2点が改訂後も同じ文言かは、指針の現行版で確認してください。

管理者の不在が何日から「長期間」にあたるか、医師の指示をどの形式で出す必要があるか、診療の補助として看護師等が行える医行為がどこまでかも、通知には書かれていません。自院の運用がどこに当たるかは、所管の保健所に確認してください。

参考文献

  • 厚生労働省「美容医療に関する取扱いについて」令和7年8月15日 医政発0815第21号. https://www.mhlw.go.jp/web/t_doc?dataId=00tc9325&dataType=1&pageNo=1
  • 厚生労働省「オンライン診療の適切な実施に関する指針」平成30年3月(令和8年4月改訂). https://www.mhlw.go.jp/content/001685701.pdf
  • 厚生労働省「医療広告規制について」. https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/kenkou_iryou/iryou/kokokukisei/index.html
  • 厚生労働省「医療広告ガイドラインに基づく標準的な対応期限も含めた指導・措置等の実施手順書のひな型について」. https://www.mhlw.go.jp/content/001294124.pdf
この記事の監修者

太田 旭

株式会社eggside 代表取締役。医学生。
自由診療のための医師向けメディア「doctorside」を運営したり、クリニック集患支援を行っている。