本記事では、医学部に在籍する筆者が、2027年度に神奈川県・千葉県・埼玉県の基幹プログラムを選びつつ東京の連携施設で症例にアクセスしたい研修医・医学生のために、首都圏4都県のシーリング構造と連携施設活用の設計を整理しています。
2027年度の首都圏のシーリング状況としては、東京都は13シーリング対象診療科のうち12科で対象となるため採用上限の制約を強く受けるのに対し、神奈川・千葉・埼玉の3県は全13診療科でシーリング対象外になりました。
そのような状況から考えると、たとえば、「東京のシーリングを回避して神奈川・千葉・埼玉の3県の基幹プログラムを選び、連携プログラムで東京で研修をする」という設計も可能になります。以上のように、自分の理想の専攻医キャリアを送るためにも、シーリング制度の理解は非常に重要になります。
2027年度に首都圏で専攻医を目指す際に押さえておくべき点は、次の3つです。
- 東京都と3県のシーリング構造は完全に逆:東京都は12診療科でシーリング対象ですが、神奈川・千葉・埼玉は全診療科で対象外。3県基幹プログラムは採用上限制約を受けない構造です。
- 連携系プログラムが3区分から2区分に集約:従来の連携プログラム・連携プログラム(都道府県限定分)・特別地域連携プログラムの3区分から、連携プログラムと特別地域連携プログラムの2区分に変更されました。
- 3県基幹+東京連携施設の設計はプログラム構造上の連携配置:3県基幹は採用上限制約なしで運用され、プログラム内に東京の連携施設を組み込んで症例にアクセスする設計が可能です。
本記事では、首都圏4都県のシーリング状況、連携系プログラムの2区分集約と用語整理、3県基幹+東京連携施設の具体的設計、東京の連携施設で研修する利点、想定される質問への回答を順に整理します。
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2027年度首都圏シーリング状況|東京と3県の非対称構造
シーリング対象13診療科と対象外6診療科
専攻医のシーリングは、診療科ごと・都道府県ごとに採用上限を設けて特定地域への医師集中を抑える仕組みで、医師数が必要医師数を上回る都道府県の診療科に採用上限が課されます。日本専門医機構が2018年度に導入し、2020年度に全国へ拡大されました。
2027年度のシーリング対象13診療科は以下の通りです。
内科、小児科、皮膚科、精神科、整形外科、眼科、耳鼻咽喉科、泌尿器科、脳神経外科、放射線科、麻酔科、形成外科、リハビリテーション科
一方、外科・産婦人科・病理・臨床検査・救急科・総合診療科の6診療科は、診療科自体の医師数が減少傾向にあることや専攻医採用数が少ないことなどを理由に、全国共通でシーリング対象外となっています。
2027年度の首都圏4都県のシーリング状況
首都圏4都県のシーリング対象状況は次の通りです。
| 都県 | シーリング対象診療科数 | シーリング対象診療科 |
|---|---|---|
| 東京都 | 12診療科(/13診療科中) | 内科・小児科・皮膚科・精神科・眼科・耳鼻咽喉科・泌尿器科・脳神経外科・放射線科・麻酔科・形成外科・リハビリテーション科 |
| 神奈川県 | 対象なし | 対象なし |
| 千葉県 | 対象なし | 対象なし |
| 埼玉県 | 対象なし | 対象なし |
東京都は2027年度のシーリング対象が最多の都道府県で、2027年度から対象外になった整形外科を除く12診療科に採用上限が課されます。一方、神奈川・千葉・埼玉の3県は全13診療科でシーリング対象外で、採用上限の制約を受けません。

これは、首都圏で専攻医を目指す研修医にとって重要な情報になります。
- 東京の基幹プログラムを直接狙う場合:12診療科でシーリング採用上限の範囲内で競争になります。例えば内科の場合、2027年度の東京都のシーリング合計は531枠(通常枠383+連携系148+常勤派遣分+2)です。
- 神奈川・千葉・埼玉の基幹プログラムを選ぶ場合:採用上限の制約はありません。プログラム個別の定員はあるが、都道府県全体の上限は設定されない構造です。
この非対称構造を踏まえると、3県の基幹プログラムを選びつつ、プログラム内の連携施設として東京の施設を組み込む設計が、シーリング制約を回避しながら東京での症例経験にアクセスする現実的な選択肢として浮かび上がります。

2027年度の連携プログラム再編|3区分から2区分への集約
連携系プログラムの構造変更
2027年度の専攻医募集における大きな構造変更は、シーリング上の連携系プログラムの区分が3つから2つに集約された点です。
| 区分名 | 〜2026年度 | 2027年度〜 |
|---|---|---|
| 通常プログラム | あり | あり(変更なし) |
| 連携プログラム | あり | あり(変更なし) |
| 連携プログラム(都道府県限定分) | あり | 廃止(特別地域連携プログラムに統合) |
| 特別地域連携プログラム | あり | あり(拡張) |
2026年度までは連携系が「連携プログラム」「連携プログラム(都道府県限定分)」「特別地域連携プログラム」の3区分でしたが、2027年度から「連携プログラム」と「特別地域連携プログラム」の2区分に整理されました。

2027年度の連携プログラムと特別地域連携プログラムの定義
| 区分 | 連携先 | 連携先での研修期間 |
|---|---|---|
| 連携プログラム | シーリング対象外の都道府県に所在する施設 | 1年6か月以上 |
| 特別地域連携プログラム | 足下充足率0.8以下(小児科は0.9以下)の都道府県のうち、当該都道府県が候補とした施設 | 1年以上 |
2027年度の主な変更点は次の通りです。
- 特別地域連携プログラムの足下充足率基準が緩和:従来の0.7以下から0.8以下に(小児科は0.8以下から0.9以下に)
- 連携先要件の変更:「医師少数区域にある施設」から「都道府県が候補とした施設」に拡張
- 連携プログラム(都道府県限定分)の廃止:特別地域連携プログラムに統合

特別地域連携プログラムは2026年度時点で既にシーリング枠内(連携等プログラム数の一部)として計上されており、2027年度でこの位置づけ自体に変更はありません。ただし、要件の緩和と連携先範囲の拡張により、2026年度よりも設置しやすい構造になっています。
シーリング上の「連携プログラム」枠区分とプログラム構造上の連携配置の違い
本記事を読み進めるうえで重要な用語整理として、2つの「連携」の意味の違いを押さえておきます。
- シーリング上の「連携プログラム」枠区分:シーリング対象都道府県の基幹プログラムに設定される特別な採用枠区分。連携先=シーリング対象外の都道府県の施設で1年6か月以上が研修期間が要件になります。
- プログラム構造上の連携施設配置:専門研修プログラムの基本構造として、基幹施設1つ+複数の連携施設で構成される標準的な配置。連携施設での研修期間は診療科の整備基準に従います。
神奈川・千葉・埼玉の基幹プログラムは全診療科でシーリング対象外のため、シーリング上の「連携プログラム」枠区分は適用されません。一方、プログラム構造上の連携施設配置は通常通り運用でき、連携施設として東京の施設を組み込む設計が可能です。
3県基幹+東京連携施設の設計は、後者の「プログラム構造上の連携施設配置」に該当します。シーリング上は通常プログラム扱いとなり、採用上限の制約を受けません。
3県基幹+東京連携施設の設計|採用上限制約なしで東京症例にアクセス
専門研修プログラムの基本構造
専門研修プログラムは、1つの基幹施設と1つ以上の連携施設で構成されることが、各学会の整備基準で定められています。研修期間は診療科によって異なり、内科・小児科・産婦人科は3年、整形外科・麻酔科は4年、外科は5年などの設定です。
研修期間の中で、基幹施設での研修期間と連携施設での研修期間が学会の整備基準に基づいて配分されます。各診療科の整備基準では、基幹施設および連携施設それぞれの最低研修期間が定められています。
連携施設として他都道府県の施設を組み込める
制度上、連携施設は基幹施設と同一都道府県内に限らず、他都道府県の施設も組み込むことが可能です。3県(神奈川・千葉・埼玉)の基幹プログラムが東京の医療機関を連携施設として組み込むことは、制度上の制約はありません。
ただし、各基幹プログラムが実際に東京の連携施設を組み込んでいるかは、プログラム個別の設計に依存します。応募前に、各基幹プログラムの募集要項とプログラム冊子で連携施設リストと研修期間配分を確認する必要があります。
連携施設での研修期間と症例カウント
連携施設での研修期間と症例の取り扱いについて、押さえておくべきポイントは次の通りです。
- 連携施設での研修期間は学会の整備基準に従う:診療科ごとの整備基準が定める研修期間配分の範囲内で、連携施設での研修期間が決まります。
- 連携施設での症例は研修実績としてカウント:基幹施設+連携施設で経験した症例は、専門医取得のための症例数要件に算入可能です。
- 連携施設の指導医ローテーションを事前確認:連携施設で誰の指導下にどのサブスペシャリティ症例を経験できるかは、プログラム責任者または連携施設の研修担当医に事前確認することが推奨されます。
シーリング上の取り扱い
3県基幹プログラムが東京の連携施設を組み込む設計のシーリング上の取り扱いは次の通りです。
- 採用枠は3県基幹プログラムの個別定員に従う:3県はシーリング対象外のため、都道府県全体の採用上限はありませんが、プログラム個別の定員の制約を受けることになります。
- シーリング上の「連携プログラム」枠区分には該当しない:シーリング上の「連携プログラム」枠区分は、シーリング対象都道府県の基幹プログラムに設定される枠区分です。3県はシーリング対象外のため、この枠区分自体が存在しません。
- 東京の連携施設での研修は東京のシーリング枠を消費しない:3県基幹プログラムの専攻医として採用された場合、東京の連携施設で研修期間を過ごしても東京の都道府県別シーリング枠は消費しません。

応募候補を検討する際の確認事項
応募候補の検討では、希望する診療科について次の3点を各基幹プログラムの募集要項とプログラム冊子で確認することになります。
- 連携施設リストに東京の医療機関が含まれているか
- 東京の連携施設での研修期間が何ヶ月確保されているか
- 東京の連携施設での経験できる症例構成・指導医体制
東京の連携施設で研修する利点
3県基幹プログラムで東京の連携施設を組み込む設計には、シーリング制度上の構造的な利点と、東京の医療機関へのアクセス上の利点があります。
シーリング制約からの自由
神奈川・千葉・埼玉の各都道府県は全13診療科でシーリング対象外のため、3県基幹プログラムは採用上限制約を受けません。東京の基幹プログラムは12診療科でシーリング対象となっており、直接応募する場合は採用上限の範囲内で競争することになりますが、3県基幹を選ぶことでこの制約を回避できます。さらに、プログラム内の連携施設として東京の医療機関を組み込んでも、東京の都道府県別シーリング枠は消費されません。シーリング制約を回避しながら東京での研修期間を確保する設計が可能です。
東京都内の高度医療機関へのアクセス
東京都内には、国立がん研究センター中央病院や、国立成育医療研究センター、国立精神・神経医療研究センターなどの特定領域に特化した高度医療機関が複数所在しています。希望診療科のサブスペシャリティ領域に応じた選択肢が確保しやすい環境です。
ただし、各基幹プログラムが具体的にどの連携施設を組み込んでいるか、各連携施設での研修期間配分はプログラムごとに異なるため、応募前にプログラム冊子で個別に確認することになります。
専門医取得要件への算入
連携施設での研修期間と経験症例は、専門医取得の要件として正式にカウントされます。基幹施設と連携施設で経験する症例構成を組み合わせて、診療科ごとの症例数要件を満たす設計が可能です。詳細は診療科ごとの学会の整備基準とプログラム冊子で確認できます。
想定される質問と回答
Q1:3県基幹プログラムから東京の連携施設で何ヶ月まで研修できるのか?
連携施設での研修期間は、診療科ごとの学会整備基準と各基幹プログラムの設計次第で異なります。例えば内科専門研修では、専門研修期間は最低3年と定められており、原則として基幹施設および基幹施設以外(連携施設・特別連携施設)での研修をそれぞれ1年以上経験することと整備基準で規定されています。
3県基幹プログラムが東京の連携施設に研修期間の一部を割り当てる場合、研修期間配分は各基幹プログラムが事前に設計しており、プログラム冊子に明記されています。応募前に、東京の連携施設での研修期間が何ヶ月確保されているかを各基幹プログラムの募集要項とプログラム冊子で確認することになります。
なお、シーリング上の「連携プログラム」枠区分(連携先での研修期間1年6か月以上)は、シーリング対象都道府県の基幹プログラムにのみ設定される枠区分です。3県基幹プログラムはシーリング対象外のため、この枠区分には該当せず、連携施設での研修期間は学会の整備基準と各プログラムの設計に従います。
Q2:東京基幹プログラム+3県連携施設の設計はどう違うのか?
東京基幹プログラム(多くの診療科でシーリング対象)から3県(神奈川・千葉・埼玉、シーリング対象外)の連携施設で1年6か月以上研修する設計は、2027年度以降のシーリング上の「連携プログラム」枠区分に該当します。これは3県基幹+東京連携施設とは逆方向の構造です。
| 設計の向き | シーリング上の区分 | 採用上限制約 |
|---|---|---|
| 東京基幹 → 3県連携施設(1年6か月以上) | 連携プログラム枠 | あり(東京のシーリング数のうち連携プログラム部分が該当) |
| 3県基幹 → 東京連携施設(期間は学会整備基準に従う) | 通常プログラム扱い | なし(3県はシーリング対象外) |
東京基幹プログラムの場合、通常プログラム枠と連携プログラム枠で採用枠が分かれます。例えば2027年度の東京都内科では、通常枠383・連携プログラム枠等148の合計531枠が設定されています。一方、3県基幹+東京連携施設の場合はシーリング上の特別区分に該当せず、3県基幹プログラムの通常運用の中で東京の連携施設が組み込まれる形になります。採用上限の制約を受けない点が、構造的なメリットです。
Q3:3県基幹プログラムを選ぶ場合の留意点は?
3県基幹プログラムを選ぶ場合に留意しておきたい点は次の通りです。
- 基幹施設での研修期間の重み:連携施設での研修期間にも上限があり、基幹施設での研修期間が研修全体の中心となる。基幹施設の症例構成・指導体制が研修の質を左右します
- プログラム個別の定員と倍率:シーリング外であってもプログラム個別の定員はあり、人気プログラムでは1次募集で定員に達することがあります。ただし倍率は公表されていないため、施設見学などの際に各自で情報を収集するひつようがあります。
- 連携施設の組み込みはプログラム個別:3県基幹プログラムの全てが東京の連携施設を組み込んでいるわけではありません。希望する東京の連携施設が組み込まれているかは、各基幹プログラムの募集要項とプログラム冊子で個別に確認する必要があります。
- 連携施設での研修期間配分:東京の連携施設での研修期間が何ヶ月確保されているかは各基幹プログラムが個別に設定しています。希望する東京の連携施設での研修期間がどのくらいあるかを事前に確認することが推奨されます。
まとめ|2027年度首都圏で専攻医を目指す際の整理ポイント
2027年度の首都圏は、シーリング制度上、東京都と神奈川・千葉・埼玉の3県で構造が完全に分かれている地域です。3県基幹プログラム+東京連携施設の設計で東京の症例にアクセスする観点から、整理しておきたいポイントは次の通りです。
- 東京と3県のシーリング構造は完全に逆:東京都は12診療科でシーリング対象、神奈川・千葉・埼玉は全13診療科で対象外。3県基幹プログラムは採用上限制約を受けません。
- 2027年度から連携系プログラムは2区分に集約:連携プログラム(連携先=シーリング対象外都道府県、1年6か月以上)と特別地域連携プログラム(足下充足率0.8以下等、1年以上)の2区分のみになります。
- 3県基幹+東京連携施設は通常プログラム扱い:プログラム構造上の連携施設配置で運用され、シーリング上の「連携プログラム」枠区分には該当しない。採用上限制約なしで東京の症例にアクセス可能です。
- 東京の連携施設で研修する利点:東京都内に集積する特定領域の高度医療機関へのアクセスが可能な場合があります。また、連携施設での研修期間と経験症例は専門医取得の要件として正式にカウントされます。
- 応募前に確認すべき点:3県基幹プログラムが東京のどの連携施設を組み込んでいるか、各連携施設での研修期間配分、症例構成、指導医体制は各プログラムの募集要項などで確認必須です。
最終的なプログラム内容と募集要項は2026年秋の日本専門医機構による研修プログラム承認を経て確定するため、応募締切の直前まで最新情報を確認することが推奨されます。本記事が首都圏で専攻医を指す方々の参考になれば幸いです。
→ 関連記事:【2027年度版】京都府の専攻医シーリング解説|関西圏で希望診療科を確保するために
→ 関連記事:2027年度専攻医募集シーリング検索ツール
考資料・出典
一次資料
- 厚生労働省|令和7年度第5回 医道審議会 医師分科会 医師専門研修部会 資料1-1「令和9(2027)年度専攻医募集について」(令和8年3月18日)
https://www.mhlw.go.jp/content/10803000/001675399.pdf - 厚生労働省|令和7年度第5回 医道審議会 医師分科会 医師専門研修部会 資料1-2「令和9年度プログラム募集シーリング数(案)」(令和8年3月18日)
https://www.mhlw.go.jp/content/10803000/001675400.pdf - 厚生労働省|令和7年度第2回 医道審議会 医師分科会 医師専門研修部会 資料2-1「令和9(2027)年度のシーリングについて」(令和7年7月24日)
https://www.mhlw.go.jp/content/10803000/001521962.pdf - 厚生労働省|令和7年度第3回 医道審議会 医師分科会 医師専門研修部会 参考資料3「令和8(2026)年度専攻医募集シーリング(案)」(令和7年9月5日)
https://www.mhlw.go.jp/content/10803000/001555691.pdf
公式サイト
- 一般社団法人 日本専門医機構
https://jmsb.or.jp - 一般社団法人 日本内科学会
https://www.naika.or.jp

太田 旭
株式会社eggside 代表取締役。医学生。
自由診療のための医師向けメディア「doctorside」を運営したり、クリニック集患支援を行っている。