【2026年版】形成外科専門医の取得に何年かかる?更新・維持の条件も解説

本記事では、医学部に在籍する筆者が、これから形成外科専門医の取得を目指す研修医と専攻医のために、形成外科専門医の取得までの年数と、取得後の更新・維持の条件について、日本形成外科学会の一次資料を読み解き、整理しています。

形成外科専門医は、初期臨床研修を修了したあと、日本形成外科学会が認定した施設で4年以上の研修を受けて取得します。初期研修修了後で数えて最短4年です。

形成外科専門医で押さえておくべき点は、次の3つです。

  • 取得までの年数:初期研修修了後に4年以上の専門研修で、最短4年。研修中に手術300例(うち術者80例以上)と代表10例の病歴要約を積む
  • 更新の条件:5年ごとに合計50単位。診療実績・共通講習・領域講習・学術業績の4区分をまたいで集める。2028年度から、3回以上更新した医師への診療実績免除がなくなる
  • 形成外科の守備範囲:外傷、先天異常、腫瘍、瘢痕、難治性潰瘍まで、失われた体表の形と機能を作り直す再建が中心になる

本記事では、形成外科専門医の取得までの流れ、手術300例と病歴要約の要件、受験と認定試験、更新・維持の条件、形成外科が扱う領域と再建外科としての位置づけを順に整理します。

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執筆者プロフィール

太田 旭

株式会社eggside 代表取締役。医学生。自由診療のための医師向けメディア「doctorside」を運営しつつ、LP制作、Google広告運用、SNS運用代行など、クリニック・歯科医院を中心としたマーケティング支援に従事しています。

形成外科専門医の取得までの流れ(最短4年)

形成外科専門医になるまでの流れは、初期臨床研修を2年終えたあと、日本形成外科学会が認定した研修施設で通算4年以上の形成外科研修を積み、研修を修了して認定審査に合格する、という順です。初期研修の2年はどの科にも共通で必要で、形成外科ならではの研修はそのあとの4年です。取得までの年数を初期研修修了後で数えると、最短4年になります。

専門研修では、研修先や勤務期間にも条件が付きます。

  • 初期研修2年:どの科にも共通で必要。形成外科ならではの研修はそのあとの4年になる
  • 認定施設で4年以上:日本形成外科学会が認定した研修施設で、通算4年以上の研修を積む
  • 基幹施設で6か月以上:研修の中心となる基幹施設での勤務を含める。基幹施設とは、指導体制や症例数の基準を満たした中心的な研修病院を指す
  • 地域医療研修:3か月以上を含めることが推奨されている

出典:日本形成外科学会「専門医認定審査についての公示」

手術300例と病歴要約で求められるもの

研修を修了して認定審査に進むには、研修中に積んだ実績をそろえて提出します。求められる実績は、手術の一覧、病歴要約、講習会の受講、論文の4つです。

認定審査の実績要件
手術300例と病歴要約、講習、論文をそろえて審査に進む
  • 手術300例の一覧:うち術者として80例以上。術者とは、自分が執刀医として手術を担当した症例を指す
  • 代表10例の病歴要約:8分類のうち5分類以上を含める。病歴要約とは、担当した症例の経過をまとめた文書のこと
  • 学術講習会の受講:日本形成外科学会の春季・秋季学術講習会を、合わせて4回以上受講する
  • 査読つき論文:筆頭著者として発表した査読つき論文が1編以上。査読とは、専門家が内容を審査して掲載の可否を判断する仕組みを指す

手術300例のうち80例を術者として担当する必要がある点が、形成外科の実績要件の重さに表れます。残りは、指導医のもとで助手として関わった症例も含めて数えます。

出典:日本形成外科学会「専門医認定審査についての公示」

受験資格と認定試験

形成外科専門医の認定審査は、通算4年以上の研修を修了する見込みで、手術300例と病歴要約、学術講習会の受講、査読つき論文の要件を満たした人が受けられます。審査は筆記試験と口頭試問の2段階です。2025年度の審査では、筆記が2026年1月8日、口頭が翌9日に予定されています。要件を満たしたうえで両方に合格すると、形成外科専門医に認定されます。試験の出題数など細かい形式は、受験する年度の実施要項で確認してください。

出典:日本形成外科学会「専門医認定審査についての公示」

形成外科専門医の更新・維持の条件(5年ごと・50単位)

形成外科専門医は、取得して終わりではなく、5年ごとに更新します。更新の条件は、その5年間で合計50単位以上を取ることです。

更新の4区分
5年で100例の記録を含め、4区分で50単位を集める

単位とは、更新のためにためるポイントのことです。講習の受講や経験した症例数、学会発表など、日々の医師の活動に応じてたまります。この50単位は、次の4つの区分をまたいで集めます。

  • 診療実績:10単位。5年間で100例の記録を出す。10例で1単位と数える
  • 共通講習:8〜10単位。医療安全や感染対策など、どの科の専門医にも共通で求められる必修8項目を含む
  • 形成外科領域講習:15〜31単位。形成外科の学術集会や研修会など、専門分野の講習で、更新単位の中心になる
  • 学術業績・診療以外の活動:6〜15単位。学会発表や論文などで、学会参加分は6単位まで数える

診療実績が症例数で決まるのが形成外科の特徴で、5年で100例、ならすと年20例の記録を残しておく必要があります。

出典:日本形成外科学会「形成外科領域専門医更新基準」

更新ルールの変更(2028年度から診療実績免除を廃止)

これまでは、更新を何度も重ねたベテランには診療実績の証明を免除する枠がありました。ここが変わります。日本形成外科学会の更新基準は、専門医を3回以上更新した人への診療実績免除を、2028年度の更新対象者から廃止するとしています。長く更新してきた医師も、100例の記録を出すか、学会が用意する予定のe-testingを受けるかのどちらかで診療実績を示すことになります。

出典:日本形成外科学会「形成外科領域専門医更新基準」

手術300例の内訳(外傷60・腫瘍90ほか)

300例は好きな手術を300集めればよいわけではありません。学会の細則が疾患を8つに分け、それぞれに経験すべき下限を定めています。形成外科がどんな傷を扱う科かは、この表を見ると具体的につかめます。

手術300例の内訳
腫瘍や外傷など再建につながる分類の下限が大きく取られる
分類必要症例数うち術者
外傷6010
先天異常154
腫瘍9018
瘢痕・瘢痕拘縮・ケロイド153
難治性潰瘍253
炎症・変性疾患その他と合わせて152
美容(手術)必須症例ではない
その他炎症・変性疾患と合わせて152

分類ごとの指定症例が合計220例、これに疾患を問わない自由選択枠80例を足して300例になります。最も多いのが腫瘍の90例で、外傷の60例、難治性潰瘍の25例と続きます。腫瘍切除後の欠損や外傷をふさぐ再建が、経験症例の多くを占めています。

出典:日本形成外科学会「専門医認定審査についての公示」

形成外科が扱う領域と再建外科としての位置づけ

形成外科は、生まれつきの形の異常や、けが、腫瘍の切除、やけどなどで失われた体表の形と機能を作り直す科です。認定審査の8分類が、そのまま形成外科の扱う範囲を表しています。外傷、先天異常、腫瘍、瘢痕・瘢痕拘縮・ケロイド、難治性潰瘍、炎症・変性疾患まで、体の表面を広く担当します。

形成外科の中心となる技術が再建です。腫瘍を切ったあとにできた欠損や、事故でえぐれた組織を、皮膚や筋肉を移し替えて閉じ、動きや見た目を取り戻します。細い血管をつなぐマイクロサージャリーは、この再建を支える基本手技のひとつです。経験症例で腫瘍90例、外傷60例と再建につながる分類の下限が大きく取られているのは、この技術を身につけることが専門医の中心に置かれているからです。

この記事で断定していない点

  • 参照した形成外科の更新基準PDFには改定日の明記がなく、2025年8月時点で学会サイトに掲載されていた版を根拠にしました。

参考文献

  • 日本形成外科学会「2025年度(第48回)日本形成外科学会専門医認定審査についての公示(第3報)」(2025年8月20日). https://jsprs.or.jp/member/committee/wp-content/uploads/2025/08/03_nin_kai_35.pdf
  • 日本形成外科学会「形成外科領域専門医更新基準」(2025年8月時点掲載版). https://jsprs.or.jp/specialist/koshin/seido/doc/senmoni_koshin_kijun.pdf
この記事の監修者

太田 旭

株式会社eggside 代表取締役。医学生。
自由診療のための医師向けメディア「doctorside」を運営したり、クリニック集患支援を行っている。