本記事では、医学部に在籍する筆者が、これから内科専門医の取得を目指す研修医と専攻医のために、内科専門医の取得までの年数と、取得後の更新・維持の条件について、日本内科学会と日本専門医機構の一次資料を読み解き、整理しています。
内科専門医は、初期臨床研修を修了したあと、内科の専門研修を3年受けて取得します。初期研修修了後で数えて最短3年、医師免許の取得からは最短5年です。
内科専門医で押さえておくべき点は、次の3つです。
- 取得までの年数:初期研修修了後に専門研修を3年で、最短3年。研修中にJ-OSLERで56疾患群160症例と病歴要約29編を積む
- 更新の条件:5年ごとに合計50単位。診療実績・共通講習・領域講習・学術業績の4区分をまたいで集める
- 内科の位置づけ:56疾患群という守備範囲の広さが特徴。循環器内科や消化器内科などのサブスペシャルティは、内科専門医を取ってからその先へ進む
本記事では、内科専門医の取得までの流れ、J-OSLERで求められる症例と病歴要約、受験と認定試験、更新・維持の条件、サブスペシャルティへの進み方を順に整理します。
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内科専門医の取得までの流れ(最短3年)
内科専門医になるまでの流れは、初期臨床研修を2年終えたあと、内科の専門研修プログラムに3年以上入り、研修を修了して認定試験に合格する、という順です。初期研修の2年はどの科にも共通で必要で、内科ならではの研修はそのあとの3年です。取得までの年数を初期研修修了後で数えると、最短3年になります。

専門研修の3年間は、一つの病院にとどまりません。大学病院や地域の基幹病院、規模の小さい連携病院をまとめた「施設群」の中を移りながら、規模や患者層の違う現場を経験します。急性期の重症例だけでなく、地域の慢性疾患まで幅広く診るための仕組みです。
- 1〜3年目:施設群をローテーションしながら、内科の各領域の症例を担当する
- 研修と並行して:担当した症例をJ-OSLERに登録し、指導医の評価を受ける
- 修了後:内科専門医認定試験を受ける
J-OSLERで求められる症例と病歴要約
内科研修の中心にあるのが、J-OSLER(ジェイオスラー)への登録です。J-OSLERは、担当した症例を一つずつオンラインに登録し、指導医の評価を受けながら実績を積み上げる記録システムです。修了の要件として、次の実績が求められます。

- 疾患群:最低56疾患群(目標は70疾患群)。疾患群とは、消化器や循環器、内分泌といった内科の各領域を、さらに細かく分けた単位を指す
- 症例:最低160症例(目標は200症例)
- 病歴要約:29編。担当症例の経過をまとめた文書で、すべてが第三者の評価者に受理される必要がある
- 学会発表または論文:2件以上
このうち研修医の負担として語られやすいのが、病歴要約です。自分で書いて提出しただけでは進まず、差し戻しを受けて書き直す往復がしばしば起こります。56疾患群という守備範囲の広さが、そのまま登録する症例の多さと記録の手間に表れます。
出典:日本内科学会「内科専門研修プログラム整備基準」
受験資格と認定試験
内科専門医の認定試験は、専門研修プログラムを修了する見込みで、J-OSLERの症例登録と病歴要約、学会発表または論文の要件を満たした人が受けられます。試験は内科の広い範囲から知識を問う形式で、修了の要件を満たしたうえで合格すると、内科専門医に認定されます。試験の出題数など細かい形式は、受験する年度の実施要項で確認してください。
内科専門医の更新・維持の条件(5年ごと・50単位)
内科専門医は、取得して終わりではなく、5年ごとに更新します。更新の条件は、その5年間で合計50単位以上を取ることです。

単位とは、更新のためにためるポイントのことです。講習の受講や経験した症例数、学会発表など、日々の医師の活動に応じてたまります。この50単位は、次の4つの区分をまたいで集めます。
- 診療実績:10単位。セルフトレーニング問題という自己学習用の設問に取り組み、60%以上の正答で得られる
- 共通講習:3〜10単位。医療安全や感染対策、医療倫理など、どの科の専門医にも共通で求められる講習
- 内科領域講習:20単位以上。内科の学術集会や研修会など、専門分野の講習で、更新単位の中心になる
- 学術業績など:2〜10単位。学会発表や論文など
日々の診療をこなしながら、内科領域の講習で20単位を確保していくのが、更新の実務の中心になります。
出典:日本内科学会「内科領域 専門医更新基準」
サブスペシャルティへの進み方
内科専門医は、その先の専門分野(サブスペシャルティ)へ進むための前提になります。サブスペシャルティとは、内科をさらに細かく分けた専門領域のことで、循環器内科や消化器内科、呼吸器内科などがあります。多くは、内科専門医を取得したあとにそれぞれの領域の研修を積んで取得します。
内科の研修で56疾患群を一度通しておくのは、専門を絞る前に内科全体を経験しておくためです。皮膚科や小児科のように最初から対象が絞られた科と比べ、内科は「まず広く診てから絞る」構造を持ちます。専攻を決めきれていない段階で内科に進み、研修を通じてサブスペシャルティを選ぶ人もいるようです。
参考文献
- 日本内科学会「内科専門研修プログラム整備基準」. https://www.naika.or.jp/wp-content/uploads/2018/09/2017-program.pdf
- 日本内科学会「内科領域 専門医更新基準」. https://www.naika.or.jp/wp-content/uploads/2022/07/naikaryouikikoushinkizyun.pdf
- 日本専門医機構「専門医制度概報 令和7年度版」. https://jmsb.or.jp/wp-content/uploads/2026/03/gaiho_2025.pdf

太田 旭
株式会社eggside 代表取締役。医学生。
自由診療のための医師向けメディア「doctorside」を運営したり、クリニック集患支援を行っている。