【2026年版】新生児専門医の取得に何年かかる?更新・維持の条件も解説

本記事では、医学部に在籍する筆者が、新生児医療を専門にしようと考えている専攻医と研修医のために、新生児専門医の取得までの年数と、取得後の更新・維持の条件について、日本専門医機構と厚生労働省の一次資料を読み解き、整理しています。

以下の数値は、断りのない限り、日本専門医機構がまとめた「日本専門医制度概報 令和7年度版」によります。この資料が申請資格として載せているのは、産婦人科専門医または小児科専門医の資格を取ったあとに、研修施設で3年間以上の研修を修了することです。入口になるこの2つは、いずれも卒業から5年で年数の条件がそろうので、卒業から8年が下限になります。この8年は本記事の計算です。

新生児専門医を認定するのは日本周産期・新生児医学会で、資料も制度を運営する学会を示す基幹学会名の欄にこの学会を挙げています。新生児は、小児科や産婦人科などの基本領域の専門医の上に積む二段階目のサブスペシャルティ領域で、厚生労働省の資料「サブスペシャルティ認定領域一覧」によると、領域として認定されたのは2025年2月21日です。

新生児専門医で押さえておくべき点は、次の3つです。

  • 入口が2つある:産婦人科専門医と小児科専門医のどちらからでも申請できます。試験には基本領域別の選択問題がなく、どちらから来た人も同じ問題に解答します
  • 受験に期限がある:研修を開始したあと、休止期間を含めて10年以内に専門医試験を受験する必要があります
  • 更新にも試験がある:5年ごとの更新で、100症例の診療実績と50単位以上をそろえたうえ、インターネットによる更新試験を全問正解になるまで受験します。単位とは、学会が活動ごとに割り当てたポイントです

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執筆者プロフィール

太田 旭

株式会社eggside 代表取締役。医学生。自由診療のための医師向けメディア「doctorside」を運営しつつ、LP制作、Google広告運用、SNS運用代行など、クリニック・歯科医院を中心としたマーケティング支援に従事しています。

新生児専門医の取得までに何年かかるか

新生児の年数は、資料の専門医申請資格の欄にあります。産婦人科専門医または小児科専門医の資格を「取得後」、研修施設で3年間以上の研修を修了することとされ、基本領域の専門研修と重ねてよいとは書かれていません。

入口になる2つの基本領域の側を見ます。資料の小児科専門医のページは研修歴を「5年以上」とし、卒後2年の初期研修の期間を含むと書いています。起点は卒業なので、初期研修のあとに小児科の専門研修を続けた人なら卒業から5年で条件がそろいます。産婦人科専門医のページは専門研修の期間を3年以上としていて、卒業から何年という書き方はありませんが、初期研修の2年にこの3年を足すと卒業から5年です。この5年は本記事の計算です。

そこから3年で卒業から8年です。ただしこれは年数の条件がそろう時期であって、資格が手元に来る時期ではありません。基本領域の試験と認定の時期が資料にないため、3年の研修を始められる時期は後にずれる可能性があります。

受験には期限も付いています。資料の申請資格には「専攻医は、研修開始後休止期間を含めて10年以内に専門医試験を受験すること」とあり、休止期間も含めて数えるので、途中で現場を離れても期限は延びません。ここでいう研修開始がいつを指すのかは読み取れません。

出典:日本専門医機構「日本専門医制度概報 令和7年度版」

申請に何が要るか

資料の専門医申請資格の欄は、条件を8項目に分けています。

  • 日本国の医師免許を有すること
  • 産婦人科専門医、小児科専門医のいずれかであること
  • そのいずれかを取得後、研修施設における3年間以上の研修を修了し、経験目標に定める臨床経験を持っていること
  • 筆頭演者または筆頭著者として、学会あるいは論文発表の実績を2つ以上有すること
  • 日本周産期・新生児医学会の学術集会、および同学会が認める関連学会や研究会に、あわせて2回以上参加すること。うち同学会の学術集会への参加1回を含むこと
  • 研修に関する必要な届出を提出していること
  • 研修開始後、休止期間を含めて10年以内に専門医試験を受験すること
  • 研修年次報告書を指定の書式で、毎年5月末日までに提出していること

3番目の「経験目標に定める臨床経験」の中身と、6番目の届出が何をいつ出すものかは、資料の新生児のページに載っていません。8番目の年次報告書を出さなかった年があった場合の扱いも書かれていません。

入口には注意しておく点があります。厚生労働省の一覧で新生児の担当基本領域に挙がっているのは小児科学会だけですが、この欄が入口を小児科に限る意味なのかは一覧にも資料にも書かれていません。資料の申請資格が産婦人科専門医を並べて挙げている以上、本記事ではどちらの基本領域からも申請できるものとして扱います。

出典:日本専門医機構「日本専門医制度概報 令和7年度版」、厚生労働省 医道審議会 医師分科会 医師専門研修部会「サブスペシャルティ認定領域一覧」2025年12月19日現在

試験はどう行われるか

認定は書類審査と資格認定試験の2段階です。書類審査では、指導医による専攻医評価記録簿から研修態度、診療態度、倫理的な理解を審査し、症例要約の記載と、学術活動の取得単位数が規定以上かを見ます。この3点を満たした専攻医に受験資格が与えられます。必要な単位数も症例要約の数も資料には載っていません。

資格認定試験は筆答試験です。資料はこれをCBTと書いていますが、何の略かは説明していません。試験時間は120分で、このなかに秘密保持契約の説明時間5分が含まれます。出題は一般問題と長文問題を合わせて計110題で、試験内容の欄は「基本領域別の選択問題は無く、受験者は全て同じ問題に回答する」と書いています。出題基準は次の3つです。

  • 総論:公衆衛生学、新生児学一般、周産期医学一般、母子関係などに関する一般的知識
  • 各論:呼吸、循環、感染、神経、栄養、発達、フォローアップ、その他
  • その他:薬剤、外科、その他の科の疾患や手技に関してなど

資料は産科領域や小児外科領域の基本的知識も要求されるとしています。合格の基準は「60%正解率を基本合格基準として合否判定する」とされ、110題の60%は66題です。この66題は本記事の計算で、資料には問題数と正解率が別々に書かれているだけです。試験の実施時期、受験料、不合格だった場合の再受験の扱いも資料に載っていません。

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出典:日本専門医機構「日本専門医制度概報 令和7年度版」

どれくらいの人が合格しているか

資料には直近3年度分の結果があります。

  • 令和4年度(2022年度):受験者82人、合格者73人、合格率89.0%
  • 令和5年度(2023年度):受験者82人、合格者68人、合格率82.9%
  • 令和6年度(2024年度):受験者71人、合格者60人、合格率84.5%

3年を合わせると受験者235人に対して合格者201人で、通算の合格率は85.5%です。書類審査と資格認定試験のどちらで不合格になったのかは資料に書かれていません。受験者数は少なく、令和6年度は71人なので、合格者が1人ちがうだけで合格率は1.4ポイント動きます。

出典:日本専門医機構「日本専門医制度概報 令和7年度版」

取ったあと何をすれば維持できるか

資料によると、更新には資格を得てから5年の経過と、過去5年間の専門医としての勤務実態が要ります。そのうえで、診療実績、単位、更新試験の3つを満たします。

診療実績は合計100症例分の記載が必要です。

  • 1項目につき記載できるのは最大20症例までです。項目はハイリスク分娩立ち会い、新生児蘇生、ハイリスク児の搬送、新生児黄疸の管理、極低出生体重児の管理、中枢性神経疾患、循環器疾患、先天異常、重症感染症、小児外科疾患、極低出生体重児のフォローアップ、在宅医療支援の12種類で、資料はすべての項目を含めることが望まれると書いています
  • 1年間に登録記載できるのは最大30症例までです
  • NICUやGCUの入院症例のほか、外来でのフォローアップや健常新生児の診察も含められます

1項目20症例までなので、100症例をそろえるには少なくとも5項目にまたがります。1年30症例までなので、3年分では90症例にしかならず、最低でも4年分の登録が要ります。どちらも本記事の計算です。

単位は合計50単位以上で、区分ごとに下限と上限があります。診療実績の証明が4単位から10単位、共通講習が3単位から10単位、領域講習が10単位から20単位、学術業績と診療以外の活動実績が6単位から20単位です。4つの下限を足すと23単位、上限を足すと60単位で、下限だけでは50単位に届きません。この23単位と60単位は本記事の計算です。共通講習では、医療倫理、感染対策、医療安全がそれぞれ5年間に1単位以上の必修です。

そのうえで、学会の専門医更新試験をインターネットで受験します。不正解の問題は、全問正解となるまで受験し直す方式です。更新試験の出題範囲、問題数、受験の時期は載っていません。

出典:日本専門医機構「日本専門医制度概報 令和7年度版」

どこで研修するのか

資料は研修施設を専門研修基幹施設、専門研修連携施設、専門研修関連施設の3つに分け、いずれも過去5年間の診療実績で判定します。

  • 基幹施設:新生児特殊治療施設への年間入院患者数が80例以上あり、年間症例数として超低出生体重児8例以上、極低出生体重児25例以上、N-CPAPを除く人工呼吸管理症例数25例以上があること。連携施設の実績を満たし、かつ年間新生児外科手術症例数が15例以上ある施設も基幹施設と認められます
  • 連携施設:年間入院患者数40例以上と、N-CPAPを除く人工呼吸管理症例数8例以上
  • 関連施設:施設認定委員会が認めたもので、搬送や受け入れがあり、新生児の取り扱いが年間20例以上あること。ここでの研修は6か月間が上限です

都道府県から総合周産期母子医療センターとして認可された施設は入院患者数か年間症例数のどちらかを満たさなくても基幹施設、地域周産期母子医療センターは実績を満たさなくても連携施設と認められます。基幹施設と連携施設では統括責任者が研修の管理運営を行いますが、その条件は資料にありません。研修施設の総数と都道府県別の分布も載っていません。

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出典:日本専門医機構「日本専門医制度概報 令和7年度版」

専門医はどれだけいるか

新生児専門医は、2025年10月現在で1,206人です。資料は専門医数を、学会が認定した学会認定専門医と日本専門医機構が認定した機構認定専門医の2列で数えていて、この数字は学会認定専門医の欄にあります。機構認定専門医数の欄は「――」で、この記号が0人を指すのか集計していないことを指すのか、機構認定の専門医がこれから出てくるのかどうかは、資料にも厚生労働省の一覧にも書かれていません。

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出典:日本専門医機構「日本専門医制度概報 令和7年度版」

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まとめ|新生児専門医を目指すなら先に決めること

  • 年数:入口の産婦人科専門医と小児科専門医は、どちらも卒業から5年で条件がそろい、新生児の研修3年間以上はそのあとに積むので、下限は卒業から8年です。ただし基本領域の試験と認定の時期が資料にないため、これより後にずれる可能性があります
  • 申請:資料の申請資格は産婦人科専門医と小児科専門医のどちらでもよいとしています。厚生労働省の一覧が担当基本領域に挙げるのは小児科学会だけです。学会あるいは論文発表の実績2つ以上、学術集会と関連学会への参加2回以上、研修年次報告書の毎年5月末日までの提出も要ります。受験は研修開始後、休止期間を含めて10年以内で、研修開始がいつを指すのかは資料にありません
  • 試験:書類審査を通った人がCBTによる筆答試験に進みます。120分で110題、合格基準は60%の正解率で、基本領域別の選択問題はありません
  • 合格率:直近3年度は89.0%、82.9%、84.5%、3年を通すと85.5%です。受験者は年71人から82人と少なく、令和6年度なら1人の合否で1.4ポイント動きます
  • 維持:5年ごとの更新で、100症例の診療実績と50単位以上、インターネットの更新試験が要ります。1年に登録できる症例は30までなので、最低でも4年分の登録が必要です
  • 研修先:基幹施設、連携施設、関連施設の3つで、過去5年間の診療実績で判定されます。関連施設での研修は6か月までです
  • 規模:専門医は学会が認定した1,206人で、機構認定専門医数の欄は「――」です。この記号が何を指すかは資料にありません

出典:日本専門医機構「日本専門医制度概報 令和7年度版」

参考文献

  • 日本専門医機構「日本専門医制度概報 令和7年度版」. https://jmsb.or.jp/wp-content/uploads/2026/03/gaiho_2025.pdf
  • 厚生労働省 医道審議会 医師分科会 医師専門研修部会「サブスペシャルティ認定領域一覧」2025年12月19日現在. https://www.mhlw.go.jp/content/10803000/001675411.pdf
  • 日本周産期・新生児医学会. https://www.jspnm.jp/
この記事の監修者

太田 旭

株式会社eggside 代表取締役。医学生。
自由診療のための医師向けメディア「doctorside」を運営したり、クリニック集患支援を行っている。